2008年12月16日

後藤組組長“除籍”の真相


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山口組系後藤組の組長を除籍処分
2008.10.14 21:18

指定暴力団山口組が傘下組織の後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長を除籍処分にしたことが14日、警察当局の調べで分かった。

捜査関係者によると、後藤組長は全国に約100人いる山口組直系の組長の一人。山口組の会合への欠席などが問題視され、除籍の理由になったとみられる。後藤組は「経済ヤクザ」である半面、山口組内の「武闘派」としても知られる。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081014/crm0810142120033-n1.htm






「よほどの事が…」山口組、武闘派後藤組長を除籍処分
資金力背景に大きな発言力

全国最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市)が傘下の有力組織、後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠政(本名・忠正)組長(65)を除籍処分にしたことが、15日までに兵庫県警などの調べで分かった。同県警によると、後藤組長は全国に約100人いる山口組直系の組長の一人。山口組の会合への欠席などが問題視され、除籍の理由になったとみられる。後藤組は山口組内の「武闘派」という半面、「経済ヤクザ」としても知られ、大きな資金力を背景に山口組内での発言力も大きかった。

同県警によると、9月中旬、静岡県内で開かれた同組長の誕生日を祝うゴルフコンペに、細川たかし(58)、小林旭(69)、松原のぶえ(47)、角川博(54)、中条きよし(62)ら5人の歌手が出席。このことが大々的に報道され、NHKは今月6日、5人を同局のすべてのテレビ、ラジオ番組への出演を当面の間、見合わせることを決めたが、捜査関係者は「(除籍は)こうしたことも考慮されたのではないか」と分析している。

後藤組は、1984年から89年にかけて、山口組と一和会の間で起こった「山一抗争」では、組員が大型ダンプカーで一和会の山本広会長(故人)宅に突入を決行し、機動隊員と撃ちあいになるなど武闘派ヤクザとしての存在感を示した。また、92年には映画「ミンボーの女」を撮影した伊丹十三監督(故人)を組員が襲撃、顔や両腕に全治3カ月の重傷を負わせたことでも知られる。

後藤組長は日本航空の個人筆頭株主に名を連ねたこともあり、組内随一の財力を誇った。関係者によると、直系組長は通常月額、80−100万円の上納金を納めるところを、後藤組の上納金は破格の数千万円に上ることもあったという。山口組五代目時代は「若頭補佐」として活躍したが、六代目に代替わりした後は「舎弟」となっていた。

関係者によると、除籍は、制裁である「破門」「除名」と違い、本人からの申し出を組織側が了承することが一般的という。

【ジャーナリスト・大谷昭宏さんの話】

「消息筋から聞いたところだと、原因は六代目との路線の違いだが、絶縁や破門となったら後藤組側も黙ってはいないので、あくまで責はないという穏便な除籍という形におさめたようだ。最大の経済ヤクザが抗争を起こしたら収拾がつかず、六代目、後藤組の双方が疲弊してしまい、警察を利することになってしまう。今回はどの関係者も口が重い。よほどのことが起こったのだと思われる」

ZAKZAK 2008/10/15

http://www.zakzak.co.jp/top/200810/t2008101510_all.html



山口組が後藤組組長を除籍処分

指定暴力団山口組が、傘下組織で二次団体の後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長(65)を除籍処分にしたとみられることが十四日、兵庫県警などの調べで分かった。

県警などによると、後藤組長は全国に約百人いる山口組直系の組長の一人。除籍処分は通常、本人からの申し出による措置で、組からの追放となる「破門」や「絶縁」などの制裁処分とは異なるが、今回の処分は事実上、山口組側からの制裁処分の可能性が高いという。

県警などは、芸能人五人が暴力団組長とゴルフコンペに参加したと報じられ、NHKが五人の番組出演を見合わせる騒ぎになった問題で、この組長が後藤組長だったとの指摘があることなどが理由になったとみている。

後藤組は「経済ヤクザ」である半面、山口組内の「武闘派」として東京進出に深くかかわったとされる。一九九二年には傘下組員五人が映画監督の故伊丹十三さんを襲撃したとして逮捕された。

