滋賀県:琵琶湖下流に財政負担求める
毎日新聞 2013年09月23日 21時15分
滋賀県の嘉田由紀子知事は23日、台風18号による宇治川や淀川の洪水の危険性を下げるため、琵琶湖から下流への放流を国土交通省琵琶湖河川事務所瀬田川洗堰(あらいぜき)(大津市)で止めた結果、琵琶湖沿岸部の浸水被害が拡大したとして、下流の県外自治体に農業被害などの財政負担を求める考えを示した。県庁で記者団に語った。
同事務所は16日午前2時40分から午後2時半まで約12時間、放流を止める「全閉(ぜんぺい)」操作を41年ぶりに実施。琵琶湖の水位はマイナス25センチ(15日午前6時)から急上昇、16日午後7時に県の定める「氾濫注意水位」(70センチ)を超え、17日午前9時、77センチに達した。同事務所は「全閉による水位上昇は計算上、数センチだ」としている。
嘉田知事は「下流を守ると琵琶湖周辺で被害が広がる。下流の負担を協議していきたい。上下流が連携する新しい河川管理のあり方だ」と述べた。嘉田知事は21日、関西広域連合の首長会合で「下流を守るために治水の役割を果たした」と全閉操作を報告し、橋下徹大阪市長らが「感謝する」と応じた。
同県によると、台風18号で農地1658ヘクタールが浸水、農業被害の総額は約18億7500万円。【加藤明子】