新潟知事「安全対策面で十分納得できず」9月26日 4時17分
柏崎刈羽原子力発電所を巡る25日の会談で新潟県の泉田知事は、東京電力の廣瀬社長が自治体との連携を重視する考えを明らかにしたことに一定の理解を示しましたが、安全対策の面では、十分納得が出来るやり取りではなかったという認識を示しました。
安全性を巡るさまざまな課題に東京電力や国がどのような対策を取り説明していくのか、問われることになります。
25日の会談で、福島第一原発の事故の検証についてただした新潟県の泉田知事は2号機について、なぜ格納容器が損傷して大量の放射性物質が放出されたのか問いましたが、廣瀬社長は、まだ原因を特定が出来ておらず、考えられる原因に対応する対策を行っていくと答えるにとどまりました。
また、周辺住民の防災を巡っては、格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む気体を放出する「ベント」について、泉田知事は、「住民の避難が終わっていない状況で、ベントを行う必要がある場合、どのように判断するのか」と問いました。
廣瀬社長は、「住民が避難できる時間をたくさんとって、ベントの判断を行うのが理想的だ」と答えましたが、実際、どのようにベントの判断を行うかは、言及しませんでした。
2人のやり取りについて電力会社と地元自治体の関係に詳しい東京工業大学の西脇由弘特任教授は、「周辺住民の防災対策などは地元と詰め切れていないので、東京電力は地元の一員として問題を解決していくという姿勢と検討状況を含めて公開することが求められる」と指摘しています。
こうした指摘に対し東京電力や国がどのような対策を取り説明していくのか、問われることになります。
知事指摘した事故の検証と対応
新潟県の泉田知事は東京電力の廣瀬社長との会談で、福島第一原発の事故検証と、それに対する対策の状況をただしました。
そのやり取りを見ても事故の検証と対応にはまだ残されている課題が多いことが分かりました。
まず、最初にメルトダウンした1号機への対応の遅れについてです。
事故が起きたおととし3月11日、東京電力は燃料の損傷がどう進むか、シミュレーションを行い、午後5時すぎに、あと1時間で燃料の一部が冷却水から露出すると予測していました。
しかし、その情報を生かせずに翌日まで外からの注水が遅れたことについて、廣瀬社長は、注水の必要性は全員が認識していたが現場の混乱のなか、情報を生かせなかった大きな反省だと答えていました。
次に最も多くの放射性物質が放出されたとみられる2号機について、泉田知事は、なぜ格納容器が損傷して大量の放射性物質が放出されたのか問いました。
しかし、廣瀬社長は、まだ原因の特定が出来ておらず、考えられる原因に対応する対策を行っていくと答えるにとどまりました。
さらに1号機のあとに事故が深刻化した3号機で、消防車で原子炉に入れた水が配管の途中にある抜け道から漏れ出し、冷却に失敗した可能性がある問題についてただしました。
廣瀬社長は、その可能性があることを認めた上で、柏崎刈羽原発では注水した水が抜け道に漏れ出さないような対策を取っていると説明しました。
そして、4号機の使用済み燃料プールへの注水の対応です。
泉田知事は、4号機は原子炉建屋が爆発したため、屋上から注水できたが、爆発のあと、建屋の放射線量が高く、中に入れず、そうした命の危険があったり緊急時の被ばく限度を超えるおそれがある場合、民間どうしの契約で対応できるのか問いました。
これに対して廣瀬社長は、法律的にも明確になっていない部分があり、東京電力だけで結論を出せる問題ではなく、国も含めて、危険な現場での作業をどのように行うのか、議論する必要があるという考えを示しました。
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