クローズアップ2013:JR北、異常放置 特異な企業体質、背景 補助金漬け、責任あいまい 採用抑制、中核世代少なく

毎日新聞 2013年09月25日 東京朝刊

豊田誠・鉄道事業本部長(中央)が出席して開かれた記者会見=2013年9月24日午後、貝塚太一撮影
豊田誠・鉄道事業本部長(中央)が出席して開かれた記者会見=2013年9月24日午後、貝塚太一撮影
JR各社の概要(2012年度末現在)
JR各社の概要(2012年度末現在)

 2016年春には北海道新幹線・新青森−新函館(仮称)間が開業予定だが、安全管理体制への信頼は完全に失われた。JR北海道はこれまで、高速道路や航空会社との旅客争奪戦に勝ち抜くため高速化も進め、札幌と道内主要都市を結ぶ路線に新型車両を導入。最高時速は国鉄時代の100キロ程度から110〜130キロに伸ばした。

 しかし、国交省関係者は「このままではとてもまかせられない。これだけメンテナンスがいいかげんなのだから、開業なんてムリな話だ」と頭を抱える。

 ◇車両重く、保守にコスト

 鉄道のレールは列車の重量や振動、遠心力により横に広がったりするため、各鉄道事業者は整備基準値を定めている。JR北海道の場合、レール幅が規格(1067ミリ)に比べて直線で14ミリ、曲線で19ミリを超えて広がった場合、15日以内に補修するよう内規で定めている。旧国鉄時代の基準を踏襲したもので、JR各社にほぼ共通する内容だ。

 大都市圏の在来線の場合、コンクリート製の枕木にレールが固定されている。一方で、特急の走行路線を除くJR北海道の一部の路線には、盛り土に木製の枕木を並べ、クギでレールを固定しているだけの区間もある。JR北は脱線の危険が生まれる基準超過は理論上「43ミリ」としているが、「木製はコンクリート製に比べてゆがみが生じやすく、20ミリ超で脱線のおそれがある」との指摘もある。

 また、JR北が使っているディーゼル車の中には、電化された路線を走るJR各社の最新車両に比べ重量が3倍以上のものもあり、レールや枕木が傷みやすいため、大都市部に比べてメンテナンス費用がかかるという。

 だが、ある関係者は「JR北海道は民営化後も安全軽視の企業風土の下、レールや枕木の老朽化を長年放置し、メンテナンスに十分な費用を充ててこなかった」といい、「北海道内唯一の鉄道会社であるため、過信、慢心があったことは否定できない」と批判する。そのうえで「問題があるのに見て見ぬふりをし、JR側に全て任せきりにしてきた国の責任も重い」と指摘した。

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 ◇鉄道事業者に対する過去の事業改善命令

01年 7月 福井県内で2回にわたって起きた列車正面衝突事故で、施設保守などの安全管理が適切になされていないとして、京福電鉄(京都市)に自動列車停止装置(ATS)の緊急整備などを命令

03年12月 JR中央線や京浜東北線でトラブルが相次ぎ、「工事や安全上の管理体制がずさん。重大な事故につながる恐れもある」として、JR東日本に改善措置を命令

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