ドラギ総裁:ECBは必要ならば新たなLTROを実施する
9月23日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は23日、必要ならば欧州の銀行システムに追加資金を注入するための新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)を実施する用意があると表明した。
同総裁は欧州議会がブリュッセルで開催した委員会で議員らの質問に答え、「短期金融市場を中期的なインフレに関する当中銀の判断に照らして妥当な状態に保つために必要ならば、新たなLTROを含めいかなる手段も活用する用意がある」と言明した。
米金融当局が緩和を縮小する見通しやユーロ圏の景気回復の兆候を受けて域内の短期市場金利は7月に、ドラギ総裁が「妥当でない」とする水準に上昇。その後に低下したものの、金融システム内の余剰流動性はECBが先に下限と示唆した2000億ユーロ(約26兆6800億円)に近付いている。
総裁は議会証言の冒頭で、市中銀行による中銀への資金返済は「明らかに正常化の兆候であるものの、その結果としての余剰流動性の減少は短期市場金利への上昇圧力を強める可能性がある」と指摘した。
総裁は「ECB資金への依存は一貫して低下している」とも述べた。ECBの20日の発表によると、市中銀行は今週、3年物LTRO資金を79億1000万ユーロ返済する計画で、返済額は5月以来で最大。
ドラギ総裁は余剰流動性の減少が金融政策に対して意味するところを「特に注視していく」とし、5日の会見での発言内容を繰り返した。
会見時には「余剰流動性は8000億ユーロから2500億ユーロまで減っている。過去に下限として2000億ユーロという数字に言及した記憶があるが、これはあくまでも状況次第だ。市場分断の度合いによる」と述べていた。
総裁はこの日、「過去1年の間にユーロ圏の信頼感は回復した。その結果、域内調達市場の分断も解消に向かっている。この改善はECBの非伝統的措置だけによるものではなく、ユーロ圏のガバナンス改善と改革推進で各国政府が前進した結果でもある」と語った。
原題:Draghi Says ECB Will Offer More Long-Term Loans If Needed(1)(抜粋)
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更新日時: 2013/09/24 02:27 JST