(10/15 08:18)

http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0001521907.shtml






後藤組組長を「絶縁」処分 山口組、内紛の様相
2008年10月17日

指定暴力団山口組の執行部から除籍処分を受けた傘下の有力組織・後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠政(本名・忠正)組長(66)が16日、永久追放となる「絶縁」を言い渡されたことが捜査当局への取材でわかった。後藤組長や、一連の処分に不満を持った複数の直系組長が執行部を批判する動きがあるとして、捜査当局は抗争に発展するおそれがないか警戒を強めている。

捜査当局によると、後藤組長は山口組の幹部職「舎弟」に就いており、このクラスの幹部が絶縁を告げられるのは異例。後藤組の勢力は、準構成員を含めて約1千人とみている。

これまでの調べでは、山口組執行部は、誕生日に有名歌手を招いて開いたゴルフコンペなどをめぐって後藤組長を除籍処分にした。後藤組長がこれに不満を訴えたことから、執行部は「意向に従わない」として16日に絶縁を言い渡した。

これに対し、直系組長十数人が執行部を批判し、連名の文書を配布したことを捜査当局は確認している。文書には処分への疑問や、上納金が高額になったことへの反発などが書かれているという。

こうした執行部批判が表面化するのは珍しく、捜査当局は、不満を持つ組長らが山口組から脱退し、対立抗争などの動きにつながらないか警戒している。一方で、これらの組長の一部が批判を撤回したとの情報もあり、捜査当局は動静を注視している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200810160113.html



山口組が傘下の後藤組組長を「絶縁」 舎弟クラスでは異例
2008.10.17 11:52

指定暴力団山口組が、2次団体の後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長(66)を絶縁処分にしていたことが17日、兵庫県警などの調べで分かった。後藤組長は山口組の舎弟の1人で、このクラスの幹部の絶縁は異例という。

県警などによると、後藤組長は、最近の山口組幹部らの会合を欠席したにもかかわらず、9月に芸能人と静岡県内でゴルフコンペに参加していたことが発覚。山口組は、こうした行動などを問題視して後藤組長を除籍としたが、後藤組長がこれを拒否したため、山口組からの永久追放となる絶縁処分にしたとみられる。

また、後藤組と近いとされる九州の2次団体の組長も同様の処分を受けたという。一連の処分をめぐり、山口組内部の一部の組織で、組員を招集するなどの動きがみられ、一時は内部抗争に発展するとの見方もあった。現在、事態は沈静化に向かっているもようだが、捜査当局は引き続き、山口組の動向を注視している。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081017/crm0810171152006-n1.htm



御法度連発、シノギができず傘下団体に不満充満 後藤組除籍の背景
2008.10.17 22:51

指定暴力団山口組(総本部・神戸市)傘下の有力組織、後藤組の後藤忠政(本名・忠正)組長が除籍された問題で、後藤組長に同調する動きをみせた複数の主要団体のトップが相次いで除籍や絶縁とされていたことが17日、警察当局の調べで分かった。また、後藤組長が除籍処分を受けた背景には、山口組が改正暴対法対策として進めるシノギ(収益活動)に関する規制強化方針をめぐる対立があることも判明した。警察当局は今後、情勢によっては抗争に発展する恐れもあるとみて警戒している。

警察関係者によると、14日に除籍とされた後藤組長は当初、処分に強く反発。これに対し、総本部側は最も重い「絶縁」を科す方針を示したが、その後、後藤組長側が除籍の受け入れを表明。警察当局は、事態は収束へ向けて動き出したとみている。

暴力団の世界では不手際に対する懲戒は除籍、破門、絶縁−の順に重くなる。多くの場合、除籍は進退伺を出した場合に下され、一定期間後に復帰が認められる場合があるが、警察幹部によると「今回の後藤組長に対する除籍は、復帰の可能性を排除した厳しいものだった」という。

また、「後藤組に同調したとされた複数の組織が除籍や絶縁などの処分を受けており、組織内の不満はくすぶったままだ。警戒と監視を継続する」(警察幹部)という。

後藤組長除籍の発端は今月8日に総本部で開かれた会合の場だった。その場で、現在の6代目組長の母体である弘道会(愛知県)の最高幹部が、後藤組長が9月に有名歌手を招き、誕生日のパーティーを大々的に開いたことを問題視。後藤組長は強く反発して口論となったとされる。

