警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
世界にウイルスが蔓延した。テレビニュースでわたしは知った。
そのウイルスに感染すると性欲が抑えきれなくなり、人は理性を失う生き物になる。
怖いと思った。
性のことは学校で学んで知っていた。理解できていないこともあるけれど、男のアレと女のアレをつかうことは解っていた。それである事が起これば子供が出来ることも。
男のアレだって見たことがある。ネットの画面を通してなら。
学んで興味を持ったけど、彼氏がいないわたしはネットの世界に頼るしかない。今でも彼氏はいない。学校へ行けなくなったせいだ。クラスの男子たちに恋することも出来なかった。けどまさか、おじさんに恋をするとは思っていなかった。
テレビを見た約一か月後。両親と共にわたしはある商業施設に行き、そして家へ帰らず住みついた。そこにはわたしたち以外の人も居た。みんな同じ理由だった。
たくさん人が居た。そのせいで食べ物は少量しかなかった。
だからみんな同じだった。多く得るために行動する。
外へ行く者、他人の食べ物を奪う者。
わたし達も例外ではなかった。外へ行くはずだった。けれど。
わたしの両親は争いに巻き込まれて死ん……殺されてしまった。
人間という同じものに殺されてしまった。
幸運か不運か、わたしは殺されなかった。その時、親と一緒じゃなかったからだった。
とても独りじゃ生きていけなかった。周りに守ってくれるものがないのに、こんな場所で生きていけるわけなかった。
でも、生きている。わたしは生きている。
それもこれも、貴方がいたから。
「なのに……なのに……、どうして死んじゃうの? わたし、これからどうやって生きていけばいいの? 答えてください。お願いします……。教えてください。貴方はどうして、わたしを助けたんですか? なんで、なんで……なんで……。わたしなんかを助けたんですかっ……! もう一度、声を聴かせてください。本当は嬉しかったんです。『好きになったみたい』って言ってくれた時、嬉しかったんです。だから、もう一度言ってください!」
鼓動がない胸に顔をうずめる。
「!」
彼の声だと一瞬思ってしまった。面を上げて声がする方へ振り向いた。
「アアアアッ! アアア―――」
感染者だった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。