2013.09.02
暑い夏休みが終わり、今日は少し気温が下がるかな、と期待しましたが、湿度が高く蒸し暑い朝になりました。グランドでの式を予定していましたが、雨空なので、急遽、記念体育館となりました。
以下は、校長式辞です。
おはようございます。
この夏は、38℃を超える日があるなど猛烈な暑さが続きましたが、こうして生徒の皆さんの元気な姿を見ることができて嬉しく思います。事故も病気もなく元気に過ごすことができましたか。
長い夏休みが終わりました。あれもやりたかったとか、こうしておけば良かったとか、思い残すことはいろいろあるかもしれませんが、今日から、二学期です。気持ちを切り替えましょう。今日と明日は、課題テストがありますが、そこでは夏休みの学習の成果を発揮して、一区切りをつけて下さい。そして、早く気持ちを二学期の勉強に切り替えましょう。学校での勉強のリズムをつかむことを、この休み明けの2,3週間の目標にして下さい。
学びの秋といいます、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋と言ったりもしますが、むかしから秋は、生活を充実させるときという思いがあるのです。この秋は学ぶことを最優先にして欲しいと考えています。この二学期に君達に本気で取り組んでもらいたいのは、勉強です。授業を中心にした勉強です。今年から三学期制に変えました。その目的の一つは、授業を中心にして勉強を最優先するということです。長い休みが終わって、速やかに勉強する雰囲気を作ることを目指します。学習する環境と学習する雰囲気が各クラス始め学校中にできることを期待しています。
学ぶことは、授業中に学ぶことだけでなく、部活動や学校行事から学ぶこともたくさんあります。学校では、楽しさを第一とするのでなく、どんな場面でも何を学ぶかを第一に考えて下さい。二学期には、学校行事がちりばめられています。高二の北海道修学旅行、中学の体育祭、中三の沖縄修学旅行、そして文化祭です。どの行事も全力を尽くして取り組み、素晴らしい学習の場としてください。
昨年の5号館の改修に続いて、この夏3号館が生まれ変わりました。君達がより快適に学習できるように、より明るく、より広い教室、そしてIT機器を利用することができる機能的な教室をと考えました。よりオープンな教室環境を整えたのです。見えない部分では、壁や窓の断熱性を高めたり、まぶしさを防ぐ工夫もしています。そして女子トイレをシャワートイレにしました。
新しくなった施設を大切に使って欲しいと思います。この校舎改修はこれからも続きます。
この校舎の披露も含めて、9月10,11日に全校で授業参観を行います。今の学校の状態はどのようであるか、授業を大切にして学校力を高めるために、学校がどのような取り組みをしているかを保護者の方々に見ていただき、意見を聞きたいと考えています。君達が日頃家庭に帰って、学校の様子を話したり、話さなかったりするなかで家庭の中に市邨のイメージができていると思いますが、実際の学校の様子を見てもらうことで、これからどのような学校を期待するのか、それを聞かせてもらいたいと思っています。
私自身も学校中を歩き回って、授業の様子、生徒諸君の様子、先生方の取り組みなど、今の学校の再確認をしたいと考えています。良いことがあれば学校中に広めたいし、悪いことがあれば直ぐになおしたい。そのためには、この二日間だけでは無理だろうと思います。ですから、これからはできるだけ時間を作って、学校を見て歩きたいと考えています。幸い、新しい校舎では、廊下側の窓が大きくなり、オープンになりましたので、君達の授業の様子は誰でも見ることができます。閉ざされた教室の授業でなく、開かれた空間での授業が君達にもたらすものを期待しています。
また、プロジェクターを利用したり、モバイル端末を利用したりする、ビジュアル化した授業を研究していきますので、今後の授業に期待してください。
この休み中に、学校のこと、君達生徒のことを考えていました。本校が君達に与えることができるものは何だろう。一時的な満足を与えることでなく、もちろん、学校への不満をつくり出すことではない。何をもって君達にとっての人生の糧とすることができるのだろうと、考えました。
