９月25日の海外株式・債券・為替・商品市場
（ブルームバーグ）：欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎ＮＹ外為：ユーロ上昇－独消費者信頼感の上昇や米政府閉鎖懸念で
ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがドルに対して上昇。ユーロ圏での景気回復の兆候や、米国の予算協議のこう着で政府機関が閉鎖されるとの懸念が広がったことが背景。
ユーロは主要通貨の大半に対して上昇。欧州一の経済大国であるドイツの消費者信頼感指数が市場予想を上回る伸びとなったことが手掛かり。またリスクテーク意欲が後退する中で、円は主要通貨の過半数に対して値上がりした。ニュージーランド（ＮＺ）ドルは下落。同国の貿易赤字 が予想外に拡大したことが嫌気された。スウェーデン・クローナは対ドルで４営業日続落。９月の同国消費者信頼感の悪化が材料視された。
ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ラビ・バラドワジ氏（ワシントン在勤）は電話取材で、「ユーロ上昇は、ドイツの消費者信頼感指数に強く支えられている」と指摘。また「市場参加者の大半は過去にあった米政府機関閉鎖について十分承知しており、それに応じた行動を取っている」と述べた。
ニューヨーク時間午後５時現在、ユーロはドルに対し前日比0.4％高の１ユーロ＝1.3526ドル。対円では0.1％上げて１ユーロ＝133円14銭。ドルは対円で0.3％下げて１ドル＝98円43銭。
クローナ、ＮＺドルクローナは６月以降で最長の連続下落となった。スウェーデンの９月の消費者信頼感指数は98と、前月の98.8から低下した。スウェーデン政府はこの日、北欧最大の銀行ノルデア銀行の保有株全てを216億クローナ（約3320億円）で国内外の機関投資家に売却したと発表した。
クローナは0.3％安の１ドル＝6.4171クローナ。対ユーロでは0.7％下げて１ユーロ＝8.6794クローナ。
ＮＺドルは米ドルに対し続落。ニュージーランドの８月の貿易赤字は12億ＮＺドルに拡大し、５年ぶりの大幅な赤字となった。ＮＺドルは0.5％安の１ＮＺドル＝0.8241米ドル。
米商務省が発表した８月の新築一戸建て住宅販売（季節調整済み、年率換算）は前月比7.9％増の42万1000戸。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は42万戸だった。前月は14.1％減少の39万戸と年初来の最低を記録していた。また８月の米製造業耐久財受注は、変動しやすい輸送機器を除いたベースで0.1％減。前月は0.5％減だった。
米予算協議ルー米財務長官は議会に宛てた書簡で、債務上限の突破を回避するために講じている緊急措置が「10月17日までに尽きる」と伝えた。
米上院は、暫定予算案の審議を進めて採決に持ち込むための動議を可決した。共和党のテッド・クルズ議員は法案通過阻止を狙い、21時間にわたり演説を行っていた。上院は賛成100、反対０で動議を可決した。
ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏（ニューヨーク在勤）は電話取材で、「政府機関閉鎖のリスクが根強く続いており、一部のリスク通貨が円やユーロといった主要通貨に対して下げている要因の１つになっている」と述べた。
原題：Euro Rallies as U.S. Budget Spurs Shutdown Concern; KronaFalls （抜粋）
◎米国株：Ｓ＆Ｐ500種は５日続落、ウォルマートが安い
米国 株式市場ではＳ＆Ｐ500種株価指数が５日続落と、今年最長の連続安。ウォルマート・ストアーズが下げたほか、歳出をめぐる協議難航が経済成長を脅かすとの懸念が背景。
ウォルマートは1.5％安。在庫積み上がりに対応するため、今四半期と来四半期に業者への発注を縮小することが明らかになった。百貨店ＪＣペニーは大幅安。ゴールドマン・サックス・グループがＪＣペニーの手元資金は逼迫するとの見通しを示したことが売り材料となった。整形外科用品メーカーのストライカーは他社買収での合意が嫌気され、下落した。