警察当局は今回の除籍騒動を「山口組の内部に、執行部に対する不満が充満していることの表れ」と分析している。

バブル経済以降、「経済ヤクザ」として組織を牽引(けんいん)してきた後藤組長の除籍にまで発展した今回の対立の背景には、暴力団社会に共通の問題があるとされる。

山口組は、暴対法の改正でトップの使用者責任が問われやすくなったことに危機感を強め、傘下組織に対して(1)覚醒(かくせい)剤など違法薬物への関与禁止(2)行政対象暴力への関与禁止−など細かく規制。一方、この方針に対して「経済活動が著しく制限され、組織運営が立ちゆかなくなる」と批判を強める勢力があるという。

ある警視庁の元幹部は「山口組全体に『規制が乱発されているのに、6代目組長の出身母体は、ご法度御免とばかりに好きなシノギをやり放題ではないか』との不満がある。後藤組長は従来、シノギに細かく規制をかける総本部の姿勢に反発していた。今回の同調勢力の表面化で亀裂も明確になった」と指摘している。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081017/crm0810172254041-n1.htm








山口組:静岡・富士宮の後藤組長、「除籍」に

指定暴力団山口組が、いったん絶縁処分を決めた直系有力組織、後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長(66)について、絶縁より軽い「除籍処分」にしたことが警察当局の調べで分かった。後藤組長が引退の意向を示したため、除籍で落ち着いた模様だ。関係者によると、後藤組長が山口組内の会合を欠席したことなどから処分が浮上。後藤組長が処分に異議を唱えたため、一時は絶縁に決まったという。後藤組長の処遇を巡っては、山口組執行部を批判した複数の直系組長が処分される事態になったが、収束しつつあるとみられるという。

毎日新聞 2008年10月21日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081021ddm041040058000c.html



後藤組長の処分、「除籍」で決着 山口組
2008年10月22日2時29分

指定暴力団山口組の有力組織・後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠政(本名・忠正)組長(66)が永久追放の「絶縁」を言い渡された問題で、同組長の処分がより軽い「除籍」で決着したことが捜査当局への取材で分かった。執行部批判の文書を配布した複数の直系組長らも批判を撤回したといい、捜査当局は事態が落ち着きつつあるとみている。

捜査当局によると、後藤組長は9月の誕生日に有名歌手らとゴルフコンペをしたことなどを理由に山口組執行部から除籍処分を受けたが、同組長が不満を訴えたため、絶縁を言い渡された。しかし、執行部が正式決定する前の16日、同組長が除籍の受け入れを申し出たという。

http://www.asahi.com/national/update/1020/OSK200810200043.html



山口組が直系組長を大量処分 後藤組長の処分で波紋
2008.10.23 12:17

指定暴力団山口組が、2次団体の後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長(66)に絶縁処分を言い渡した問題に絡み、この処分に反発した計10団体の直系組長に対し、山口組が絶縁や除籍などの処分を言い渡していたことが23日、捜査当局の調べで分かった。

また、後藤組長については除籍処分に反発したため絶縁としていたが、除籍を受け入れたため、最終的に除籍処分に落ち着いたという。一方、後藤組の最高幹部らが直系組長に昇格する動きもあり、捜査当局は引き続き、一連の動向を注視している。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081023/crm0810231218017-n1.htm



山口組、直系組長10人処分 後藤組組長「除籍」問題

全国最大の指定暴力団山口組傘下、後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長(66)が除籍された問題で、山口組が新たに十団体の直系組長を絶縁や除籍などの処分にしたことが、兵庫県警などの調べで分かった。騒動の発覚からわずか十日ほどで全国直系組長の約一割にあたる大量処分になった。一時は内部抗争の可能性も指摘され、県警は市民に危害が及ばないよう警戒している。

県警によると、神戸や熊本県の組長二人が追放となる「絶縁」、五人が除籍、三人が活動を自粛する「謹慎」になったという。いずれも自身の処分に反発した後藤組長に同調する動きをみせたとされる。

騒動の発端は今月十四日。後藤組長が開いたゴルフコンペに芸能人五人が参加したことで、NHKが五人の番組出演を見合わせる騒ぎになったことなどを理由に、山口組が後藤組長に事実上の引退勧告を迫る除籍に踏み切ったという。

