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気仙沼さんま寄席
 

今日のダーリン

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・ぼくにも、昔、「ペンだこ」というものがあった。
 中指の第一関節人差し指側に、
 固くなってぐりっとしたカタマリがあった。
 鉛筆を使って、たくさん文字を書いていたせいだ。
 刺激を受け続けている部分の皮膚が、
 厚くなって角質化したのが「たこ(胼胝)」だ。
 タイピングで文を書くのが当たり前になって、
 いつのまにか、「ペンだこ」はなくなっていた。

 空手をやっている人の拳には、鍛えた「たこ」がある。
 野球のバットを振り続けている人にも、
 手のひらのなかに、いくつもの「たこ」があるはずだ。
 あんまり育ちすぎて固くなった「たこ」は、
 刃物で削り取ったりして小さくしてると聞いた。
 職人的な仕事をしている人にとって、
 「たこ」は勲章のようなもので、照れ臭そうにだけれど、
 ちょっと自慢そうに見せてくれるものだ。

・このごろ、ふと、思うようになったのだ、
 こころにも「たこ」のようなものがあるのではないかと。
 よいにつけ、わるいにつけ、軽い刺激に反応しなくなる。
 「感じやすいこころ」なんてものは、不要だと考える。
 「感じるこころ」がなくなるわけではないのだけれど、
 「感じやすい」「感じすぎる」は、
 こころの「たこ」のおかげでなくなっている。
 そんな気がするのだ。

 それでいて、まったく逆のようなこともあったりする。
 年齢が高くなると、涙もろくなるようなのだ。
 それは、老化現象のひとつなのかもしれないけれど、
 思いがこころの深いところで
 ぽんっと爆発しているかもしれない。

 つまり、表面的な刺激を感じなくなって、
 奥のほうで感じることに大きくこころが動く、と。
 そんなふうになるのかもしれないな。
 こころに「たこ」ができるっていうのは、ありがたいよ。
 「感じすぎる」というか、感受性が強いってことが、
 いいことみたいに言う人もいるけど、
 それが、あんがい他人に迷惑かけてることもあるしねー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
吠えすぎる犬というのも、愛されているうちに静かになる。

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