東日本大震災:福島第1原発事故 健康調査検討委、内部被ばく議論を当初削除 公開後に議事録追加
毎日新聞 2012年11月20日 東京朝刊
東京電力福島第1原発事故を受け福島県が実施している県民健康管理調査の検討委員会を巡る一連の問題で、県は19日、情報公開請求後に一部の議論を削除して公開した検討委の議事録を修正し改めて請求者に開示した。内部被ばくの検査で精度が高いとされる尿検査の実施を国側から提案されながら県側が難色を示すやりとりが追加された。修正前の議事録に全くなく、専門家は「被害を低く評価するため(少しの内部被ばくでも検出する)尿検査をやりたくないとの本音を見せたくなかったからでは」と批判している。【日野行介】
尿検査を巡るやりとりがあったと修正されたのは、昨年6月18日に開かれた第2回検討委(非公開)の議事録。
この検討委では同県浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区の住民約2万8000人を対象とする被ばくの先行調査について議論した。修正された議事録によると、ホールボディーカウンター(WBC)と呼ばれる大型機器と尿検査による内部被ばく検査を巡り、オブザーバーとして出席した内閣府幹部らが「尿検査を本流に位置づけるべきだ」と指摘。だが、県側は「尿検査よりWBCとみんなが言っている状況で、尿に舵(かじ)を切れない」などと難色を示していた。