最近、国内の月城原発や蔚珍原発で深刻な放射能漏れ事故が相次いで起き、韓国電力の安全管理体制のずさんさが改めて浮き彫りになった格好だ。地域住民や反核、環境団体は原発政策の見直しを含め事故の徹底究明など、政府・電力側を厳しく追求している。
慶尚北道の月城原発三号機で四日、原子炉建物内の冷却水用ポンプの修理中に重水が漏出し、作業員二十二人が被ばくする事故が起きた。漏出した重水の量は約四十五リットルで、作業中の安全規則を守らなかったことが原因とわかった。
同三号機は九月二十三日から原子炉を停止し、定期点検中であったが、この日、作業員が冷却水ポンプを分解する過程で起きた。作業員二十二人の被ばく量は年間被ばく許容量の十分の一以下だったという。
だが、月城原発側は大規模な放射能漏れ事故にもかかわらず、これを覆い隠した疑惑が持たれており、地域住民らに大きな衝撃を与えている。「原発事故・故障公開指針」によると、漏出事故の翌日の勤務終了までにインターネットなどを通して事故の事実を公開することになっているが、原発側は五日夜にマスコミが報道して、初めて事故を認め公表するなど、事故隠しが明るみなった形だ。
事故に関連して、環境運動連合、緑の連合など全国三十の環境団体や地域住民団体で構成する「韓国反核運動連帯」(李ヨンソン委員長)は六日、ソウル市内の世宗路政府庁舎前で糾弾集会を開き、政府の長期電力需給計画と原子力研究開発政策を批判する一方、真相究明のための民官合同調査団の構成を求めた。また、参加者らは原発作業員や地域住民らの放射能被ばくの危険性を訴えるダイ・インを行った。
月城原発の周辺住民五十人もこの日、同正門前で抗議集会を開き、「住民の生命を脅かす原発稼動を即時中止せよ」と書いたプラカードを掲げながら、徹底した真相究明と責任者の処罰を求めた。
一方、韓国電力は月城原発が八四年から今回の事故までに、七件の重水漏出事故を起こしていたことを明らかにし、そのうち、政府・科学技術部は三件の事故しか把握していないことがわかった。九七年に起きた二件の事故は、重水漏出量が十八トンと十一トンで、今回の漏出量の数百倍。
また、蔚珍原発二号機では水素漏出量が継続して増え続けていることが、一日の国会の国政監査で明らかになった。漏出した水素が空気中の酸素と結合すると、爆発する可能性が高いにもかかわらず、韓電側は運転停止基準の一日四十立方メートルを超えていないとして放置しているという。全羅南道の霊光原発四号機でも九月上旬、原子炉の制御系統の故障で稼動が中断している。
日本でも九月三十日、東海村のウラン燃料加工施設で作業の手抜きから深刻な放射能漏れ事故が起きた。原発の「安全への信頼」が崩れた今、原子力推進政策の再検討が迫られているといえよう。
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