シェアハウス:8割が不適合 「寄宿舎」基準、業界懸念

毎日新聞 2013年09月25日 07時56分(最終更新 09月25日 08時30分)

 他人同士が一つの家に集まって住む「シェアハウス」のうち約8割の2000棟以上が、国などの基準で「不適合」とされる可能性が高いことが分かった。狭く危険な「脱法ハウス」の問題に取り組む国土交通省が今月、シェアハウスを含む複数人の居住施設の事実上の規制に乗り出したためで、部分的な改修で対応できない物件も多数に上るとみられる。業界には「安全に配慮した普通のハウスまで排除するのか」「廃業が続出しかねない」と懸念が広がっている。

 同省は今月6日、「事業者が入居者を募集し、自ら管理する建物に複数人を住まわせるケース」は「建築基準法上の『寄宿舎』の基準を適用する」と全国の自治体などに通知。学校や会社の寮などが該当する「寄宿舎」の基準を当てはめれば、各室に窓を取り付けることはもちろん、一般住宅や事務所より防火性能の高い間仕切り壁を設けることなどが求められる。

 業界団体「日本シェアハウス・ゲストハウス連盟」の今年6〜9月の調べでは、全国に約500のシェアハウス運営業者が存在し、約2500棟(うち8割が東京都内)を運営。このうち2000棟以上が戸建て住宅を再利用したもので、ほとんどが「不適合」となる可能性が高い。残りの一部は寄宿舎扱いだが、大半は事務所やマンションの一室を改修したケースで、多数が法令違反となる可能性がある。

 また、都は独自の条例で、寄宿舎もマンションなどと同様、火災時に各室の窓から下りて避難できるよう敷地内に数メートル幅の空き地を設けることを義務付ける。しかし、都心部の住宅は隣家と密接して建っていることが多く、空き地がなければ建て替えが必要になる。

 ある業者は「壁を改修するにもいったん退去してもらわなければならず、再開時は賃料も上げざるを得ない。まして、全面建て替えは現実的でない」と話した。連盟幹部は「大規模物件はまだしも、数部屋しかないシェアハウスを寄宿舎に当てはめるのが適当なのか。今後、国交省と話し合っていきたい」としている。

 同省建築安全調査室は、「都条例についてコメントする立場にない」とした上で「業界をつぶすつもりはないが、適法な範囲でやっていただくのが望ましい。基準が明示された方が運営しやすいとの声は、業者側からも出ていた」と説明している。【加藤隆寛】

 ◇ことば【シェアハウス】

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