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番外編 多数視点
番外編 とある初めての共同作業は永の別離
神様は私のことを見てくれない。
それは今に始まったことではない。彼のことを好きになってからずっと彼は私を見ていない。背景の一部のような気分だった。私は好きなのに、彼は私のことを女として意識していない。それを悟ったのは好きになってからわりと早かった。幼稚園の時、彼とは一番の仲だった性別関係なく他の誰よりも一番近くにいた。「たっちゃん」「やえくん」と呼びあうほどだ。
幼稚園だったから彼は好きという感情が芽生えていないだけなのかもしれないと後になって考えるようになった。だから、成長して思春期になれば変わる。そう思った。
再び彼と出会ったのは高校生の時だった。
あの時とは違う。私はおっぱいも大きくなったし女の魅力があると自負していた。
彼は幼稚園の時のように彼から接してきた。あの時と全く同じならまだよかった。信じられないことに初めて出会う感じで接してきたのだ。彼は私のことなど憶えていなかった。私は自ら思い出して欲しいと思ってあえて幼稚園時代を触れなかった。
結局、彼の記憶に幼稚園時代の私はいなかった。
私は私でなくなってしまう。
その前に、彼に――好きな人に刺されて死にたいと望んだ。印象を残したい、消えないように深く深く彼の記憶に刻みたい、と。本当の最後の手段だった。好きな人の手で私の願いが叶うはずだった。彼は、突然倒れてしまった。死んではいないようだったが、呼び掛けても反応が返ってこなかった。 彼に一体何が起きたか分からない。でも、命の心配はなさそうだった。
「彼、か。いいよね、今だけ私の彼にしても」
静かな部屋は小さな声でもよく聞こえる。
「付き合って、恋人になって、結婚したかった。ウエディングドレス着て、 ウエディングケーキ切りたかった。ふふ、あれだよね。初めての共同作業っていうけれど、殆どのカップルはすでに共同作業しているよね。ずっと思っていたんだ。――でも、私達の場合は共同作業って言えるよ」
落ちている包丁を拾う。
記憶を刻めないのなら自分に刻もう。一瞬でもいい。最高の形で。
私は彼の手に包丁を握らせ、自分の胸を刺した。
「私たちの……初めっての……、っすはぁ……共同作業っ…………」
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