【クレー射撃】３４歳シングルマザー中山、日本人史上最高「銀」

　クレー射撃の世界選手権は２３日、ペルー・リマで行われ、女子トラップで２００８年北京五輪４位の中山由起枝（３４）＝日立建機＝は決勝でロンドン五輪優勝のジェシカ・ロッシ（２１）＝イタリア＝に１０―１２で敗れたが、日本選手史上最高の２位となった。昨年のロンドン五輪以来の国際大会だった中山は、初体験の新ルールというハンデをものともせず、予選を３位。６人で行われた準決勝も通過した。井上恵（４０）＝ナスタジャパン＝は予選３６位で敗退した。

　３４歳のシングルマザーが新たな歴史を作った。中山にとって１５位で予選敗退に終わったロンドン五輪後、初の国際大会。「予選―決勝」から「予選―準決勝―決勝」に変更された新方式に「チャレンジしたい」という宣言通り、挑戦する姿勢を貫いた。

　上位２人が決勝への切符を手にする準決勝は、中山ら３人が２番手で並び、ミスした選手が脱落する競射で最後まで撃ち抜いた。「追われるような」緊張を味わったが、乗り越えた。五輪を含めて世界大会で日本勢初のメダルが確定した決勝。相手は五輪女王のロッシで、終盤にミスが出て逆転を許して銀メダルに終わった。だが、１対１で行った決勝に「スリリングで楽しかった。すごい心理戦」と新鮮だった。

　役員人事をめぐる日本協会の混乱が尾を引き、今大会の参加は７月に決まった。ぶっつけ本番ながら、３年後のリオ五輪へ第一歩を刻むことが出来た。７年後の東京五輪については「考えないようにしている」と慎重だが、まずはママの星として、リオで輝くメダルをつかみ取る。

　◆クレー射撃・トラップ　散弾銃で空中などを動くクレーと呼ばれる素焼きの皿を撃ち壊していく。トラップ種目は射手の前方１５メートルに配置されたランダムに放出されたクレーを撃ち破った枚数で勝敗を競う。

　◆中山　由起枝（なかやま・ゆきえ）１９７９年３月７日、栃木・小山市生まれ。３４歳。埼玉栄高時代はソフトボール部。日立建機入社後にクレー射撃を始め、００年シドニー五輪ダブルトラップ１３位。０１年に引退、結婚、女児出産、離婚を経て現役に復帰し、０８年北京五輪・女子トラップ４位。１２年ロンドン五輪同１５位。１０年広州アジア大会同種目で日本人初優勝。１６１センチ、５２キロ。家族は１女。