Ｓ＆Ｐ500種株価指数は前日比0.3％下げて1692.77。ダウ工業株30種平均は61.33ドル（0.4％）下げて15273.26ドル。
ホッジス・ファンズの創業者、ドン・ホッジス氏は「雑音が多く、投資家は強い確信を持って行動しにくくなっている」と述べ、「相場が過去数週間のように強ければ、多少の後退で投資家が若干動揺することはあり得るものだ」と続けた。
暫定予算の見通し米上院が今週末までに暫定予算案をめぐる採決を実施する可能性は低い。現在の予算は９月30日をもって失効するが、上下両院は暫定予算案の文言から2010年成立の医療保険制度改革法（オバマケア）に関連する文言について意見が対立している。
ルー米財務長官は議会に対し、債務上限の突破を回避するために講じている緊急措置が「10月17日までに尽きる」と伝えた。
米国民は景気回復に懐疑的であることがブルームバーグの世論調査で分かった。米景気拡大ペースが今後１年間にほぼ同じになると回答したのは44％となり、28％は悪化を予想した。
朝方発表された８月の米新築住宅販売は前月比で増加したが、前月の大幅減少を埋め切れず、年初来２番目の低水準にとどまった。住宅ローン金利の上昇が響いた。
ウォルマート、ＪＣペニーが安いシカゴ・オプション取引所（ＣＢＯＥ）のボラティリティ指数（ＶＩＸ）は0.5％低下して14.01だった。
Ｓ＆Ｐ500種産業別10指数のうち８指数が低下。消費財株やヘルスケア関連株が特に下げた。
ウォルマートは1.5％安と、ダウ平均銘柄の中でも最も下げた。同社は先週、発注責任者から業者向けに電子メールを送り発注減を伝えた。
ＪＣペニーは15％安。ゴールドマンのアナリスト、クリステン・マクダフィ氏は前日、顧客向けリポートで、「弱いファンダメンタルズ、在庫の積み上げ、業績が伸び悩んでいるホーム部門によって、第３四半期（８－10月）のＪＣペニーの手元資金は厳しくなるだろう」と述べた。
ストライカーは2.9％安。同社は医療機器メーカーのＭＡＫＯサージカルを１株当たり30ドルで買収することで合意した。これによりストライカーはＭＡＫＯの手術支援ロボットの技術を取得する。ＭＡＫＯは82％急伸した。
原題：S&P 500 Falls a 5th Day as Wal-Mart Slumps Amid BudgetConcerns（抜粋）
◎米国債：10年債利回りが６週間ぶり低水準、政府機関閉鎖を警戒
米国債市場では10年債相場が上昇。利回りは６週間ぶり水準に低下した。米国の予算協議が政府機関閉鎖につながる恐れが買いを誘った。
５年債入札（規模350億ドル）後も堅調を維持した。入札では応札が４カ月ぶり高水準になった。ルー財務長官は24日、連邦債務の上限引き上げ問題について、合意が可能との投資家の信頼感は恐らく行き過ぎているとの見解を明らかにした。財務省は26日に７年債の入札（規模290億ドル）を実施する。
ＲＷプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏（ニューヨーク在勤）は「ワシントンの情勢が引き続き相場を左右している。その懸念が米国債を押し上げている」と指摘。「入札はそこそこ良かったようだが、絶好調というわけではなかった」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後５時現在、既。10年債利回りは３ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）低下の2.63％。一時は2.61％と、８月12日以来の低水準を付けた。同年債（表面利率2.5％、2023年８月償還）価格は7/32上げて987/8。
ＣＲＴキャピタル・グループの米国債戦略の責任者、デービッド・エーダー氏は「地合いは堅調で、ワシントンの情勢は何も変わっていない。債務上限をめぐる協議およびその時期と結果が人質になっている。デフォルト（債務不履行）にはならないだろうが、政府機関が閉鎖される可能性はある」と話した。
