どうすれば安全安心:シンプル葬儀のお値段 直葬は15万〜35万円が相場

毎日新聞 2013年09月19日 東京夕刊

 ただし、先祖代々が帰依してきた菩提(ぼだい)寺に墓がある場合、仏式の葬儀をしていないと納骨を断られたり、通夜・告別式のやり直しを求められたりすることがあるので注意が必要だ。「葬儀を省いたために気持ちの整理がつかず心の病になる人がいますし、親族に知らせなかったせいでトラブルになることもあります」と佐々木さん。直葬にすべきかどうかはケース・バイ・ケースのようだ。

 無宗教の葬儀も増えている。フラワーショップを全国展開し葬祭事業にも進出している日比谷花壇(本社・東京都港区)は年間約500件の葬儀を請け負うが、ほぼ半数が無宗教だ。「形式的な葬儀はしたくないが、火葬だけでは味気ないからと、直葬の後や四十九日以内に会食形式のお別れ会を催したり、自宅で家族中心のセレモニーをしたりするご遺族が多くなっています。費用を抑えたいというより、古いしきたりにとらわれず故人と家族の思いがこもった葬儀を実現したいという流れが強まっているのではないでしょうか」(ライフサポート事業統括部長の安藤路育(みちやす)さん)。実際の例では自宅庭に花の祭壇を設け立食パーティーを開いたり、ひつぎに孫が絵を描いたり、バイオリンの生演奏を入れたり、とかたちは自由だ。

 日比谷花壇の場合、自宅での葬儀は花祭壇、ひつぎ、納棺、遺影写真など一式で49万円から。別に霊きゅう車や火葬代に11万円。通夜食や返礼品の準備も含め、事前にホームページで各項目の費用や見積額が調べられる。

 佐々木さんによると、どの葬儀社でも、イラストのように一般的な白木の祭壇を省き故人を参列者が囲むスタイルにして、通夜か告別式だけの「1日葬」にすれば費用を抑えられるそうだ。「親族20人、一般参列者10人として、葬儀一式と火葬で総額60万円くらいからできます。僧侶の考え方にもよりますが、仏式でも執り行うことはできますよ」(佐々木さん)。1日葬にしても斎場の賃料は2日分かかるところがあるので、そこは確認しておきたい。

 シンプル葬儀への関心が高まる中、式場ごとに1日1組の家族葬専門サービス「ファミーユ」を展開しているのがエポック・ジャパン(本社・東京都港区)だ。「一般的な葬儀では看病で疲れた遺族が義理で参列する人たちへのあいさつに追われてしまいがち。これに対し、一番悲しい家族やごく親しい人たちが故人と大事な時間を過ごすのが家族葬」と語るのは、同社社長の高見信光さんだ。

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