(セ・リーグ、阪神2-4DeNA、21回戦、DeNA12勝9敗、25日、甲子園)秋風吹きすさぶ聖地で、虎の安打製造機が快音を響かせた。マートンが今季44度目のマルチ安打を記録。DeNAに敗れ、球場に重たい空気が漂うなか、助っ人の好調は頼もしい限りだ。
「きょうは負けた。それだけです」
試合後は言葉少なにクラブハウスへと引き揚げた。ただ、灯した2つの「H」ランプは、虎党の希望だった。
まずは一回。二死からDeNA先発・三嶋の2球目、147キロの直球を中前へ弾き返した。五回にも二死から三遊間を破る左前打。7試合連続安打&2戦連続の複数安打をマークし、今季の安打数は「168」。リーグトップをひた走り、2位の村田(巨人、157)を大きく突き放した。また、打率でも・319で、村田(・318)を抜き、リーグ3位に浮上。悲願のリーグ優勝こそ逃したものの、タイトルを宿敵が独占することは許さない。
最近5試合では22打数12安打3打点、打率・545と絶好調の助っ人は、来日1年目の2010年と翌11年の2度、最多安打のタイトルに輝いた。3度目となれば、外国人選手ではラミレス(DeNA)以来。また、阪神在籍時での3度獲得なら、藤村富美男、バースの2度を超え、球団史上初(パチョレックは阪神で1度、大洋で2度受賞)の快挙となる。
CSをにらみながら戦う終盤戦。そんな中で、快音を放ち続けるM砲が、虎の球史にその名を刻む。(西垣戸 理大)
(紙面から)