2012.12.08
全国各地の学校で、小学校、中学校、高等学校を問わず、「いじめ」があり、それに対する教育委員会や学校側の対応が非難されています。
本校においても、かつていじめがあったと指摘されています。
私は校長として、「いじめ」に対する学校の姿勢と対策について、きちんと学校の考えを知ってもらいたいと考え、PTA総会や学校見学会などで話をしてきました。もちろん個別の事案については、学校として責任持って対応していますし、個人情報保護と指導上の観点から公にすべきこととすべきでないことはきちんと区別しています。
学校見学会において、「本校にいじめはない、とは言い切れません。しかし、いじめは絶対に許さない。いじめを早期発見し、確実に対処します。小学校や中学校でいじめに会った人がいるかもしれませんが、安心して本校に入学して下さい」、と挨拶しました。
以下は、12月21日発行のPTA会報に載せた、校長挨拶の一部です。
「いじめはない、とは言い切れません。生徒が悩んで、学校を休んだり、保健室に助けを求めたりする場合、友人関係のトラブルであったり、いじめられていると感じていたりすることがあります。無視されたとか、ひとりのけ者にされたとか、悪口を言われたとか、いじめられたと感じる生徒がいた場合,教員は直ぐに対応するようにしています。
生活アンケートとして、生徒の日常の困った出来事を調べるようにしています。記名式のときと無記名式のときがあります。直截にいじめという表現は避けています。被害者の立場でも尋ねますし、加害者としての行為についても、見たり聞いたり感じたりしたことがあるかと聞きます。記名式の場合には、いじめと思しき訴えがあったら非常事態ととらえて、直ぐに事情を聞き、対処します。無記名式の場合には、そのクラスにいじめの陰があるかどうかを探ることができます。これは文部科学省が推奨しているアンケートのやり方です。もしいじめの気配があれば生徒達の人間関係を注意深く探るようにします。直接被害者を特定するような調べを入れることは危険を伴います。注意しなければならないのは、困っているけど、いじめられていると思われたくない、という場合があることです。いずれにしても、いじめは、教員のアンテナを高くし、早期発見、早期対処が重要です。学校のメンツで、根拠もなく、いじめはない、と言い張るつもりはありません。むしろ、いじめはどこの学校にもある、どんな集団にもあるものとして対処することから、いじめを一掃することができると考えています。」
私は、「どの学校にもいじめはある」、という前提で考えています。世間では、どの校長も、「責任問題に発展するからいじめは認めない」という姿勢だろう、と考えがちですが、必ずしもそうではありません。
いじめの気配に対して、いじめがあるという前提で、注意深く情報収集をおこないます。そして、素早く、対策チームを作って、事実関係を把握し、人間関係を探ってその再構築を図ります。その過程で、きっかけになった原因を探り、厳しく対処すべきは厳しく対処します。万が一、法に触れるような事態が明らかであるときには、警察などの外部支援機関に協力を求めることを躊躇しません。このような指導過程の中では、教師だけでなくカウンセラーや医師の力も借りています。
私の責任下において、これまでのところ、いじめの可能性がある事案も含めて、把握できていると考えています。
そして、確実に対処しています。
はっきりといじめはないと言えないのは、生徒の間で隠されているために把握し切れていないいじめや、被害者自身が認めたくない場合やいじめと気付いてない可能性があるからです。これからも、生徒の人間関係に気をつけて、早い対応を心がけて参ります。
2012.12.08
今日でテストが終了しました。君達のこの秋の、学習面での努力がどうだったのかが試されたのです。結果がよくなかった人は、この後、学年末までの期間の努力に期待したいと思います。
今、世の中は、大きく曲がり角を曲がろうとしています。衆議院議員の選挙期間となっていますが、原発をどうするのか、消費税を上げるのか上げないのか、TPPに参加するのかどうなのか、一つ一つの選択をどのように積み上げると、国民みんなが望む方向どこなのか、よくわかりません。誰もわからないのですが、一つ一つの選択が今後の日本の将来を決定づけていくことは間違いありませんし、近い将来君達が大きな影響を受けるだろうということも間違いないことです。どうか社会の出来事に関心を持ってください。
これからの社会は予測が難しい社会だといわれます。政治家自身が見通しのきかない時代だ、といっています。その社会で生きていくために必要な能力とは、どのようなものでしょうか。
3年生にとってこれから卒業までの3ヶ月あまりの期間は非常に重要です。進路が決まっていない人はもちろん最後の追い込みですが、進路が決まった人にとっても新年度がスタートするまでのこの期間は新しいステージに昇るための準備段階なのです。ここでの準備を怠るとスタートの時点で大きく出遅れることになるでしょう。
1,2年生には新年度のことで予告をしておきます。
来年度は、学校の仕組みが変わります。
第1に、現在の2学期制から3学期制に変わります。
第2に、1時間の授業が45分間だったのを50分にします。
第3に、1週間の授業時間数を進学コースと中学校は33時間だったのを32時間にします。特進コースは33時間のままです。総合コースは現在の32時間で変わりません。
第4に、1日の始まりが8時30分となります。終わりが、7次元のときは、4時、6時限のときは3時となります。
