9月23日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが対円で続落-米金融当局者による量的緩和支持で
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが円に対して続落。ニューヨーク連銀のダドリー総裁が、政策当局は米経済の向かい風を「力強く」押し返す必要があると指摘したことを受けた。
ドルは主要16通貨の過半数に対して下落。この日はアトランタ連銀のロックハート総裁も、米金融政策はもっと活発な経済活動を生み出すことに注力すべきだと語った。円は主要通貨の大半に対して上昇。米2年債利回りは9月6日に0.53%と2011年5月以来の高水準を付けて以降、20bp低下している。ユーロは対ドルで下落。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、必要ならば新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)を実施する用意があると表明したことが背景。
デイリーFXのクオンティテーティブ・ストラテジスト、デービッド・ロドリゲス氏は顧客リポートで、「ドルはユーロなど主要通貨に対して安値付近での取引が続いている」とした上で、「ただし、ドルが鍵となる安値水準を維持し続けているという事実は、トレーダーらが一段のドル安には依然前向きではないことを示唆している」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは円に対し前週末比0.5%安の1ドル=98円85銭。20日は0.1%下げていた。円は対ユーロで0.7%上げて1ユーロ=133円37銭。
豪ドルオーストラリア・ドルは上昇。中国で製造業活動の拡大が示されたことが背景にある。オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国。英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが23日発表した9月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値は51.2。8月改定値の50.1から上昇するとともに、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト14人の予想中央値(50.9)も上回った。同指数は50を超えると製造業活動の拡大を表す。豪ドルは0.4%高の1豪ドル=0.9431米ドル。
FOMCは先週、市場の予想に反して資産購入の現状維持を決定。購入規模縮小には景気回復のさらなる証拠が必要だとの見解を示した。
ゲイン・キャピタル・グループのシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「ダドリー総裁は緩和策を現状で維持するというFOMCの決定に支持を表明した」とし、「こうしたハト派的な発言はドルに圧力をかけ続ける」と加えた。
UBSのテクニカルストラテジスト、リチャード・アドコック氏はドルが対円で鍵となる上値抵抗線の101円53銭、そして5月の高値103円74銭を突破する可能性があると指摘。その後の注目は、ほぼ5年ぶり高値となる105円75銭だと続けた。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数は0.2%下げて1011.81。先週は週間ベースで1%下げた。
ユーロ安いユーロは主要通貨の大半に対して値下がりした。
ECBのドラギ総裁は欧州議会がブリュッセルで開催した委員会で証言し、市中銀行による中銀への資金返済は「明らかに正常化の兆候であるものの、その結果としての余剰流動性の減少は短期市場金利への上昇圧力を強める可能性がある」と指摘した。その後議員らの質問に答え、「短期金融市場を中期的なインフレに関する当中銀の判断に照らして妥当な状態に保つために必要ならば、新たなLTROを含めいかなる手段も活用する用意がある」と言明した。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ユーロは年初以降では5%上昇と、最高のパフォーマンスとなっている。円は11.4%下げ、ドルは2.4%上げた。
原題:Dollar Falls a 2nd Day Versus Yen as Fed Officials BackStimulus(抜粋)
◎米国株:続落、金融株が安い-当局者発言に注目集まる
23日の米国株 は下落。S&P500種株価指数はここ1カ月で最長の連続安となった。この日は金融株に売りが出た。投資家は金融政策の方向性に関する手がかりを得ようと、当局者の発言に注目した。
ゴールドマン・サックス・グループとシティグループはいずれも下落。アトランティック・エクイティーズが米大手銀行の債券トレーディング収入が落ち込むと予測したことが売り材料となった。住宅建設株も安い。レナーとKBホームは24日に決算を発表する。一方、アップルは上昇。新型iPhone(アイフォーン)の好調な売れ行きが好感された。