後藤組長は幹部ポストの一つに就き、豊富な資金力を背景に山口組内での発言力も大きかった。後藤組長が処分に従わなければ内部分裂の可能性もあったとされるが、執行部が最も重い絶縁処分の方針を示すと、後藤組長は除籍を受け入れ、引退を決めたという。組は解散して約千人の勢力が二つに分割され、それぞれ新しいトップが就く見通しという。

捜査関係者は「後藤組長は組内で扱いにくい存在だった。引退させたことで、組織の引き締めになったが、不満も残っている。当分は動向を注視しなければならない」としている。

(10/25 15:10

http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0001538760.shtml







【疑惑の濁流】巨大マル暴ぐらり 「後藤組除籍」から透ける「山口組」の“ディープ・インサイド”
2008.11.16 17:23

住吉会系幹部射殺事件に絡み警視庁の捜索を受けた山口組総本部=2007年2月26日、神戸市灘区 日本最大勢力を擁する指定暴力団「山口組」(総本部・神戸市)傘下の有力組織「後藤組」(静岡県富士宮市)の後藤忠政(本名・忠正)組長が除籍された問題は、後藤組長が処分を受け入れて引退することで表面上、収束した。図抜けた資金力と暴力性で存在感を示してきた後藤組長の除籍からは、山口組の現体制と不満分子のつばぜりあいが垣間見える。準構成員を含め約4万人。その山口組がぐらりと揺れ、火ダネの存在が明らかになった今回の「後藤騒動」。そのディープ・インサイドは−。

■「除籍」の衝撃

「後藤忠政組長を除籍処分とする」

神戸の山口組総本部で開かれた緊急幹部会で、後藤組長の除籍が決まったのは10月14日午前だった。

決定は電撃的に駆けめぐった。情報はやがて警察やマスコミにも伝わり、これがまた山口組関者へ、確認作業の形で逆流したため、「除籍」情報は組織の内外で混乱を極めることになる。

「処分の内容や背景、影響の見通しなど情報が入り乱れ、事実関係が整理されるまで時間がかかった」

ある関係者は、処分当日の混乱ぶりをこう明かした。

■直接理由は「素行問題」

警察関係者によると、除籍となった直接の理由は、後藤組長の「素行問題」だったという。

話は除籍処分の6日前、10月8日にさかのぼる。

この日、総本部で開かれた幹部会合で服役中の司忍(つかさ・しのぶ)6代目組長の留守を預かる最高幹部が、舌鋒鋭く“後藤批判”を切り出したという。

「後藤組長が芸能人を招いて開いた誕生日のゴルフコンペとパーティーが週刊誌に報じられ、世間を騒がせたことが問題視されたようだ。総本部側にしてみれば『暴対法の規制が厳しいこのご時世に、人目を引くような誕生パーティーを開くとはなんだ』という理屈だったのだろう。実際には周囲の者が気を遣って企画したものだったらしいが、その事情は無視される格好となった」(警察関係者)

この最高幹部の指摘を、後藤組長は承伏しなかった。

警察首脳部はこう明かすのだ。

「後藤組長が幹部会に欠席を重ねてきたことなども問責対象とされ、最高幹部と後藤組長の間で激しい口論となった。結局、その場では収まらず、翌週14日に幹部会を開いて処分を決めることになった」

警察関係者によると、後藤組長側が総本部側を拒絶する姿勢は徹底していたという。

14日の幹部会で「後藤組長本人は除籍、ただし跡目は認める」との処分が決定。次いでこの処分を後藤組長本人に伝達するため、直系組織の幹部級3人が“使者”に選ばれ、静岡県富士宮市の後藤組に出向いた。