５年債入札５年債入札の最高落札利回り は1.436％。入札直前の市場予想は1.422％だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率 は2.67倍と、５月入札以来の高水準。
財務省によると、この日発行された債券は2011年９月30日に発行された７年債の追加発行と分類される。表面利率は1.375％と、２年前と同じ。
プライマリーディーラー（政府証券公認ディーラー）以外の直接入札者の落札全体に占める割合は11.8％。過去10回の平均は15.6％だった。
今週の入札による発行総額は970億ドル。前日の２年債入札では落札利回りは0.348％だった。
米財務省によると、今週の入札での新規調達額は477億ドル、償還される証券は合計623億ドルとなる。
財務省のデータをブルームバーグがまとめたところによれば、年初からの中長期債の入札（発行総額１兆5890億ドル）の応札倍率は2.88倍。昨年の入札（同２兆1530億ドル）では3.15倍と過去最高だった。
暫定予算案米上院は暫定予算案の審議を進めて採決に持ち込むための動議を賛成100、反対０で可決した。下院は12月15日まで連邦政府機関の運営を可能にする暫定予算案を可決している。
上院民主党は11月15日まで政府機関の運営を可能にする新たな暫定予算措置を提案した。上院は下院案から医療保険制度改革法への関連予算打ち切りに関する部分を削除して下院に送り返す計画。
ＣＩＢＣワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏（ニューヨーク在勤）は「米金融当局が短期的に何もできない一因は、重要な経済指標の発表がないことだ」と述べた。
原題：U.S. 10-Year Yield Touches Six-Week Low on Congress BudgetTalks（抜粋）
◎ＮＹ金：４日ぶりに上昇、米予算協議こう着で政府機関閉鎖を警戒
ニューヨーク金先物相場は反発。米予算をめぐる交渉こう着で政府機関が閉鎖に追い込まれるとの懸念が広がっている。
米連邦議会上院は暫定予算案の審議を進めて採決に持ち込むための動議を可決した。共和党のテッド・クルズ議員は法案通過阻止を狙い、前日から21時間にわたり演説を行っていた。米連邦政府の次会計年度は10月１日に始まる。
ＲＪオブライアン・アンド・アソシエーツ（シカゴ）のシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「米政府機関閉鎖への不安で資金は金へと向かっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所（ＮＹＭＥＸ）ＣＯＭＥＸ部門の金先物12月限は前日比1.5％高の１オンス＝1336.20ドルで終了した。前日までの３営業日続落で3.9％下げていた。
原題：Gold, Silver Futures Advance as U.S. Budget ConcernsEscalate（抜粋）
◎ＮＹ原油：12週間ぶり安値、予想外の在庫増と需要減を嫌気
ニューヨーク原油先物相場は５日続落し、12週間ぶり安値。先週の米在庫が予想外に増加した一方で需要が減少したことが響いた。
米エネルギー情報局（ＥＩＡ）の統計によると、先週の在庫は264万バレル増加。ブルームバーグがまとめたアナリスト調査では、100万バレルの減少が見込まれていた。ガソリンの需要は２％減少し日量885万バレルだった。米予算協議のこう着で政府機関が閉鎖に追い込まれるとの懸念から株式が下げたことも影響した。
タイチ・キャピタル・アドバイザーズの商品ファンドマネジャー、タリク・ザヒル氏は「原油在庫の積み上がりは予想外だった。しかも需要は減少している」と指摘。「統計は非常に弱い。週末までに100ドルに下げても驚かない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所（ＮＹＭＥＸ）の原油先物11月限は前日比47セント（0.46％）安の１バレル＝102.66ドルで終了。終値としては７月３日以来の安値。
