時流・底流:情報公開請求の却下 乱用禁止条例は権利制約

毎日新聞 2013年09月23日 東京朝刊

 大量の情報公開請求を「権利の乱用」とみなして却下できるとの条例を定める自治体が少しずつ増えている。特定の人物による「クレーマー」型の請求や、業者による営利目的とみられる請求が目立つようになってきたためだ。だが、それは住民の「知る権利」の制限につながる可能性もはらんでいる。

 ■1人から240件以上

 大阪市では、2010年ごろから1人の女性によって繰り返される情報公開請求と不服申し立てが問題化している。その請求の多くは、一読しただけでは意味が分からない。

 「芸能プロダクションを検討する法律」「(公文書の)表記『パフォーマンス』を法律上示すもの」「○○弁護士の法的根拠」−−こうした請求に対し、市は「本市は芸能プロダクションに係る法令を所管していない」「当該公文書をそもそも作成または取得していない」などの理由で「文書は存在しない」と回答したが、いずれも不服申し立てがなされた。12年度は、この女性から240件以上の不服申し立てがあり、市情報公開審査会が受け付けた不服申し立ての総数は前年度の3・2倍に跳ね上がった。「今年度に入っても同じ状況は続いている」(同市行政課)という。

 ■業者の大量請求も

 情報公開制度を活用して行政の監視を続けてきた同市の市民団体「見張り番」の松浦米子・代表世話人は、市の情報公開担当職員から「審査会にかかるのはいつになるか分からないので、不服申し立てはなるべく取り下げてほしい」と、遠慮がちに言われることが多くなったという。「一部の人によって他の市民の権利が制限される形になっている。職員も気の毒だ。大きな課題だと思う」と松浦さんは話す。また、多くの自治体では、地図業者などによる建築や道路関係の図面の大量請求が目立つようになっている。

 大阪府箕面市は05年に施行した情報公開条例に「開示請求が権利濫用(らんよう)に当たる場合は当該開示請求を拒否することができる」との条文を盛り込んだ。同市によると、前身の公文書公開条例にこうした規定はなかったが、02年に1人で400件を超す情報公開請求をした人物がおり、対応に苦慮したため、有識者会議に諮問した上で、新条例に拒否できるとの規定を盛り込んだ。

 ■16県市区に条例

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