柏崎刈羽原発:東電、信頼回復遠く 新潟知事と再会談

毎日新聞 2013年09月26日 00時01分(最終更新 09月26日 01時02分)

泉田裕彦新潟県知事(右)にフィルター付きベント装置の概要を記した文書を手渡す東京電力の広瀬直己社長=新潟県庁で2013年9月25日、塚本恒撮影
泉田裕彦新潟県知事(右)にフィルター付きベント装置の概要を記した文書を手渡す東京電力の広瀬直己社長=新潟県庁で2013年9月25日、塚本恒撮影

 新潟県の泉田裕彦知事が25日、東京電力の広瀬直己社長との再会談に応じたことで、柏崎刈羽原発の安全審査を巡る県と東電の協議が動き出す見通しになった。しかし、泉田知事は避難計画の整備など、安全対策の徹底を強く要求。「県の了解をもらってから申請する」(広瀬社長)と退路を断った東電だが、汚染水問題の深刻化など、信頼回復のめども立っておらず、再稼働に向けたハードルは依然高いままだ。

 「分かりました。お預かりします」。予定より10分長引き、約40分にわたった再会談で、泉田知事は東電の広瀬社長から、フィルター付きベント(排気)装置設置の事前了解を求める文書を受け取った。受け取りすら拒まれた7月の会談から約2カ月半、安全審査の申請に向けた作業が進む可能性が出てきた。

 排気装置について泉田知事は「(重要設備なので)設置には、東電と自治体との安全協定に基づき、県の事前了解が必要」と主張。東電の示した計画では被災時に壊れる恐れがあるとして、設計変更を要求していた。

 東電がひねり出した対応策が排気装置の追加設置だ。地下に取り付けることで、地震時の揺れが小さくなり、壊れにくくなるという。広瀬社長は「知事の指摘、県民の安心・安全を考え、もう一つ作ったらどうかと考えた」と説明。新規制基準で義務づけられていない施設を数十億円かけて作ることで、7月に知事に投げかけられた「安全安心とお金、どちらが大事なのか」との問いに答える狙いもある。

 ただ、再会談では、安全審査申請を急ぎたい東電と、時間をかけてでも安全対策を万全にしたい泉田知事の意向の違いも浮き彫りになった。

 「最終確認だが、(申請は)急ぎますか」。会談の最後、泉田知事に尋ねられた広瀬社長は「専門的な知識を持っている(原子力規制委員会の)方にチェックしていただくことは必要。足りないところを直すのなら早い方がいいと思うので、絶対急いでやりたい」と答えた。知事の訴えを全面的に受け止める姿勢に徹しながらも、申請を急ぐ考えは変えなかった。

 東電によると、柏崎刈羽原発が再稼働すれば、燃料費を毎月200億〜280億円節約できる。2013年3月期連結決算で、6800億円超の最終損失を出し、賠償、除染、廃炉、汚染水対策の費用も膨らみ続ける東電にとって、最も確実な収支改善策と言える。そのため、これまでは県の事前了解なしで申請に踏み切る選択肢も捨てていなかった。

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