原題：Crude Falls to 12-Week Low as U.S. InventoriesUnexpectedly Rise（抜粋）
◎欧州株：総じて安い、ノルデア銀に売り－米予算協議と米指標を懸念
25日の欧州株式 相場は下落。米議会の予算協議をめぐる懸念が強まったことが影響した。また、８月の米製造業耐久財受注統計で輸送機器を除く受注が予想外に減少したことも背景にある。
スウェーデンの銀行、ノルデア銀行は2.6％安。同国政府が保有株を全て売却したことが嫌気された。クルーズ船運営会社、カーニバル は6.7％安と、ストックス欧州600指数の構成銘柄の中で最もきつい下げとなった。
ストックス600指数 は前日比0.1％安の313.02で終了。騰落比率は２対３。月初来では5.3％上げている。
スイスカント・アセット・マネジメント（チューリヒ）のポートフォリオマネジャー、ペーター・ブレンドル氏は「投資家は米当局の量的緩和縮小を意識しながら、引き続き米経済データに注目している」とし、「債務上限引き上げに関する協議が再開した。不透明感が生じたとはまだ言えないが、弱気派にとっては歓迎すべき展開だ」と語った。
25日の西欧市場では18カ国中11カ国で主要株価指数が下落。スペインのＩＢＥＸ35指数とポルトガルのＰＳＩ20指数はそれぞれ0.8％上昇した。
原題：Most European Stocks Retreat as Nordea,Carnival Shares Decline（抜粋）
◎欧州債：ドイツ債上昇、ＥＣＢが追加策検討との観測－英国債も高い
25日の欧州債市場では、ドイツ10年債が上昇し、利回りは６週間ぶり低水準となった。ユーロ圏経済が強まりつつある兆候はあるものの、欧州中央銀行（ＥＣＢ）は追加刺激策を検討するとの観測が広がった。
ドイツ10年債 は今週に入って値上がりが続いている。ＥＣＢのドラギ総裁が市場金利を抑えるため銀行システムに長期資金を追加供給する準備があると発言したためで、実行に移される公算をブラックロックは指摘した。一方、イタリア２年債は下落し、利回りは前日付けた７週間ぶりの低水準から上昇した。同国はこの日の入札でゼロクーポン債（2015年償還）を25億ユーロ発行した。
ＤＺ銀行のアナリスト、クリスチャン・ライヒャター氏（フランクフト在勤）は「経済データの状況は最近、著しく明るくなったが、銀行融資の状況に目を向けると新たな問題が出ている」とし、「独国債利回りはこの先、低下する可能性がある」と語った。
ロンドン時間午後４時29分現在、ドイツ10年債利回りは前日比２ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）低下の1.82％と、先月15日以来の低水準 となった。同国債（表面利率２％、2023年８月償還）価格は0.215上げ101.60。２年債利回りはほぼ変わらずの0.19％。
前日には、ＥＣＢ政策委メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁が新たな長期リファインナンスオペ（ＬＴＲＯ）が必要かどうかを協議すると発言。クーレＥＣＢ理事もどのような政策手段を採用するのが適切かについて具体的な議論はないとしたものの、協議の可能性は開かれていると語った。
英国債市場では10年債が３日続伸。イングランド銀行（英中銀）金融政策委員会（ＭＰＣ）のマイルズ委員は英紙イブニング・スタンダードに寄稿し、経済のスラック（たるみ）を取り除くには持続的な成長が必要であり、早めの利上げが必要だと考えるのは見当違いだと指摘した。
英10年債利回りは前日比４ｂｐ低下の2.76％。一時は2.75％まで下げ、先月30日以来の低水準となった。同国債（表面利率2.25％、2023年９月償還）価格はこの日、0.33上げ95.635。
原題：German Bund Yields Decline to Six-Week Lowon ECB Stimulus Bias（抜粋）Pound Advances Toward Eight-Month High AfterRetail Sales Jump（抜粋）
更新日時: 2013/09/26 07:00 JST