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ホームドア代表・川口加奈さん、中2で初めて炊き出しに参加

産経新聞 9月25日(水)14時53分配信

ホームドア代表・川口加奈さん、中2で初めて炊き出しに参加

ホームドア代表・川口加奈さん(山田哲司撮影)(写真:産経新聞)

 【新・関西笑談】ホームドア代表・川口加奈さん

 −−初めてホームレス問題に関わったのは

 川口 存在を知ったのはいつの頃からでしょうか…。初めてホームレスの方々への炊き出しに参加したのは14歳。中学2年生の12月のことです。

 −−そんなに早くからですか

 川口 そのときはあまり何も思わなかったけど、参加者で私が最年少でした。

 もともと大阪市外に住んでいて、市内の中学校へ電車通学するようになって。大阪市に来てみると、すごいホームレスの方々がおられて。特に(通学時に電車で通過する)新今宮駅の周辺は多いなというので気になり始めたんです。なぜ豊かな日本でこんなにホームレスの人が多いのか、と。

 たまたま炊き出しのチラシを見つけたので、「これや」と思って一度行って見てみようと思いました。

 −−中学生が1人で怖くありませんでしたか

 川口 最初のイメージとしてあったんですけど、釜ケ崎地域が暴動が起こった場所だとは後から知りました。知らずに先に街の人たちと仲良くなったので、今はそれほど起こっていないしいいかな、と。

 −−参加してみてどうでしたか

 川口 ホームレスの人におにぎりを渡すというなかなかない経験で、どうしていいのかわからず戸惑いながらやっていました。そのときに炊き出しをやっている施設のおばちゃんに「3時間も寒い中、たった1つの命の綱であるおにぎりを待っているおっちゃんたちが、あなたみたいな孫のような年齢の子から受け取るということを考えながら渡しなさい」と言われて。

 そう言われて初めて今まで「ホームレス」とある種、人種のように見ていた人たちをちゃんと個々の人として見て、どんなおっちゃんなんやろうと知る機会になって良かったかな。

 −−おにぎりを渡した時のおっちゃんたちの反応は

 川口 感謝されるというわけでもなく、淡々と「ありがとう」と言っていくおっちゃんが多くて。でもその「ありがとう」がすごく重たいというか。弱々しそうな体をされていても、力強い言葉で言ってくださいました。

 どう渡したらいいのかわからず、ホームレスの人たちがどんな背景でホームレスになったのかおばちゃんに聞いたんです。高度経済成長期に日雇い労働が必要だったけど、バブルがはじけていらなくなった。日雇いは一番下の仕事でそれが無くなったら何もないのに、という中で仕事を失った方々。日本を支えてきてくれた人でもあるんだ、と聞いて。「お疲れ様でした」と言いながら渡そうと決めました。感謝の気持ちを込めて。

 −−この体験が問題に関わるきっかけになりました

 川口 家に帰っても問題が気になるようになった。一度ちゃんと自分でも調べてみないと、問題をちゃんと把握してないって恥ずかしいことなんじゃないかと思って。

 インターネットで調べると、自分と同世代の子達が「ホームレスは社会のゴミ。おれたちはゴミ掃除、いいことをしている。何が悪いんだ」とおっちゃんたちを襲撃したという記事を読みました。もし自分も炊き出しに参加してなかったらその子と同じ側にいたかもしれへん。せっかく知る機会を得たのだから今度は伝えていこう、と。同世代の人たちにも同じ機会を持ってもらいたいと思うようになりました。(聞き手 木ノ下めぐみ)

最終更新:9月25日(水)15時44分

産経新聞

 
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