ウォン相場上昇、ホットマネーに警戒

 米国の量的緩和早期縮小に対する不安感で、海外の短期的な資金が新興市場から引き揚げられ、韓国に流入しており、韓国の金融市場では海外のホットマネー(投機的短期資本)に対する警戒が高まっている。ウォン高が進み、韓国の製造業の価格競争力が低下する懸念が生じているほか、短期間に出入りするホットマネーの性質上、金融市場が不安定化するのではないかとの見方もある。

 24日のソウル株式市場では、外国人が20日連続の買い越しを記録し、その間の買い越し規模は約8兆3500億ウォン(約7670億円)となった。株式市場に流入する資金の大半は、債券市場に流入する資金とは異なり、相対的に変動性が高いホットマネーとされる。海外の資金が大量に流入し、ウォン相場は今月2日時点の1ドル=1100ウォン前後から24日には1072ウォンまで上昇した。

 ウォン相場急騰を受け、企画財政部(省に相当)のチェ・ヒナム国際金融局長は、ソウル市内の銀行会館に自動車、精油、重工業など民間企業の外貨運用担当者を集め、懇談会を開いた。チェ局長は「外国為替市場で期待感だけが高まる点は懸念される」と述べ、ウォン相場安定に向け、事実上の口先介入を行った。

 為替当局は8月末以降のウォン高を受け、9月11日に口先介入を行ったほか、秋夕(中秋節)連休には、企画財政部の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)第1次官がマクロ経済金融点検会議を開き、対策を協議した。

 為替当局は8月末ごろには、米国系のミューチュアル・ファンドによる投資が多かったが、秋夕連休前後になると、短期的な差益を狙った欧州系金融機関のホットマネーの割合が高まっているとみている。為替当局幹部は「具体的な数字は把握困難だが、量的緩和の縮小が先送りされて以降、短期的なホットマネーの流入が増える兆しを見せており、モニタリングを強化している」と述べた。

 サムスン経済研究所のチョン・ヨンシク首席研究員は「韓国に対する投資メリットの高まりを受けて流入した資金だが、一時的に大量の資金が押し寄せれば、今後量的緩和が縮小されたり、中国の経済指標が悪化したりするなど外部環境に変化が生じれば、一気に資金が引き揚げられ、かなりの混乱が生じかねない」と指摘。特に円や新興国通貨が下落している状況で、ウォン相場だけが上昇しており、輸出競争力に悪影響を与えかねないと懸念を示した。

李仁烈(イ・ジンソク)記者
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