【岡本玄】卒業式で君が代を起立斉唱しなかったことを理由に減給処分を受けた大阪府立支援学校教諭の奥野泰孝さん(56)が、府に処分の取り消しなどを求める訴えを24日、大阪地裁に起こした。教職員に君が代の起立斉唱を義務づけた全国初の府条例が制定された2011年以降で初の提訴。「思想、信教の自由を保障した憲法に反する」とする原告側と府の間で、条例の合憲性が争われることになる。
府教委は4日、起立した教職員が実際に歌ったかどうかを管理職が目視で確認するよう求める通知も出しており、違反すれば処分の対象になる可能性がある。弁護団は「違法な通知に基づいて処分されることがないよう、将来の処分の差し止めを求める集団提訴も検討する」としている。
訴状などによると、条例は、橋下徹氏が知事だった2011年6月に成立。府立支援学校の校長は今年2月、この条例を踏まえ、3月の卒業式で起立斉唱するよう求める職務命令を出した。だが、奥野さんは信仰上の理由などから、起立して歌わなかった。