オプティカル : 同期デジタル階層(SDH)

光ファイバ、dB、減衰および測定の概要

2005 年 4 月 20 日 - ライター翻訳版
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目次

概要
前提条件
      要件
      使用するコンポーネント
      表記法
デシベルとは
      10 を底とする対数のルール
      dB
      1 mW を基準とする dB(dBm)
      1 W を基準とする dB(dBW)
      パワーおよび電圧の利得
光ファイバの構造
ファイバのタイプ
波長
光パワー
挿入損失について
パワー バジェットの計算
Cisco サポート コミュニティ - 特集対話
関連情報

概要

この文書は、光テクノロジーに関するいくつかの公式や重要な情報を簡潔にまとめたものです。 デシベル(dB)、1 mW を基準とする dB(dBm)、減衰および測定について解説するとともに、光ファイバの概要について説明します。

前提条件

要件

この文書に関する特別な要件はありません。

使用するコンポーネント

この文書は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

この文書の情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されています。 この文書で使用するすべてのデバイスは、クリアな状態(デフォルト)から設定作業を始めています。 対象のネットワークが実稼動中である場合には、すべてのコマンドによる潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

表記法

文書表記の詳細については、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

デシベルとは

デシベル(dB)とは、信号強度の相対的な差異を表すための単位です。 dB は、次のように、2 つの信号のパワー比の対数(底は 10)を使用して表されます。

dB = 10 x Log10 (P1/P2)

ここで、Log10 は 10 を底とする対数です。P1 および P2 は比較するパワーです。

注:Log10 は、e を底とする自然対数(Ln または LN)とは異なります。

信号の振幅も dB で表すことができます。 パワーは、信号の振幅の 2 乗に比例します。 したがって、dB は次のように表すことができます。

dB = 20 x Log10 (V1/V2)

ここで、V1 および V2 は比較する振幅です。

1 ベル(現在は使用されない単位)= Log10 (P1/P2)

1 デシベル(dB)= 1 ベル / 10 = 10 * Log10 (P1/P2)

dBr = dB(relative)= dB = 10 * Log10 (P1/P2)

10 を底とする対数のルール

  • Log10 (AxB) = Log10 (A) + Log10 (B)

  • Log10 (A/B) = Log10 (A) - Log10 (B)

  • Log10 (1/A) = - Log10 (A)

  • Log10 (0.01) = - Log10 (100) = -2

  • Log10 (0.1) = - Log10(10) = - 1

  • Log10 (1) = 0

  • Log10 (2) = 0.3

  • Log10 (4) = 0.6

  • Log10 (10) = 1

  • Log10 (20) = 1.3

    Log10 (2 x 10) = Log10 (2) + Log10 (10) = 1 + 0.3

  • Log10 (100) = 2

  • Log10 (1000) = 3

  • Log10 (10000) = 4

dB

次の表に、パワー比と、その対数から計算される dB(デシベル)との関係を示します。

パワー比

dB = 10 x Log10 (パワー比)

AxB

x dB = 10 x Log10(A) + 10 x Log10(B)

A/B

x dB = 10 x Log10(A) - 10 x Log10(B)

1/A

x dB = + 10 x Log10 (1/A) = - 10 x Log10 (A)

0,01

- 20 dB = - 10 x Log10(100)

0,1

- 10 dB = 10 x Log10 (1)

1

0 dB = 10 x Log10 (1)

2

3 dB = 10 x Log10 (2)

4

6 dB = 10 x Log10 (4)

10

10 dB = 10 x Log10 (10)

20

13 dB = 10 x (Log10 (10) + Log10 (2))

100

20 dB = 10 x Log10 (100)

1000

30 dB = 10 x Log10 (1000)

10000

40 dB = 10 x Log10 (10000)

1 mW を基準とする dB(dBm)

dBm = dB mW = 10 x Log10 (mW 単位で表したパワー / 1 mW)

パワー

dBm = 10 x Log10 (mW 単位で表したパワー / 1 mW)

1 mW

1 mW/1 mW=1

0 dBm = 10 x Log10 (1)

2 mW

2 mW/1 mW=2

3 dBm = 10 x Log10 (2)

4 mW

4 mW/1 mW=4

6 dBm = 10 x Log10 (4)

10 mW

10 mW/1 mW=10

10 dBm = 10 x Log10 (10)

0.1 W

100 mW/1 mW=100

20 dBm = 10 x Log10 (100)

1 W

1000 mW/1 mW=1000

30 dBm = 10 x Log10 (1000)

10 W

10000 mW/1 mW=10000

40 dBm = 10 x Log10 (10000)

1 W を基準とする dB(dBW)

dBW = dB W = 10 x Log10 (W 単位で表したパワー / 1 W)

パワー

dBW = 10 x Log10 (W 単位で表したパワー / 1 W)

