【宮田裕介】全国に知られる紅茶の老舗「ティーハウス・ムジカ」が、61年前に開いた大阪・堂島(大阪市北区)の店を閉める。25日にカフェの営業をやめ、10月中旬に紅茶販売も終える。日本の紅茶専門店の草分けだが、コンビニエンスストアやカフェのチェーン店に押され、客が減っていたという。
ムジカは1952年、店主の堀江敏樹さん(76)の父が始めた。当初はコーヒー中心の音楽喫茶だったが、家でレコードを聴く人が増え、69年に紅茶専門店に衣替え。2度、堂島内を転居し、今のビル3階に落ち着いた。小売りと卸売りも手がける。
紅茶の葉はスリランカやインドなどの原産国から直輸入。スリランカには70回以上足を運び、自分の目で茶葉を選んできた。カフェのメニューには50種類以上の紅茶が並ぶ。チャイやシナモンティーも他店に先駆けて出した。
日本で初めて本格的に紅茶をポットで出した店とされる。茶葉に湯を注ぎ、紅茶を飲む過程を楽しんでもらうことが一番のこだわりだ。「紅茶の味はその時々で変わり、時間がたつと最後に好ましい『渋み』が残る。『一期一会の瞬間』を大切にしてきた」