もちろん、高校生として備えているべき知識や、学習するという習慣や学習の仕方を身に付けることが重要なことはいうまでもないだろう、でもそれ以上に必要なことは何だろう。
それは、やはり「建学の精神」なのだと思い至りました。「一に人物、二に伎倆」、これです。人間として優れた人、人間的に優れていることを目指すこと。市邨の生徒は、人間として素晴らしいんだと認められることが本校の目指す生徒だと思います。生徒諸君を、「慈 忠 忍」の心を備えた人物として世界に送り出すこと、これが本校の使命だと再確認したのです。
市邨生が人間として信頼されること、そのためにどのような学校であるべきか、どのような授業であるべきか、部活動や行事を含めて、どのような学校生活であるべきかを厳しく見つめ直そうと思います。
生徒の皆さんも一人一人がこの「建学の精神」を目指して学習するよう期待します。二学期を「学びの秋」にして行きましょう。
2013.07.19
朝から照りつける太陽の下、時折吹くそよ風に涼味を感じながら、一学期終業式を行いました。
生徒諸君は暑さに耐えてよく聴いていましたが、炎天下ですので、あらかじめ用意した式辞はその通りでなく
要約して話をしました。以下はその用意していた式辞です。
一学期終業式校長式辞(原文)
毎日うだるような暑さが続きます。今年は平年より2週間も早く梅雨が明け、7月としては記録的な暑さだそうです。体調の管理には注意しなければなりません。夏休み中は生活が不規則になりがちですので、特に自分で意識して管理して欲しいと思います。生活のリズムを規則正しく保つようにしましょう。
さて、今年から3学期制になり、今日、一学期の終業式を迎えることとなりました。明日からは、長い夏休みに入ります。
夏休みをどう過ごすかは、君達のこの一年間の成長にとって重大です。これまでも学校は学ぶところだと、何度も話してきました。学ぶのは、いい成績を取るためではありません。市邨の建学の精神である「一に人物、二に伎倆」は、学ぶのは、人間としての成長のためであるといっています。授業で学ぶことはもちろん学校生活最大の学習の機会ですが、授業から離れて、自ら主体的にする学習が最も重要です。夏休みは授業とは違う形で学ぶ最大のチャンスなのです。
自らする学習には国語や数学といった教科の学習だけでなく、もっと広い意味での学習が含まれます。先日、テレビを見ていますと、街の店先で店番をしているおばあさんにインタビューをしているシーンがありました。「八十四歳で店をやるのは大変ですね」と聞くと、おばあさんは笑いながら、「人間いくつになっても勉強だがね」と応えられました。この「勉強」というのはどういう意味でしょうか。人の生活は毎日同じことの繰り返しだけれども、その繰り返しの中で成長し変わっていく自分がある。成長しているといえるのは、働いたり、生活したりする中で人と交わること、これを「勉強」と呼ぶのだろうと私は思います。
これはまさに広い意味での学習であって、いくつになっても成長に向けての学びが大切だと、おばあさんは言っておられる。中学生、高校生の君達の間では、「勉強」という言葉が机の前に座って数学や英語の狭い意味で使われていますが、実は、この一学期に行った体育祭や開田高原での合宿や名経大での授業体験などの活動は全て勉強=学習なのだと思います。まさに人として成長するためだからです。
夏休みはまさにこのような広い意味での学習をする機会です。もちろん補習もありますし、部活動もありますので学校に出てくることも多いでしょうが、自分で勉強する時間をたっぷりとることができますし、自分の思うように勉強することができます。夏休みの課題をやることはもちろん必要ですが、与えられた課題だけでなく自らの興味があることや自分がなりたい目標に向かって準備をすることがもっともっと重要です。
そんな学習の中で忘れてはならないのは、読書です。本を読んでください。図書館では夏休みのおすすめ図書を紹介していますが、本を読むことは、想像上の体験です。みずからおこなう体験にとどまらず、他人の体験であり、今の出来事だけでなく時代を越えた人の営みをを実感できるのですから、学習の幅を大きく拡大してくれるのが読書です。およそ現代に生きる人間にとって、知識の大半は本によって得られるといっていいでしょう。本を読まない生活はあり得ないわけですが、スマホや携帯端末におされて読む本の数は減っています。ネット上で探索して得られる知識は、あまり身につきません。大きい辞書を持っていてもそれが自分の知識といえないのと同じです。つまり知識の量が確実に減っているといえます。