1 W

1 W / 1 W = 1

0 dBW = 10 x Log10 (1)

2 W

2 W / 1 W = 2

3 dBW = 10 x Log10 (2)

4 W

4 W / 1 W = 4

6 dBW = 10 x Log10 (4)

10 W

10 W / 1 W = 10

10 dBW = 10 x Log10 (10)

100 mW

0.1 W / 1 W = 0.1

-10 dBW = -10 x Log10 (10)

10 mW

0.01 W / 1 W = 1/100

-20 dBW = -10 x Log10 (100)

1 mW

0.001 W / 1 W = 1/1000

-30 dBW = -10 x Log10 (1000)

パワーおよび電圧の利得

パワーの利得と電圧の利得の比較表を次に示します。

dB

パワー比

電圧比

dB

パワー比

電圧比

0

1.00

1.00

10

10.00

3.16

1

1.26

1.12

11

12.59

3.55

2

1.58

1.26

12

15.85

3.98

3

2.00

1.41

13

19.95

4.47

4

2.51

1.58

14

25.12

5.01

5

3.16

1.78

15

31.62

5.62

6

3.98

2.00

16

39.81

6.31

7

5.01

2.24

17

50.12

7.08

8

6.31

2.51

18

63.10

7.94

9

7.94

2.82

19

79.43

8.91

10

10.00

3.16

20

100.00

10.00

この情報から、減衰および利得を求める公式が定義できます。

減衰(dB)= 10 x Log10(P in/P out) = 20 x Log10(V in/V out)

利得(dB)= 10 x Log10(P out/P in) = 20 x Log10(V out/V in)

光ファイバの構造

光ファイバは、情報を伝達する媒体の一種です。 光ファイバは、石英系のガラスでできており、 コアのまわりをクラッドが覆う構造になっています。 ファイバの中心部分(コア)の屈折率は、N1 で表します。 コアのまわりを覆っているクラッドの屈折率はそれよりも低く、N2 で表します。 クラッドは、光をファイバ コアに閉じ込めておく役割を持っています。ファイバに入射した光は、コアとクラッドの境界面で反射を繰り返しながら、ファイバの中を進んでいきます。

図 1:光ファイバの構造

db_290005.gif

ファイバのタイプ

現在、最も広く製造販売されているのは、シングルモード(SM)ファイバとマルチモード(MM)ファイバです。 図 2 に、この 2 つのファイバを示します。

図 2:SM ファイバと MM ファイバ

db_290006.gif

波長

ファイバに入射される光は少量で、 電磁スペクトル(図 3 を参照)が可視波長(400 nm 〜 700 nm)のものと、近赤外波長(700 nm 〜 1700 nm)のものとに分かれます。

図 3:電磁スペクトル

db_290007.gif

光ファイバによる通信では、伝送損失が少なくなる特別な 4 種類の波長が使用されます。次の表に、それらの波長を示します。

ウィンドウ

波長

損失

第 1 波長

850 nm

3 dB/km

第 2 波長

1310 nm

0.4 dB/km

第 3 波長

1550 nm(C バンド)

0.2 dB/km

第 4 波長

1625 nm(L バンド)

0.2 dB/km

光パワー

光の損失を測定するには、dBm と dB の 2 つの単位を使用します。 dBm は、mW を基準とした実際のパワー レベルを表します。dB(デシベル)は、パワー間の差異を表します。

図 4:光パワーの測定方法

db_290008.gif

光入力パワーが P1(dBm)で、光出力パワーが P2(dBm)とすると、パワー損失は P1 - P2 dB になります。 入力と出力の間で失われたパワーと dB 値との関係を、次のパワー換算表に示します。

dB

入力パワーに対する出力パワーのパーセンテージ

失われたパワーのパーセンテージ

備考

1

79%

21%

-

2

63%

37%

-

3

50%

50%

入力パワーの 1/2

4

40%

60%

-

5

32%

68%

-

6

25%

75%

入力パワーの 1/4

7

20%

80%

入力パワーの 1/5

8

16%

84%

入力パワーの 1/6

9

12%

88%

入力パワーの 1/8

10

10%

90%

入力パワーの 1/10

11

8%

92%

入力パワーの 1/12

12

6.3%

93.7%

入力パワーの 1/16

13

5%

95%

入力パワーの 1/20

14

4%

96%

入力パワーの 1/25

15

3.2%

96.8%

入力パワーの 1/30

たとえば、ファイバへの直接入射光(LD)の光入力が 0 dBm で、出力パワーが -15 dBm であった場合、ファイバの光損失は次のように計算されます。

Input   Output    Optical Loss 
0dBm -  (-15dBm)  =15dB 

パワー換算表を見ると、15 dB の光損失は、96.8 % の光パワー損失に相当します。 つまり、ファイバを伝送される光は、入力光パワーの 3.2 % に過ぎないことがわかります。