だが、後藤組長はこれを拒絶したというのだ。

■超武闘派組織

日本最大の暴力団である山口組には、現在約90人の直系組長がいる。

直系組長が率いるのが2次団体。以下最大5次団体まで、構成員と非構成員約4万人がピラミッドをなしている。

除籍された後藤組は組員約1200人。山口組きっての武闘派として、警察の厳重な警戒監視下に置かれてきた。

一方で、「株や土地などの投機マネー経済に強く、経済社会への浸食が最も深く、広い」とも評される。

「組織の統率力、経済力、構成員・準構成員数、どれをとっても山口組随一なのが後藤組だ」

警察幹部はそう指摘する。

経済ヤクザである一方、凶悪犯罪をいとわない凶暴性に危機感を抱いた警察は昭和58年6月「後藤組壊滅対策本部」を設置した。だが後藤組は、こうした警察の警戒強化をあざけり笑うかのように平成4年、傘下構成員が凶悪事件を起こすのだ。

映画「ミンボーの女」で、市民の弱みにつけ込む暴力団の実像と、不当要求排除のノウハウを映像化した伊丹十三監督を自宅近くの路上で待ち伏せして襲撃。顔を切りつけるなどの重症を負わせる事件を起こしたのは今も記憶に新しい。

この事件後、警視庁は後藤組を「視察・内偵対象団体」に指定。組織壊滅に向けた会議も大小含めて毎年数多く開催されてきたが、「後藤組は、その配下の3次、4次、5次団体を樹木の地下茎のように張り巡らし、シノギ(収益活動)の葉脈を東京・歌舞伎町をはじめとして全国に展開。経済活動もますます複雑で効率的なものにシフトさせ、その勢いはとどまるところを知らなかった」(警視庁OB)。

それだけに、長年にわたって山口組内“最凶暴”の名をほしいままにしてきた後藤組のトップの除籍は、山口組全体を激震させる出来事となった。

■執行部批判の「怪文書」

後藤組長の“徹底拒否”で組織が大揺れとなっている中、執行部を批判する一通の文書が出回っていた。

「今回の後藤組除籍騒動を読み解くカギが含まれている」

ある警察関係者がそう指摘する文書である。

文書にタイトルはなく、本文は39字詰め63行。3枚の用紙の末尾には「直参」と呼ばれる直系(2次)団体のうち14団体の名称と、トップの氏名が並び、「連盟で、真に山口組を憂い、抗議する」との一文で結ばれている。

「内部を発信源とする怪文書のたぐいだろうが、内容にはわれわれが把握している情報と合致する事実が含まれており、現在の山口組が抱える問題点を突いている」(警察関係者)

では、「山口組が抱える問題点」とは何だろうか。

《六代目山口組として船出して以来、親分不在のなか故に、数々の悪政に耐え、今日に至ったが、この度、後藤の叔父貴への執行部の対処にわれわれは断固、抗議する》

文書は厳しい執行部批判で始まる。

続いて、後藤組長について《三代(の組長)に亘り山口組に多大な貢献をしてきた》と擁護する一方、糾弾調の文章が続くのだ。

《(後藤組長の)何ら落ち度のない非なき事を問題にする正常な判断すらできぬ堕落した執行部をこれ以上容認する事はできない》

■背景にはカネめぐる不満か

文書にある具体的な批判のポイントはほぼ、組織のカネにまつわる不満である。

抜粋するすると以下のような内容となる

(1)5代目時代よりも「会費」が35万円増額されたが、使途の説明がない

(2)飲料水や雑貨の組内での購入を強制されているが、収益の行方が不明朗

(3)5代目当時、「山口組会館建設」の名目で100人の直系組長から2000万円ずつ、計20億円の金を集め、用地も購入したが、6代目に移行後、いつの間にか売却されている。この経緯について公的書類を示してもらいたい

(4)5代目までに貯蓄した約10億円のカネについて納得いく説明を求める

(5)引退した元幹部が6代目山口組の公金より3億円を現在の幹部に預けたまま返納されていないとの事だが、預かった幹部が現在も幹部の職にいることを容認している執行部の是非を問う−−。

ある警視庁の現役捜査員は、この文書についてこう言って関心を示している。

「怪文書には違いないのだろうが、後藤組長への擁護と、現執行部のカネ集めや使途に対する批判という2重構造になっている点が興味深い。すでに把握している情報もあるが、カネの使途などについては興味をそそられる話だ」

警察幹部によれば、後藤組長は、現在の6代目体制になってから、山口組執行部への批判を強めていたという。そして、山口組組織内では、後藤組長に同調する構成員が、直系、格下を問わず、少なからずいたというのである。