自分の高校時代をふり返ってみると、夏休みの課題だったのは古典の、「方丈記」や「更級日記」でした。文庫本を買わされて、読まされました。始めは苦痛でした。解説本ではないので、古文をそのまま読むしかありません。何度も読み返していると不思議なことに、いちいち現代語に訳さずとも何となく意味がわかる気がしてきたのです。それまで全く嫌いだった古典が、いや現代文も一緒に国語が好きになりました。できないと思っていたことができるようになりました。小学校のとき、何度やってもできなかった逆上がりが、夏休みに毎日学校の鉄棒にぶら下がって、見事逆上がりができたときのような喜びでした。それで今でも私にとって古典文学というと、思い浮かぶのは、源氏物語ではなく方丈記と更級日記なのです。
中学校の皆さんは、新美南吉を知っていますね。小学校のとき「ごんぎつね」を読んだと思います。今年は、新美南吉が生まれて百年ということで、彼の生まれた半田市では、新美南吉生誕百年記念事業を行っています。私にとって宮澤賢治の次に好きな童話作家です。新美南吉記念館は私の家から歩いて行くことができます。そこに次の詩を刻んだ記念碑が建っています。二九歳でなくなった南吉の二二歳の時の作品です。ちなみに「ごんぎつね」は一七歳の時の作品です。
デンデンムシノ カナシミ 新美南吉
イツピキノ デンデンムシガ アリマシタ。
アル ヒ ソノ デンデンムシハ タイヘンナ コトニ キガ ツキマシタ。
「ワタシハ イママデ ウツカリシテ ヰタケレド、ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルデハ ナイカ」
コノ カナシミハ ドウ シタラ ヨイデセウ。
デンデンムシハ オトモダチノ デンデンムシノ トコロニ ヤツテ イキマシタ。
「ワタシハ モウ イキテ ヰラレマセン」
ト ソノ デンデンムシハ オトモダチニ イヒマシタ。
「ナンデスカ」
ト オトモダチノ デンデンムシハ キキマシタ。
「ワタシハ ナント イフ フシアハセナ モノデセウ。ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルノデス」
ト ハジメノ デンデンムシガ ハナシマシタ。
スルト オトモダチノ デンデンムシハ イヒマシタ。
「アナタバカリデハ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス。」
ソレヂヤ シカタナイト オモツテ、ハジメノ デンデンムシハ、ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
スルト ソノ オトモダチモ イヒマシタ。
「アナタバカリヂヤ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス」
ソコデ、ハジメノ デンデンムシハ マタ ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
カウシテ、オトモダチヲ ジユンジユンニ タヅネテ イキマシタガ、ドノ トモダチモ オナジ コトヲ イフノデ アリマシタ。
トウトウ ハジメノ デンデンムシハ キガ ツキマシタ。
「カナシミハ ダレデモ モツテ ヰルノダ。ワタシバカリデハ ナイノダ。ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラヘテ イカナキヤ ナラナイ」
ソシテ、コノ デンデンムシハ モウ、ナゲクノヲ ヤメタノデ アリマス。
休み中元気に過ごして下さい。そして、元気な姿で九月に会いましょう。
2013.04.08
4月6日(土)、悪天候の予報を受けて、何とか持って欲しいという願いが通じたのか、式が終わるまで、嵐が待ってくれました。
新入生の皆さんに、これからの学校生活の中で、大いなる成長、飛躍を遂げて欲しいと願っています。
校長式辞です。
