データ70万件抜き取り、顧客拡大狙う 不正アプリ事件
コンピューターウイルスの機能を持たせた不正アプリでスマートフォン(多機能携帯電話)の電話帳データを抜き取ったとされる事件で、逮捕された出会い系サイト運営会社元会長が「サイトの顧客を増やすために不正アプリを購入した。部下にもっとメールアドレスを集めるよう、はっぱを掛けていた」と供述していることが25日、捜査関係者への取材で分かった。京都府警は、同社がアプリで取得したアドレスを元にサイト会員を広げ、多額の利益を得ていたとみている。
府警によると、同社が不正アプリで抜き取った電話帳データは約70万件、他の手口も合わせて不正入手したアドレスは延べ約6億5千万件に上り、サイバー犯罪で摘発した企業が不正に得た個人情報量では最大規模という。
府警が不正指令電磁的記録供用や同提供などの容疑で逮捕したのは、出会い系サイト運営会社元会長の立石正彰容疑者(59)=大分県別府市=やIT関連会社元社長の吉田浩司容疑者(41)=東京都杉並区=ら男6人。
立石容疑者の逮捕容疑は1月、群馬県の会社員(46)に不正アプリをダウンロードさせた疑い。吉田容疑者は昨年7月、不正アプリを立石容疑者に31万円で販売した疑い。
府警の説明では、立石容疑者らはまず、文字列の無作為組み替えでアドレスを得るプログラムを使ったり、業者から名簿を購入したりして約6億5千万件のアドレスを不正入手した。さらに現在も確実に使われているデータを入手する目的で、そのアドレスに不正アプリを送りつけ、約8千台のスマホを感染させて、アドレスを含む電話帳データ約70万件を抜き取ったという。
こうして入手したアドレスに高級外車が当たる特典付きのアンケートを装ったメールを送り、返信した人を出会い系サイトに自動登録した上で、異性と通信できる無料サービスがあると誘って、有料サービスを利用させるよう仕向けていた。利益は月に1千万円を超えていたという。
府警は、8月にサイト運営会社を捜索してパソコンなどを押収、捜査を進めていた。
【 2013年09月26日 08時48分 】