■“同調団体”も処分 懸念される反動

山口組総本部は今回の騒動に絡み、後藤組に同調したとして約10団体を処分した。

最も厳しい「絶縁」から「除籍」、「謹慎」までと幅があるが、そのほとんどは、出回った批判文書の末尾に連名で名前が乗った組織と重なっている。

山口組は6代目体制に移行後、暴力団対策法の縛り付けが厳しくなったことを受け、シノギの手段を一段と細かく規制するようになったとされる。

「売春、薬物売買、強要を伴う粗暴活動、公共事業へのあからさまな介入要求など、御法度とされたシノギは数多い。しかし、その一方で、6代目の地元では、御法度が無視されている実態があり、批判の声が次第に大きくなりつつあった。後藤組長はその批判勢力の代表格とみられており、後藤組長に同調する勢力も、一掃を図った−というのが、今回の除籍騒動の本質ではないか」

関係者はそう指摘するのだ。

米国発の金融不安が広がるなか、経済のパイがしぼみ続ける日本では、アングラ社会を循環するカネも先細りになることは間違いない。

問題の核心がカネをめぐる不満だとすると、組織内の対立の火ダネは当面くすぶり続け、何らかのきっかけで今回の処分への不満もあいまって暴発を誘引する恐れがある。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081116/crm0811161724010-n1.htm






ニュースUP:現場で考える 山口組「除籍」騒動=組織暴力取材班

◇不況、上納の負担増

日本最大の暴力団・山口組(本部・神戸市)が揺れている。今年10月、約90人いる直系組長の一人で実力派幹部とされた後藤組(静岡県富士宮市)の後藤忠正組長に対し、山口組執行部が突然「除籍」処分を下したのだ。後藤組長は引退を余儀なくされ、この事態を巡って別の直系組長10人も処分された。警察当局は一時、山口組が分裂して抗争に入るのでは、と厳戒態勢を取った。構成員約4万人とされる巨大組織で、一体何が起きているのか−−。

◆批判文書

警察当局によると、その文書は10月中旬、山口組本部だけでなく、傘下組織や他の暴力団にまで郵送やファクスなどで送られたという。傘下組織の窮状を訴え、後藤組長の処分に異議をとなえるとともに、司忍(つかさしのぶ)(本名・篠田建市)・六代目組長=銃刀法違反罪で服役中=とナンバー2の高山清司若頭ら、執行部に対する批判をつづっていた。

これまでも出所不明の文書が出回ることはあった。だがこの文書は、直系組長13人の名が記され「以上連名で、真に山口組を憂い、抗議する」と表明した点で衝撃的だった。暴力団担当捜査員は「誰が書いたか不明な怪文書。だが文書に名前の出た組長が相次いで処分された。執行部への直訴状ともいえ、傘下組織の不満の高まりが分かる」とみる。

◆発端

後藤組長はなぜ処分されたのか。警察当局によると、組の行事を「体調不良」を理由に欠席しながら、9月に自らの主催でゴルフコンペを開催。さらにこのコンペに有名歌手が参加していたことが報道され、NHKが参加歌手の番組への出演を見合わせる事態に発展したことなどが理由とされる。後藤組長は執行部批判もしていたという。

後藤組長は上場企業の大株主になったり、関連企業を使って収益を得るなど資金力を誇った「経済ヤクザ」だ。山口組の東京進出で中心的な役割を果たし、関東の暴力団組織と山口組の窓口的な役割を担ったとされる。執行部は、山口組との一切のかかわりを絶つ最も重い「絶縁」処分も検討したが、最高幹部の調整などを経て、10月中旬に除籍処分に落ち着いたとみられる。後藤組長は当初、処分に反発したとされるが、最終的には受け入れた。

◆分裂の危機

一方、文書に名前が記された直系組長13人のうち、10人にも処分が下されたとされる。2人は「絶縁」、5人が引退を含む「除籍」、3人が「謹慎」。処分に反発し、山口組に反旗を翻すことも予想された。山口組はかつて、分裂した一和会との間で「山一抗争」を引き起こしている。処分対象となった組織は組員を集めるなどの動きを見せ、警察当局も厳戒態勢を取るなど緊迫した空気に包まれたという。