春の嵐が吹き、桜吹雪が舞う中、草木は一斉に芽吹いて春を謳歌しています。本日ここに平成二十五年度入学式を挙行できますことは誠に喜ばしく、心から感謝申し上げます。 本日ご多用の中をご臨席賜りましたご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。
中学校新入生五十九名、高等学校新入生三百二十八名の皆さん、入学おめでとうございます。また、保護者の皆様に心よりお喜びを申し上げます。
今日から皆さんの市邨学園での六年間、あるいは三年間が始まります。新しい世界で何が起こるか、期待で胸が膨らむと同時に、不安な心が胸をふさいでいるかもしれません。そのような複雑な気持ちを包み込んで、さあ頑張るぞとやる気を奮い立たせている顔も見えます。
市邨中学校・高等学校は、今年で、百七年目を迎えます。明治四〇年に市邨芳樹先生が全国に先駆けて女子商業教育のために創立したのが始まりですが、以来建学の精神として、「一に人物、二に伎倆」を掲げています。伎倆というのは、知識や技能であり、体得した能力のことですが、それよりも、「人物」であると、「教育とは究極において人間性の完成である」と謳っているわけです。
そして、どのような人物たれと述べているかというと、校訓三則であります「慈 忠 忍」の心を備えた人間の完成を目指します。慈とは、いつくしみ、あわれむ心です。心から人を愛する心、優しさのことです。忠とは、真心です。真っ直ぐに道を進むこと、自分の仕事を懸命に努力することです。そして、忍とは、粘り強く、苦難に遭っても我慢し、耐え忍ぶことができる、めげない強い心です。
「一に人物、二に伎倆」、そして、「慈忠忍」の校訓三則は、私たち市邨学園を支える根本精神として、私たちの教育理念を形作っているのです。
創立者であります市邨芳樹先生は、大正六年(一九一七年)四月の入学式で、次のように述べています。
「皆様は、入学の最初から人より好成績にならうという横のつながりを考えるより、去年より今年、昨日より今日というように善くなっていただきたい。とかく世間は横の考えに重きをおいて、縦を軽んずる者があります。それは大いなる誤解であります。人には各短所もあれば長所もあります。現に本校では試験の点数は本人にも父兄方にも知らせないことにしております。試験前に暗誦して百点取っても実力がなければ何の役にも立ちませぬ。試験故に勉強せず、国の為家の為に大切な務めをする人としたいのが希望でございます」
横つまり人と比べるより、縦つまり自分の中での成長を考えよ、と述べています。これは現代の教育理論でいえば、相対評価ではなく、到達度評価と共に、個人内評価を重視せよというもので、今の学習評価の考え方を先取りしています。さすがに、今では成績を本人や保護者に知らせないということはありませんが、その気概、つまり、点数ではない、本当の学力をつけよ、という精神は受け継いでいきたいとおもいます。試験の為に勉強するのでなく、人の為に役に立つ人間になれ、そのために実力をつけよというのは、今も変わらぬ教育方針です。
今年度より高等学校では、新学習指導要領に基づく教育課程が本格的に始まります。それに併せて、コースの設定始め、かなり大きな改革をしました。コースは、特進コース、文理コース、キャリアデザインコースですが、それぞれに特色を持たせました。そしてそのために二年次からは本校独自の設定科目など選択教科科目を設けています。週当たりの授業時間数は、特進コースは34時間、文理とキャリアデザインコースは32時間としました。これは県下の公立私立の平均を少し上回っています。そして、これまでの二学期制を三学期制に変更しました。そのために、学校行事を見直しました。学校生活の様々な分野の中で、より学習効果が上がるようにしたいと考えています。生徒が自ら考え、自ら判断し、自主的に学習や部活動や生徒会活動ができる生徒に育って欲しいと願っています。