S&P500種 株価指数は前営業日比0.5%下げて1701.84。ダウ工業株30種平均は49.71ドル(0.3%)下げて15401.38ドル。
クリスティアナ・トラスト(デラウェア州ウィルミントン)のスコット・アーミガー最高投資責任者(CIO)は、「投資家はいつか、この力強い上昇を支える材料は何かと問うだろう。確固たる数字が求められる」と述べ、「当局者らは市場の中和を試みている。今回、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和策を見送った。当局者は皆一斉に投資家に落ち着くよう呼び掛け、早まらないようけん制している」と続けた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は17-18日の会合で、緩和策の縮小を見込んでいた市場の見方に反して月間850億ドルの緩和策を継続すると決定した。それに反応し、S&P500週は先週、最高値をつけた。S&P500種は今四半期に入って6%上昇、年初来からは19%上昇した。
米金融当局要人発言ニューヨーク連銀のダドリー総裁はこの日、米経済には依然として「大幅な改善」が見られないとし、政策当局は向かい風を「力強く」押し返す必要があると指摘した。またアトランタ連銀のロックハート総裁は最近の景気鈍化を受け、米金融政策はもっと活発な経済活動を生み出すことに注力すべきだと語った。
ダラス連銀のフィッシャー総裁はFOMCが先週の会合で債券購入の縮小を見送ったことについて、当局の信認を損ねたとの認識を示した。
20日にはセントルイス連銀のブラード総裁がFOMCは10月に小規模な緩和縮小を妥当と考える可能性もあると述べたことを受けて、S&P500種は0.7%下げていた。
米国株の見通し投資家が当局者発言に注目している一方で、米国株にはワシントンから別のリスクが持ち上がっている。米連邦予算と借り入れ上限をめぐりオバマ大統領と共和党議会指導部の双方が態度を硬化し、協議が暗礁に乗り上げているため、政府機関の閉鎖あるいは債務不履行、またはそれに近い事態となり株式市場が混乱する恐れが高まっている。
ブルームバーグが9月10日に世界の投資家を対象にまとめた調査によると、回答者のうち40%は米政府機関が閉鎖された場合には米国市場への投資を後退させると述べている。エコノミストの多くは債務不履行に比べたら政府機関閉鎖の方がダメージは軽いとみている。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)のテクニカルストラテジスト、マクニール・カーリー氏は、今月20日は株価指数先物と株価指数オプション、個別株オプションの取引期限満了日が重なるいわゆるトリプルウィッチングだったため、過去の傾向を基に推測すると今週の米国株は下落する可能性が高いと指摘した。
カーリー氏の調査によると、1982年に株式指数先物が始まって以降、9月に起きたトリプルウィッチングの翌週にS&P500種は68%の確率で下落している。過去10年間では、確率は80%となっている。
金融株が安い、テクノロジー株は上昇S&P500種の産業別10指数のうち7指数が下落。金融株は1.5%下げた。一方、公益事業株とテクノロジー株はいずれも上昇した。ゴールドマンは2.7%安。シティグループは3.2%下落した。JPモルガン・チェースは2.5%値下がりした。
S&Pスーパーコンポジット住宅建設株価指数は1.6%下落。構成する11銘柄はいずれも下げた。レナーは1.7%安、KBホームは3.4%下落した。
アップルは5%上昇。同社は新型アイフォーンの5sと5cを、20日の発売から3日間で900万台販売した。ブルームバーグがまとめたアナリストの予想では5sと5cの販売台数は600万-775万台だった。
原題:U.S. Stocks Fall as Banks Slump, Investors Weigh FedSpeeches(抜粋)
◎米国債:続伸、金融当局者が債券購入ペースの維持を示唆
米国債相場は続伸。10年債利回りは今月の低水準近くに低下した。金融当局者が現在の債券購入ペースを維持するとの見解を示唆したことが買いを誘った。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、政策当局は向かい風を「力強く」押し返す必要があると指摘した。アトランタ連銀のロックハート総裁は、米金融政策はもっと活発な経済活動を生み出すことに注力すべきだと語った。連邦予算と借り入れ上限 をめぐる協議から、政府機関の閉鎖あるいは債務不履行、またはそれに近い事態となる懸念が再燃している。そうなれば金融市場が混乱する恐れもある。
