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校長名公表―上位校でも疑問だ

こんなリストを発表しても、学校教育に無用な混乱を起こすだけではないか。静岡県の川勝平太知事が、全国学力調査で上位だった一部の小学校の校長名を公表した。[記事全文]

地方議員の質―私たちの目で育てよう

地方分権が叫ばれて久しい。自治体が独自の施策を競う時代とも言われる。だが、議員のレベルは向上しているだろうか。各地で相次ぐ不祥事に、市民はあきれている。とくに、政務調査[記事全文]

校長名公表―上位校でも疑問だ

 こんなリストを発表しても、学校教育に無用な混乱を起こすだけではないか。

 静岡県の川勝平太知事が、全国学力調査で上位だった一部の小学校の校長名を公表した。

 知事は、小学校の国語A(知識を問う問題)で静岡が全国最下位だったことを問題にし、「責任の所在を明らかにする」としてきた。当初は国語Aの下位100校の校長名を公表する考えだった。これを「上位の公表」にきりかえた。

 「懲罰的なことがどれだけプラスに働くか」と指摘した下村文部科学相をはじめ、県内外の懸念に配慮したのだろう。

 下位の公表よりは副作用は小さいだろうが、上位の公表でも良いこととは思えない。

 この調査は、学校の序列化を招かぬよう、学校別の成績公表を原則禁じている。「校長名と校名は違う」と知事はいうが、校長名で学校はすぐわかる。

 公表されたのは全国平均以上だった86校だ。裏返せば、リストにない学校は平均未満とわかる。結果として学校へのレッテル貼りを招きかねない。

 子どもの学力は教師の指導力に依存している。だから、その責任者である校長の名を公表する――。知事はそんなふうに説明している。

 それは、あるべき論と現実を混同した議論ではないか。

 子どもの成績を左右する要素としては、確かに教師の教え方も含まれるが、実際には、ほかの要因も強く影響する。

 調査研究によると、学力は、家庭の経済力や塾通いと強く関係している。また、教育環境には地域差があるのも事実だ。複数の学年が一つの教室で学ぶ過疎地の学校、日本語がよくわからない外国人の子どもが多い地域の学校もある。

 そうした条件の違いを考えずに比べても得るものは少ない。

 今回の公表方法では、前年の1位が次の年に86位になっても上位、最下位から100番上がっても下位になる。努力が成績につながったかどうかをうかがう手がかりにはなりにくい。

 教師の努力を測りたいというなら、数年間の成績の伸びや、どんな指導法が効いたのかなどの分析をしないとわからない。

 文科省は首長らの要望をうけて、学校別の成績公表を認めるべきかを検討している。

 テスト結果をうけ、学校や教師、児童生徒が弱点を知り、克服するのは大切だが、それは当事者がわかっていればよいことだ。保護者が結果を知りたいのはわかるとしても、授業の改善につながるかは疑問が残る。

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地方議員の質―私たちの目で育てよう

 地方分権が叫ばれて久しい。自治体が独自の施策を競う時代とも言われる。だが、議員のレベルは向上しているだろうか。

 各地で相次ぐ不祥事に、市民はあきれている。とくに、政務調査費と呼ばれる支給金をめぐる問題は、地方自治のあり方の根幹を考えさせる。

 都道府県議や政令指定市の市議は調査活動の費用として、月50万〜60万円をもらっている。だが、飲食や遊興などへの流用があとを絶たず、「第二報酬」とも揶揄(やゆ)されている。

 名古屋市では、議員の高額報酬を批判し、議会リコールを実現させた地域政党、減税日本の議員たちも不正が発覚した。

 政調費が制度化されたのは01年。全国的に住民訴訟が相次いでおり、これまで50件超の返還判決が出ている。

 第三者チェックなどを強めるべきなのは言うまでもない。だが、もっと重要なのは、どうしたら地方議員の質を高められるか考えることだろう。

 この問題を長年追及してきた仙台市や名古屋市、京都市などの市民オンブズマンは最近、議員通信簿の活動を始めた。

 議事録から質問を項目ごとに分析し、点数化する。現場を調べたか、他都市と比較したか、改善策を提案したか――。

 道徳論を延々述べて「教育長いかがですか」と聞く京都市議の質問は0点。民間資金を活用する手法を実地研究し、学校への空調設置の知恵を出した仙台市議は高得点という具合だ。

 福岡市議会では、一般質問94件のうち48件は事前調査がなかった。名古屋市議会では、1年間、本会議で一度も質問しない議員が75人中19人もいた。

 成績の悪い議員からは「議会外の要望活動も仕事だ」と反論もでたが、そんな論争が生まれること自体が前進だろう。市民が議員活動への関心を高めることが何よりの薬になる。

 もっとも、壁になるのが議会の情報公開度だ。早稲田大の調査などによると、75%の地方議会が本会議の議事録をネット公開しているが、常任委員会については25%にとどまる。

 大阪市議会は議案ごとの会派別の賛否を公開している。だが市民研究者らの「議会改革白書」(11年)によると、全国の議会の65%はそんな情報を出していない。これでどうやって市民の信頼を得るのだろう。

 みなさんも一度、自分の街の議会をのぞいてみてはいかがでしょうか。議員は自分たちの代表です。私たちメディアとともに、もっと間近に注視し、議員を育てていきましょう。

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