さて、生徒の皆さんは、なぜ、春になったら草木は芽を出すんだろうとか、なぜ春の草木は桜のように花が先に咲くんだろうとか、疑問に思ったことはありませんか。あるいは、なぜ1+1は2に決まっているんだろうとか、円周率はなぜ3.14159...なんだろうとか、考えたことはありませんか。私は、そのような疑問を放っておくことができず、親に聴いたり先生に聞いたり本で調べたり、大人にとってはうるさい子でした。でもそれが、いつか、物質は原子からできていることや、宇宙には始まりがあったんだとかを知るようになり、科学への興味と共に自分の生き方に関わってくるようになりました。「なぜだろう」と疑問に思うことが学ぶことの始まりだと思います。好奇心こそが、学びの原動力であり、科学技術の発展の源だろうと考えています。やらされる勉強ではなく、いい成績を取るための勉強ではなく、憶えるだけの勉強ではなく、自分からの問いかけに応える勉強、知りたいと思うことに応える勉強、わかりたいという欲求を満足させる勉強をして欲しいと思います。
保護者の皆様、どうか、これからも、子どもたちに、時には寄り添い、時には離れて、見守ってやって下さい。学校は、人生の修業の場として、時に厳しく励まし、時に感動に涙し、情に熱くなりながら、生徒達に未来を生きる力を付けたいと思います。
新入生諸君、君達は名古屋経済大学市邨中学校・市邨高等学校に入学し、人生の新しいステージに立っています。ここでは、ただ楽しく時を過ごすのではなく、むしろ、悩み、考えることで、やがてくる未来を生き抜くための力を付け、人のために尽くす人物になって欲しい。君達が、自分の力を信じ、自らの未来を切り拓いていくことを祈念して、式辞といたします。
平成二十五年四月六日
学校長 澁谷有人
2013.04.08
4月5日(金) 平成25年度始業式を行いました。
グランドで、満開の桜が散るのを待っていてくれたかのようで、春爛漫のポカポカ陽気の下、一年を始めることができました。
校長式辞です。
おはようございます。
桜の花が満開の下で始業式を行うことができ、嬉しく思います。春の草木が一斉に芽吹いています。
新しい年度が始まります。春休み中にもたくさんの人たちが、学習活動や部活動に励み、活躍していました。全国選抜大会に出場した、ハンドボール部や、テニス部、バドミントン部、体操部、そして剣道部の人たち、ご苦労様でした。ほんとうによく頑張りました。特にハンドボール部は準決勝まで進み、惜しくも三位でしたが、全国のトップレベルの実力を見せてくれました。
吹奏楽部や軽音楽部の活躍も素晴らしかったですし、それぞれの部活が頑張っていたと思います。くわしくはHPで確認してください。
今年度は学校再生の年と考えています。
新入生から新しい教育課程が始まりますが、それに伴い、多くの改革を行います。3学期制、50分間授業、1日7限授業、総合的な学習の時間や学校行事を見直し、修学旅行や学校祭も変わります。市邨の伝統を引き継ぎながら、生徒の才能を思いっきり伸ばす新しい市邨に変えて行きたいと思います。
そして、今年も、「学校力を高めよう」というのが目標です。
君達の学力を伸ばす。特に、言語能力と理数科能力をつけることです。言語能力というのは、全ての学習の大本になります。人間は考える動物ですが、その考える手段は言葉です。言葉はコミュニケーションのためのツールでもありますが、単なるツールでなく、見えないものや抽象的なものを言葉として表し、考えるという脳内活動を担っています。ですから、正しい言語活動を活発化させることは全ての学習効果を上げる事にもなるのです。また、理数科能力というのは、論理的思考の基盤です。感性やイメージで考えるのでなく、理詰めで論理的に考える、つまり科学的思考を身につけることは、高度情報社会である現代に生きるためには必須の能力なのです。
学力を伸ばすことに続いて、全ての部活動で、運動部も文化部も、一段高いところをめざす事を求めたいと思います。
そして、生徒会活動が活性化することで、学校祭などの学校行事も、一段と高いレベルの充実を求めたいと思います。
学校力を高めるもう一つの要素は、君達の生活面です。今年も生徒指導の柱は、「礼儀正しく」です。昨年一年間、生徒指導部の下、各学年が、取り組みました。そして、礼儀の面で随分向上したと思います。このことは学校の外で周囲に認められつつある事を実感しています。「よく挨拶をするようになりましたね」とか、道でのマナーについてよくなったと聴きます。何より、近所からの苦情というか、抗議の電話が随分減りました。
学校力を高めるために、それぞれがそれぞれの目標を持ち、一年間の成長を目指しましょう。生徒も先生もみんなが市邨での学校生活に愛着を持ち、市邨に誇りを持って、市邨のいいところをもっとアピールする、そんな一年にしたいと思います。