SEIインベストメンツ(ペンシルベニア州)で80億ドル相当の資産運用に携わるショーン・シムコ氏は、「この日の動きは市場にある不透明感と、金融当局からのさまざまなメッセージに左右されている。メッセージの内容が一つになるまで買いが入り、ボラティリティも高まるだろう」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回り は前営業日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.7%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は9/32上げて98 9/32。利回りは18日に2.67%と、8月13日以来の水準に低下した。
財務省は24日に2年債(規模330億ドル)、25日に5年債(同350億ドル)、26日に7年債(同290億ドル)の入札を実施する。
ニューヨーク連銀はこの日、2019年6月から20年7月に償還を迎える米国債を37億ドル相当購入した。
ダドリー総裁ダドリー総裁は「経済はなお非常に緩和的な金融政策を必要としている」とし、「経済のファンダメンタルズ改善と、財政面の足かせおよびやや逼迫(ひっぱく)感の強まっている金融状況が経済を反対方向に引っ張っており、お互いにほぼ打ち消し合っている」と述べた。
グッゲンハイム・パートナーズ(ニューヨーク)の米政府債トレーディング担当マネジングディレクター、ジェーソン・ローガン氏は「ダドリー総裁の発言は全般に非常にハト派的だった。当局者が何を考え、縮小しない姿勢をどの程度強く確信しているかを量るのは重要だ」と指摘した。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は金融緩和を縮小しなかった一因として、予算をめぐる攻防からの経済への悪影響を挙げた。
議長は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「今後の財政協議は金融市場および経済全体に新たなリスクとなる可能性がある」と発言した。
ロックハート、フィッシャー総裁ロックハート総裁は最近の景気鈍化を受け、米金融政策はもっと活発な経済活動を生み出すことに注力すべきだと語った。
ダラス連銀のフィッシャー総裁はFOMCが先週の会合で月850億ドルの債券購入の縮小を見送ったことについて、当局の信認を損ねたとの認識を示した。
総裁は23日、テキサス州サンアントニオで講演。事前に配布された原稿によると、「今回の会合で何も変更しなければ、今後の政策運営において不確実性が増し、当局のコミュニケーションに対する信認に疑問を投げ掛けることになる」とFOMCで話したと説明。「その通りのことが起きている。喜ばしいことではない」と続けた。フィッシャー総裁は今年のFOMC会合では投票権を持たない。
FTNファイナンシャル(テネシー州メンフィス)の機関債調査責任者、ジム・ボーゲル氏は「来週の経済指標まで大きな持ち高は組まれないだろう。政治からの市場への明確な影響はないが、景気の足かせとなる可能性がある。今週の10年債利回りは2.68-2.78%のレンジで推移しそうだ」と述べた。
原題:Treasuries Rise After Fed Officials Back More EconomicStimulus(抜粋)
◎NY金:続落、先週の連銀総裁発言で緩和縮小への警戒続く
ニューヨーク金先物相場は続落。セントルイス連銀のブラード総裁の先週の発言が引き続き影響した。同総裁は来月の連邦公開市場委員会(FOMC)での「金融緩和の小幅縮小」はあり得ると話した。
ブラード総裁は20日、ブルームバーグとのインタビューで資産購入規模を維持した先週のFOMC決定は「ボーダーライン上にあった」と語った。同日の金はこの発言を受けて2.7%下落。7月5日以来の大幅安となった。
インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ)のヘッドディーラー、フランク・マギー氏は電話インタビューで、「追い風が吹かなくなった市場では、さらに売りが続いている」と指摘。「今のところ、価格を支える材料は多くない」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前営業日比0.4%安の1オンス=1327ドルで終了した。
原題:Gold Declines for Second Session on U.S. StimulusSpeculation(抜粋)
◎NY原油:6週ぶり安値-シリア危機による供給不安が後退
ニューヨーク原油先物相場は続落。シリア危機による供給不安が後退したほか、ナイジェリアとリビアの増産が響き、6週間ぶり安値に下げた。
国連安全保障理事会では米ロの合意に基づき、シリアに化学兵器放棄を求める決議案をまとめる作業が続いている。化学兵器禁止機関(OPCW)は20日、化学兵器に関する情報の第一弾をシリア政府から受け取ったと発表した。ナイジェリアでは破壊行為や盗難にあっていたパイプラインが操業を再開。米政府と議会の予算審議紛糾が政府機関の閉鎖につながりかねないとの懸念も、原油の売りを促した。
トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード)の市場調査ディレクター、アディソン・アームストロング氏は「シリア・プレミアムは基本的に消滅した」と指摘。「供給は増えつつある。新たな下落局面が確立されつつあり、簡単に102ドルまで下げそうだ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前営業日比1.16ドル(1.11%)安の1バレル=103.59ドルで終了。終値としては8月8日以来の安値。
原題:Crude Declines to Six-Week Low on Waning Middle EastConcern(抜粋)
◎欧州株:続落、ドイツ政局や米当局者発言に注目-銀行株安い
23日の欧州株式 相場は下落し、指標のストックス欧州600指数は月初来初の続落となった。ドイツ総選挙の結果に加え、ニューヨーク連銀のダドリー総裁とアトランタ連銀のロックハート総裁の発言も注目された。
スペインのサバデル銀行や英バークレイズなど金融銘柄が売られた。英国と北米で送電事業を手掛けるナショナル・グリッドと、フィンランドのエンジニアリング会社メッツォも下落。両銘柄の投資判断引き下げが売り材料。ドイツの公益事業株も下げた。新政権が再生可能なエネルギーの推進策を覆す公算が小さいとみられているためだ。
ストックス欧州600指数 は前週末比0.5%安の312.62で終了。7-9月(第3四半期)では9.7%上げており、このまま終了すれば四半期ベースで4年ぶりの大幅高となる。米連邦公開市場委員会(FOMC)が先週、緩和縮小開始を見送ったことが背景にある。
ランプ・アセット・マネジメント(デュッセルドルフ)で株式運用に携わるミヒャエル・ボイシュネック氏は、米当局は「債券購入縮小を10月または12月、それとも年内に行うのだろうか」と述べ、「ややボラティリティが高まっている。米当局の市場との対話が明確でなく、当局の姿勢が分からないためだ」と語った。
ダドリー総裁はこの日、米経済には依然として「大幅な改善」が見られないとし、当局は向かい風を「力強く」押し返す必要があると指摘。ロックハート総裁は最近の景気鈍化を受け、米金融政策はもっと活発な経済活動を生み出すことに注力すべきだと語った。
22日にドイツで行われた連邦議会選挙(下院)で勝利したメルケル首相は3期目の政権に向けて連立パートナー探しを開始。最大野党の社会民主党(SPD)または緑の党と連立する可能性がある。同国では連立協議は通常、4-6週間続く。
23日の西欧市場では、ギリシャとアイスランドを除く16カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Decline as Investors WeighGerman Election, Fed(抜粋)
◎欧州債:総じて上昇-ドラギ総裁が新たなLTROを示唆
23日の欧州債市場ではドイツなどユーロ圏諸国の国債が総じて上昇した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が低金利維持に必要ならば新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)を検討すると発言したことに反応した。
フランスとイタリア、スペインの国債も上昇。米ニューヨーク連銀のダドリー総裁が米経済には「非常に緩和的な金融政策が必要」と発言したことも支援材料となった。ドイツ10年債に対するアイルランド10年債の利回り上乗せ幅(スプレッド )は2010年5月以来の最小に縮小。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがアイルランドの格付け見通しを引き上げたことが背景にある。22日のドイツ連邦議会(下院)選挙で勝利したメルケル首相は、3期目の政権に向けて連立パートナー探しを開始した。
クレディ・アグリコルCIBの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロンドン在勤)は、「現時点での中銀各行の論調はハト派的で、中核国の国債を幾分支えるだろう」と語った。「選挙結果で驚きはなかった」とも述べた。
ロンドン時間午後4時49分現在、ドイツ10年債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.92%。19日には1.85%と、先月30日以来の低水準となった。同国債(表面利率1.85%、2023年8月償還)価格はこの日、0.22上げ100.73。
英国債相場も上昇。10年債利回りは2bp低下し2.90%。11日には11年7月以来の最高となる3.05%に達していた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日、0.155上げ94.35。英国では今週、インフレ連動債が発行される。
原題:German Bonds Rise as Draghi Says More Long-Term LoansPossible(抜粋)Pound Approaches Eight-Month High Versus Dollaron Growth Signs(抜粋)
更新日時: 2013/09/24 06:50 JST