「半沢直樹」 あのラストシーンに賛否両論
【芸能】
上層部の不正を暴き、銀行の窮地を救った功労者の半沢(堺雅人)に対し、中野渡頭取(北大路欣也)が証券会社への出向を命じたシーンで放送が終了。ナレーションの補足や「To be continued」の字幕も一切なし。理不尽な人事にうんともすんともいわず、眉間にシワを寄せる堺雅人のドアップにBGMが鳴り響き、幕を閉じた。「CM明け」を待って肩すかしを食らったファンは多かったのではないか。
原作者の池井戸潤氏は自身のツイッターで、〈半沢の処遇、しっかり原作通りでしたね〉とつぶやいたが、忠実だったのはあくまで「半沢の処遇」。小説「オレたち花のバブル組」では、出向を命じられた半沢の思いがつづられ、妻とのたわいのないやりとりで締めくくっている。きちんと完結しているのだ。
コラムニストの桧山珠美氏は、「この釈然としない、モヤモヤした気持ちはどうしてくれよう」と、こう続ける。
「久々に鉱脈を掘り当てたTBSの“手当たり次第やる”という意気込みは感じました。ドラマの続編はもちろん映画化、DVD、物販、再放送としゃぶりつくすつもりでしょう。ただ、留飲を下げてきた視聴者は、最終回で一気に水をぶっかけられました。これまで劇中で半沢が味わってきた苦しみまで全部背負わされた感じ。見る側にも“倍返し”でしょうか」
確かに視聴者は、あのラストで「この人事は何なのか」「処遇されて当然ではないのか」などと驚き、怒りや悔しさも感じた。消化し切れないストレスでいっぱいになったはずである。
ただ、その感情は、恐らく半沢と一緒だ。最後の最後に視聴者は、主人公と同じつらさを味わった。もしかしたら、これこそが演出サイドの狙いではないのか。視聴者と半沢の気持ちをシンクロさせ、不満を抱えさせることで、次作にもカタルシスを求めて食らいつくように仕向けた。そうだとすれば、なかなか計算された演出である。