2013.03.20
昨日来の雨が上がり、暖かな朝となりました。
記念体育館で、平成24年度修了式が行われました。
校長式辞です。
おはようございます。
春の嵐が過ぎ去り、春が急ぎ足でやってきました。今年の桜は例年より早く、もうすぐ咲き始めるようです。
明日は春分の日です。夜がだんだん短くなり、昼が長くなってきましたが、明日は同じになります。この日を境に、昼が長くなっていくのです。
今日ここに、平成二十四年度の修了式を迎えることができて嬉しく思います。この一年間君達が学業や行事など励み、その目標に到達したことを喜びたいと思います。それと同時に、この一年君達を学校に送り出し、勉学をさせてくれた、保護者や家族の皆様に、君達と共に感謝したいと思います。
この一年を振り返ると、様々な行事や取り組みがありました。例年とは違った特別行事として、寺本明日香さんのオリンピックキャンペーンが印象的ですが、もう一つ、五月二十一日の金環日食観察会が印象に残っています。このような自然現象を観察しようという誘いに大勢の生徒諸君や先生方が賛同して、朝早くから学校に集合して観察することができたのは、素晴らしいことですし、天気が味方してくれて、太陽や月や地球の絶妙の動きを、実感することができました。六月六日には、金星の太陽面通過という天体現象がありましたが、これにも興味を示してくれた生徒が大勢いて、嬉しくなりました。
私は、このような天体現象や、地震や津波のように災害を引き起こす程の地球の活動に出会うとき、人間と宇宙の関係を実感するのです。人間はちっぽけな存在だけどこの壮大な宇宙の有り様を認識することができる。人間だけが、知性と理性を持った人間だけが、この宇宙を理解することができる。そういう意味では、人間一人一人が宇宙に匹敵する存在なんだと思うのです。
そして、そのような広大な宇宙という空間的な大きさと共に、宇宙創成以来の壮大な時間の流れをも感じます。地球は秒速30kmの速さで太陽の周りを回っていますし、太陽系自体が天の川銀河系に対して、秒速230kmで動いています。つまり、時間の経過と共に、人間は宇宙空間の中をすごい速度で動いています。このことから、時間は決して待ってくれない、戻りもしない、ただ一直線に過ぎていくのだと解ります。そういう意味で、我々人間も時間と共に宇宙空間を動いていき、後に戻ることはできない。タイムマシンで過去と未来を行き来するという話がありますが、それは不可能です。今このとき地球上にあるタイムマシンが百年前に戻るとき、その時の地球の位置は何億kmも動いているのですから、百年後の地球上の同じ場所に戻ることはできないのです。
二度とないというのは、文字通り科学的に言って、二度とこの時はないのですから、この一瞬一瞬が取り返しのつかない貴重なものだと思います。ですから、今という時間を無駄にしないように、と言いたい、また、一刻一刻留まることなく君達は成長しているわけで、その成長に期待したいと思います。
今年の最初の挨拶の中で、私は、「学校力をつけよう」という話をしました。学校力があるというのは、学校が生き生きしていて活力があるというだけでなく、学力的なレベルもスポーツや芸術のレベルも、ぐんぐん伸びていく力があるというのがイメージです。ですから、生徒が自分の力で、授業に取り組み、学力を伸ばし、自分の将来のキャリアイメージを作り、実現に向かって進む学校であるということです。
「礼儀正しく」は、来年度も生徒指導の柱として、君達に求めたいと思います。礼儀正しく、規則正しく自律的な生活をすることで、生きる力がつくのです。文化祭や体育祭などの学校行事で、大いに自主性を発揮し、団結力を見せて欲しいと思いますし、熱いエネルギーを期待しています。
今年の卒業生の残した進学実績は素晴らしいものです。国公立大学へは、五名が合格、難関私立大学である、上智大学や南山大学へも合格しています。これは本校の学校力を表しています。後輩である君達もそのような可能性を持っているし、それぞれのめざす進路を実現できると信じています。
来年度は、始業時刻が八時三十分になるとか、三学期制に変わるなど、学校生活の幾つかの事柄が変わります。そのねらいは、君達の学力の向上による、学校力のアップです。学校力を高めるために全員で励みたいと思います。