JR北海道:ベテラン保線作業員「資材来ず、人も不足」

毎日新聞 2013年09月25日 07時29分(最終更新 09月25日 07時32分)

貨物列車の脱線現場で、復旧作業に当たる作業員ら=北海道七飯町で2013年9月21日午後0時43分、鈴木勝一撮影
貨物列車の脱線現場で、復旧作業に当たる作業員ら=北海道七飯町で2013年9月21日午後0時43分、鈴木勝一撮影

 ずさんなレール管理の実態が明らかになったJR北海道。保線業務を担当するベテラン社員は24日、毎日新聞の取材に「レール幅の異常は5ミリでも分かる。絶対に放置できないはずだ」と話した。同僚でさえ信じられない事態。安全運行の根幹ともいえる線路で、なぜ異常は放置されていたのか。国土交通省の特別保安監査で、どこまで解明されるかが焦点になる。

 この社員は、道東地方の保線部署に勤務し、今回明らかになった放置には関わっていない。レールの異常については「担当者なら軌間(レール幅)は目視で気づくはず」と言い切る。補修基準以下でも、現場で「異常」と判断すれば何らかの手を入れるのが通例だ。ところが、今回はJR函館線大沼駅で28ミリのレール幅拡大が発覚。97件の異常放置は、担当の大沼保線管理室など4部署に集中していた。「脱線しかねない非常事態。保線社員なら絶対に放置できないと分かっているはずだ」と首をかしげる。

 一方で、異常を認識し、本社に新たな設備投資を求めても要求通りに資材が投入されることはまれだという。現場では線路の砂利を敷き直すなど応急措置で乗り切るしかなく、「だましだまし補修しても、その後“予定通り”にレールが破断したこともあった」と証言した。

 レールの異常は車輪にもダメージを与え、乗客には振動や騒音などで乗り心地の悪さにもつながる。「目先の補修ばかりで、問題を先送りするだけ。現場には、どうせモノ(更新すべき資材)が来ないというあきらめムードが広がっている」と話す。

 一方、「現場はとにかく人が足りない」とも証言。JR北海道の社員数は、1987年に国鉄から分割民営化したときより約6000人少ない約7000人。野島誠社長は22日の記者会見で「必要な要員は配置している」と人員不足は否定したが、この社員は「ベテランの経験や技術でしのいできたが、限界もある」と話す。

 さらに、近年は北海道新幹線(2015年度末開業予定)の関連工事で、外注先に出向している社員も少なくない。外注業者も新幹線工事に追われており、この社員は「これまでなら外注に回していた仕事が、逆に本体に戻ってくるケースもある。人も金も新幹線工事に割かれ、在来線の仕事が手薄になっているのではないか」と話す。【森健太郎】

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