関係者の話を総合すると、一塁には来年までの複数年契約を結んでいる新井がいるため、前回渡米後の野手のリストには三塁手が多く、守備位置が限定されていた。そのため、4番タイプは見当たらなかった。検討を重ねた結果、守備位置にこだわらず、まず長打力がある大砲を探す方針に切り替えた。一塁手、外野手も洗い出した。実績のある大リーガーで今オフ、フリーエージェントになる選手もリストに加えて、地区優勝、プレーオフ争い真っただ中の米国に向かった。
3年ぶりのクライマックスシリーズ出場を決めた阪神だが、新外国人補強は大失敗だった。4番候補として獲得したコンラッドはすでに帰国。リリーフ強化のためにシーズン途中で獲得したボイヤーはこの日のDeNA戦(甲子園)の八回に多村に決勝3ランを浴びて敗戦投手になるなど、大事な場面を任されていない。スタンリッジ、メッセンジャー、マートンの残留組が安定した成績を残しているだけに、新外国人が機能すれば、V奪回も夢ではなかった。
これ以上失敗は許されない。本社側も実績のある大リーガー獲得に備えて資金の準備を行っている。GM自らの異例の再渡米に来季の和田阪神の命運は託されている。
★韓国No.1守護神呉昇桓に興味
藤川(現カブス)退団後、空白となっている守護神補強も阪神の重要補強ポイント。リリーフとして実績がある最速157キロ右腕、韓国・サムスンの呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)に関心を示している。8月初旬には中村GMら球団首脳が直接現地に出向き、視察している。呉に対しては日本国内の複数球団もマークしている。
★今季の虎の外国人
中村GMは「4番・三塁」候補としてコンラッドを獲得したが24試合、57打数10安打(打率・175)、0本塁打、0打点に終わり、前日24日に帰国した。メッセンジャー、スタンリッジ、マートンは3人とも今季限りで契約が切れる。途中入団のボイヤーは今後の登板内容を見て、去就が決まりそうだ。結果を出せなかった左腕のザラテも帰国済みで退団の見通し。
(紙面から)