だが各組長も処分を受け入れ、結果的に直系組長の新旧交代が進んだ。警察当局も「騒動は収束した」とみる。分裂が回避された理由について、ある山口組関係者は「外に出て菱の代紋(山口組の紋章)がなければ、今までどおりのシノギ(経済活動)はできん。(一和会側が壊滅した)山一抗争の結果をみても分かる」と解説する。

◆「バブル期より多い」

一連の騒動の背景には、名古屋を拠点とする高山若頭率いる執行部が傘下組織から吸い上げる上納金を増やす一方、主な資金源だった建設業などの不況や暴力団排除運動の強化で、資金獲得が困難になっていることが背景にある。

例えば、組本部に毎月支払う「会費」。現在は直系組長で85万円、幹部クラスで105万円を納めるという。先の批判文書は「長引く不況の時、五代目時代の会費に比べ35万円も増えている」「バブル全盛時代でさえ今の会費より少額で充分(じゅうぶん)維持運営していたではないか」などと訴えている。

また、山口組本部は傘下組織に対し、100万円単位でペットボトル入りの水やティッシュペーパーなどを販売しているという。これについても文書は「飲料水、雑貨の購入、これは強制購入ではないか、我々は雑貨屋の親父(おやじ)ではない」と憤る。ある山口組関係者は「関東の暴力団組織は縄張りがあり、収入が安定している。そこで、雑貨を購入させて本部に金を吸い上げようという考え方が生まれる。しかし関西の組織は面的な縄張りはなく、収入は不安定。だから(雑貨などの購入は)きつい」と東西の「文化」の違いを説明する。

◆参勤交代

山口組本部による傘下組織の締め付けはこれだけではない。六代目体制になってからは、直系組長が神戸市の本部事務所に詰めさせられることが多くなったともいう。遠隔地の組長が神戸に住居を確保したケースもあり、山口組関係者は「することがなくても詰めなあかん。金も使うし、地元のシノギもできん。まるで参勤交代や」とため息をつく。別の関係者は「暴対法改正で(服役した組員の出所時の)『放免祝い』もあかん、ときた。もうヤクザやない。組織温存のため無理が通る。この世界も変わった」と嘆く。

山口組の動向に詳しい関西の金融業者は「かつて徳川幕府が大名にしたことと同じ。本部に実権を集めるのが狙いだろう」とみる。

◆続く冷戦

警察当局によると、後藤組長と今回処分された直系組長の多くが、五代目組長の出身組織に近いという。当局は「今後、関東の組織との窓口の役割を誰が担うかが問題。騒動は表向き収束したものの、執行部と前組長派との間で冷戦状態にあるようだ」と、引き続き警戒するとともに、山口組壊滅を目指し徹底した取り締まりを行う方針だ。

毎日新聞 2008年12月3日 大阪朝刊

http://mainichi.jp/select/opinion/newsup/news/20081203ddn005040035000c.html







後藤組長、肝移植に問題なし UCLAの疑惑で米当局

【ロサンゼルス15日共同】指定暴力団山口組系だった元後藤組の後藤忠正組長が、米ロサンゼルスの病院で肝臓移植を優先的に受ける見返りに、多額の寄付をしたとの疑惑が出ている問題で、米連邦当局は15日までに、病院側に不適正な対応はなかったとの結論を出した。

ロサンゼルス・タイムズ紙によると、後藤元組長ら日本人4人が2000−04年、米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)付属病院で肝移植手術を受け、うち2人が術後に10万ドル(約900万円)ずつを寄付していた。多数の待機患者がいる中で、手術の順番で優遇を受けたと指摘されていた。

米厚生省当局が調査した結果、4人には、他の患者が体に適さないとして移植を断った肝臓が提供され、優先的な扱いもなかったという。

しかし、疑惑を調べているグラスリー上院議員は、4人の中には移植の順番が500−600番台だったり、医師個人に金銭や腕時計を贈ったりしていた患者がいたと、不自然さを指摘している。

2008/12/16 11:54 【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121601000255.html






後藤組組長「除籍」の真相(1/2)
http://jp.youtube.com/watch?v=fnnMuUCXryc
後藤組組長「除籍」の真相(2/2)
http://jp.youtube.com/watch?v=4Z5h9HiqTtQ



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