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福島・花見山公園園主の阿部一郎さん死去 93歳

花見山で記念撮影する阿部さん=2010年3月(遺族提供)

 福島市の花見山公園園主で、私設の公園を花の名所として知られるまでに整備した阿部一郎(あべ・いちろう)氏が、24日午後4時51分、大腸がんのため福島市の病院で死去した。93歳だった。福島市出身。自宅は福島市渡利原17。葬儀は28日午後1時から同市黒岩堂ノ後35のたまのや黒岩斎苑で。喪主は長男一夫(かずお)氏。
 1935年、家業の花卉(かき)栽培に従事しながら、父親と共に福島市渡利地区にある花見山の開拓を始め、59年から公園として一般に無料開放した。
 写真家の故秋山庄太郎さんが「福島に桃源郷あり」と紹介したことなどから、花見山公園は全国的に有名になった。

◎「心の癒やし」地元住民感謝

 花見山公園園主の阿部一郎さんが亡くなり、地元住民は、山一面の花木を育て上げて多くの人を楽しませた故人の功績をたたえた。
 「花見山は長い間、私たちの心を癒やしてくれた。阿部さんは地元の誇りだった」。福島市の菓子販売業金木和子さん(61)は惜別の言葉を送る。春には決まって足を運び、花の美しさに心を奪われたという。
 同市の食品販売員阿部晴美さん(37)は「観光客が来るようになり、地元が元気になった。心から感謝している」と謝意を表す。
 花見山は阿部さんの私有地でソメイヨシノやレンギョウなど30種を超す花が山の斜面に咲き誇る。手入れが行き届き、多い年で30万人の見物客が訪れる全国区の観光名所になった。福島第1原発事故後は避難者の心のよりどころにもなった。
 瀬戸孝則福島市長は「花見山の美しく咲き誇る花々は原発事故で傷ついた市民の心を癒やしてくれた」との談話を出した。
 阿部さんは5月に入院。病床で花木のことを気に掛けていたという。孫の晃治さん(29)は「祖父が愛した花見山を守っていきたい」と声を詰まらせた。


2013年09月26日木曜日


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