挿入損失について

光ファイバを相互接続すると、必ず損失が発生します。 コネクタやスプライスによる挿入損失とは、そのデバイスをシステムに挿入したときのパワーの差です。 たとえば、ある長さのファイバを用意して光を入射し、そこを通った光パワーを測定します。 その測定値(P1)を記録します。 次に、ファイバを半分に切断し、2 つの切断点を終端処理して接続し、もう一度光を入射して光パワーを測定します。 その測定値(P2)を記録します。 最初の測定値(P1)と 2 番目の測定値(P2)との差異が、挿入損失になります。つまり、ラインにコネクタを挿入したときの光パワーの損失が、挿入損失です。 これは、次のように求めます。

IL(dB)= 10 Log10 (P2 / P1)

挿入損失については、次の 2 点を理解することが重要です。

  • 挿入損失とは、同一のファイバで測定した値です

    データ送信側のコアの直径(または NA)が、データ受信側のファイバの直径(または NA)よりも大きい場合は、さらに損失が発生します。

    Ldia = 10 Log10 (diar/diat)2

    LNA = 10 Log10 (NAr/NAt)2

    ここで、

    • Ldia = 直径の差異による損失

    • diar = 受信側の直径

    • diat = 送信側の直径

    • LNA = 光ファイバの損失

    フレネル反射によってさらに損失が発生することもあります。 フレネル反射は、2 つのファイバが離れていて、屈折率の不連続な部分が存在しているときに発生します。 2 つのガラスファイバの間に空気のギャップがある場合、フレネル反射は 0.32 dB です。

  • 損失はラウンチによって左右されます

    挿入損失はラウンチに左右され、結合されている 2 つのファイバの状態によって影響されます。 ラウンチが短い場合は、クラッドとコアの両方で伝送される光エネルギーによって、光ファイバがオーバーフィルド状態になります。 距離が長くなるにつれて余分なエネルギーが失われていき、最後には equilibrium mode distribution(EMD; 平衡モード分散)という状態になります。 ラウンチが長い場合、ファイバは EMD に到達しています。余分なエネルギーはすでに失われており、コネクタの地点までは伝達されません。

    ファイバの相互接続部を光が通過すると、余分なクラッド モードによってファイバが再びオーバーフィルド状態になります。 このモードの光はすぐに減衰します。 受信側が短い場合はこの状態になります。 短い受信側ファイバの出力パワーを測定すると、余分なエネルギーが測定されます。 余分なエネルギーは遠くまでは伝達されないので、 この測定値は正しい値とはいえません。 逆に、受信側ファイバが EMD に到達するほど長い場合は、挿入損失の測定値は高くなりますが、実際の状態を反映した値になります。

    EMD(ラウンチと受信側がともに長い状態)は、簡単にシミュレートできます。 それには、マンドレルにファイバを 5 回巻きつけます。 これによって、クラッドモードが取り除かれます。

パワー バジェットの計算

リンクのパワー バジェットを大まかに計算できます。 それには、ファイバ間の接続損失を 0.75 dB とし、ファイバの長さに比例してファイバ損失が発生するものとします。

たとえば、3.5 dB/km の損失特性を持つ 62.5/125 ファイバが 100 m あり、途中に 3 箇所のパッチパネルがあるとすると、次のような計算によって、損失の合計は 2.6 dB と求められます。

ファイバ: 3.5 dB/km = 100 m で 0.35 dB

パッチパネル 1 = 0.75 dB

パッチパネル 2 = 0.75 dB

パッチパネル 3 = 0.75 dB

合計 = 2.6 dB

実際の測定値は、これより低くなるのが普通です。 たとえば、AMP の SC コネクタの挿入損失は、平均 0.3 dB です。 この場合、リンクの損失はわずか 1.4 dB になります。 10 Mbps のイーサネットであっても、155Mbps の ATM であっても、損失は同じです。

ファイバ システムの認証では、Optical time-domain reflectometry(OTDR; 光時間領域反射測定)計測器がよく使われます。 OTDR 計測器は、ファイバに光を入射し、戻ってきた光を検出して、結果をグラフィックに表示します。 OTDR 計測器は、光の戻ってくる時間を測定して、事象への隔たりを割り出します。 表示されたグラフを確認することで、単位長さ当たりの損失を調べたり、スプライスやコネクタの接続状態を評価したり、不具合が起きている地点を特定したりできます。 OTDR 計測器では、特定の地点にズームインして、リンクの一部をクローズアップできます。

リンクの認証や評価は、パワーメータと信号光源があれば実施できる場合が多いものですが、OTDR 計測器を使用すれば、リンク全体の状態の的確な把握と診断が可能になります。 ただし、OTDR 計測器の画面を解釈できるようになるには、より多くのトレーニングとある程度のスキルが必要になります。


Cisco サポート コミュニティ - 特集対話

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