どうすれば安全安心:シンプル葬儀のお値段 直葬は15万〜35万円が相場
毎日新聞 2013年09月19日 東京夕刊
◇必ず見積もり、比較を/「1日葬」で費用を抑制/家族主体のサービスも
20日は秋彼岸の入り。この時期の墓参りや彼岸会(え)は広辞苑によれば平安時代からの風習だが、一方で変わりつつあるのが亡き人を送る葬儀の形だ。火葬のみの「直葬」や身内中心の「家族葬」といった“シンプル葬″が増えている。その費用と後悔しない送り方を探った。(医療ライター・福島安紀)
東京都内に住む主婦Aさん(46)は昨年11月に67歳で亡くなった父親の通夜・告別式をせず、火葬だけの直葬にした。「父は電車で40分ほどの実家で1人暮らしをしていましたが、親族のほとんどは遠方に住んでいるし、父も葬儀に金をかけるのはばからしいと言っていました。直葬は故人の遺志です」。費用は納棺、斎場での遺体安置料、火葬代など合わせて約30万円。火葬には近隣に住む親族12人だけが立ち会い、故人をしのんだ。
供養・仏事の情報提供や出版を手がける「鎌倉新書」が全国の葬儀社を対象に昨年12月に実施した調査(198社回答)では、直葬の割合は全国で10・4%、最も多い関東地方で17・9%。約4割の葬儀社が「増えている」と回答した。遺族が直葬を選ぶわけは(1)経済的理由(2)参列者がいない(3)宗教観の変化−−の順に多かった。
火葬だけなら手配も簡単と考えがちだ。実際、インターネット通販大手のアマゾンで、ひつぎや遺体に着せる装束など一通りの必需品をそろえられる。しかし「自宅や斎場への遺体の搬送、納棺、火葬場の予約にはノウハウがあります。埋葬・火葬は死後24時間を経てからと法律で定められており、自宅に安置できないなら保管場所にも困る。直葬でも葬儀社へ依頼するのが現実的でしょう」。「知っておきたいお葬式Q&A」(小学館)の著者で日本エンディングサポート協会理事長の佐々木悦子さんはそうアドバイスする。
気になる費用は、佐々木さんによると都内で民間の火葬場を利用すれば20万〜35万円程度、公営の火葬場なら少し安く総額15万〜25万円程度が相場だという。「同じ値段でも葬儀社によってひつぎのグレードやサービス内容が違うし、中にはひつぎをぞんざいに扱うようなところもあります。必ず見積もりを取り、電話や面会で対応を確認して選びましょう」