小学生の兄、機転で弟救う 福知山露店爆発
福知山市の花火大会で露店が爆発し、3人が死亡、55人が負傷した事故で、負傷した名古屋市の小学生の兄弟と母親(41)が23日までに京都新聞社の取材に応じた。6年生の長男(11)はとっさの機転で1年生の次男(6)を爆発現場から遠ざけたため、次男は軽傷で済んだ。長男は重いやけどを負ったが、「とにかく弟を助けたかった」と振り返った。
兄弟は当時、火元のベビーカステラ店から約50センチしか離れていない堤防の階段に座っていた。店主が「ちょっとごめん」と言いながら、人混みをかき分けて階段に置かれていたガソリン携行缶と発電機に向かった。携行缶周辺から「カンカン」と缶をたたくような音が聞こえた後、「シュー」という音がし、霧状の冷たい液体が腕や脚にかかった。
ボンと爆発音がし、長男は背後に熱を感じた。熱風が迫る中、次男を目の前の河川敷方向に押しやり、由良川目指して一緒に全力で走った。川近くで転び、次男が「お兄ちゃん、大丈夫」と駆け寄ったが、「大丈夫やから川に入れ」とその背中を押した。次男は四つんばいで川の中に入り、長男も川に飛び込んだ。
逃げるタイミングが遅れていたら、次男は熱風による大やけどや引火の危険があった。母親は「次男を逃がしてくれた長男がいとおしい」と振り返る。
母親と長男は両腕と両脚に重いやけどを負ったが、次男は右腕の軽傷だった。長男は「まだ弟から、ちゃんとお礼は言われてないけど」とはにかむ一方、「(主催者には)僕が激痛で叫んでいる時を見てほしかった。僕たちをこんなひどい目に遭わせて腹が立つ」と声を震わせる。
母親は「被害者に事故の終わりは見えない」と話し、生活補償や再発防止に向けてほかの被害者との連携を探りたいという。
【 2013年09月24日 08時00分 】