第5に、総合的な学習の時間が現在の倍の時間を使って実施されます。先生方からの講義でなく君達自身の主体的な探求の時間になります。
よりくわしいことは、この後のホームルームで担任から話があります。
これらの変化、というより学校改革は、これまでの問題点を一挙に解決するものであり、君達の学力の保証をするためですが、もちろんこれらの改革は枠組みの変更に過ぎません。
重要なのは中身です。学習の主体は君達です。もちろん授業を担当する教師がよりわかりやすくより魅力的な授業を作っていくことが必要ですが、生徒諸君のより一層の学習意欲が必要とされることになります。
高校3年間で、学力をつけ、部活動に一生懸命に取り組むことをとおして、成長して欲しいと願っています。市邨の建学の精神である、「一に人物、二に伎倆」の理念のもとで、充実した学校生活を送り、品格をみがき、人として成長を遂げて欲しいと思います。
今年は四月より「礼儀正しく」、という生徒指導目標を掲げてきました。挨拶をする生徒が増えてきました。服装も態度もよくなったという住民の方の話も聞きます。3年生の女子生徒が、登校中におばあさんを助けたということもありましたし、逆に本校の女子生徒がバスの中で具合が悪くなり、乗客の方に助けていただいたということもありました。東日本大震災の復興支援のボランティア活動の報告で、ボランティアスピリット賞に3年生の辰野さんがコミュニティ賞を受賞します。表彰式は明日です。それと同時に、3年生男子の大津君、知花君、佐藤君、白木君が感謝状をいただきました。
部活動の活躍と共に、このような活動も素晴らしいことです。大いに励みにしたいと思います。
2012.10.09
平成24年度後期始業式を行いました。
式辞の概要です。
おはようございます。
ようやく秋がやってきたようです。
昨日は体育の日でした。皆さん、スポーツの秋を楽しみましたか。国体愛知県代表として出場した選手の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。
昨日からのニュースや新聞で知っていると思いますが、今年のノーベル医学・生理学賞が京都大学の山中伸弥教授に贈られることになりました。君達もすでに生物で勉強しているか、あるいは、これから勉強すると思いますが、分化した細胞(体細胞)も多能性細胞にリプログラミング(初期化)できることの発見に対するものです。つまり新聞に倣って言うとiPS 細胞の作成に成功したのです。
この発見は、二〇〇六年に発表されましたから未だ六年しかたっていませんが、こんなに早くノーベル賞を受賞したということは、それだけ画期的で誰でもが認めるすごい成果だからです。
五〇年前の一九六二年に、今回山中教授と共にノーベル賞を受賞したイギリスのジョン・ガードン博士が、カエルの受精卵から核を取り出し、そこにオタマジャクシの細胞から取り出した核を移植しました。すると、その卵細胞はオタマジャクシになり、カエルになりました。生物の発生、形態形成は、受精卵から分裂を繰り返して様々な器官に分化していくのですが、複数の種類の細胞を作り出すことのできる幹細胞から分化して、特定の機能を持った体細胞ができるのです。ところがこの発見は、分化した細胞の核でも再び幹細胞になっていろんなタイプの細胞に変化できること、つまり「細胞のリプログラミング」が可能であることを示したのです。
山中先生はこの研究に取り組み、受精卵を使わなくても、再び幹細胞を作って体全体を作ることができるのではないかと考えました。つまり幹細胞を作るための遺伝子があるはずだと考え、四つの遺伝子に絞り込み、それをマウスの皮膚の細胞に注射すると、見事に幹細胞に戻り、さらにいろんな種類に細胞に変化できることを発見しました。これをiPS細胞(人工多能性幹細胞)と名付けました。iPS細胞は、受精卵がなくても「細胞のリプログラミング」ができることを実証しました。
この研究は、たとえば、脊髄を損傷した人や肝臓の機能を失った人に、iPS細胞から損傷した器官を作り出し移植することによって治療するという、再生医療を可能にしますし、難病の原因を探り治療薬を開発するなど医学の進展に大きな貢献が期待されています。しかし一方では、iPS細胞から受精卵を作ることが可能になったという報道にもありましたが、生殖行為なしに、生命の誕生が可能になる、つまり、男性も女性も関係なく命が誕生することになる。あるいは、人工的に身体が作られることになる等の、生命の尊厳にかかわる倫理上の問題が発生するのです。
山中教授自身が記者会見のとき、受賞に対する感謝と共に責任の大きさについて話をし、早く倫理上の問題について国全体で検討を始めなければならないことを言っています。
さて、今日から平成二十四年度の後期が始まります。高校三年生にとっては進路を決める大切な時期が来ています。今、社会は先行きが見えない不透明な時代が続いています。学校で学んだことが社会に出てからも通用するとは限らないし、就職すれば一生安泰というわけにはいきません。
では、今この高校生のときに何をすれば良いのか、ということです。それは、今やれることは何かをきちんと考えることです。今やるべき事は何かを考え、地道に全力で取り組むことです。おそらく楽しく遊んでいる時ではない、楽な道を選んではいけない、楽しいこととかお金になることとかを優先してはいけない。高校生や中学生の今の時期に、やるべき事をやらなければいけないのです。それは勉強することであり、スポーツをすることであり、つまり学ぶことであると思います。
やりたいことをやればいいと言いますが、やりたいことを見つけるのは容易ではありません。おそらく君達の中で、将来やりたいことがあると言える人は、二割もいないでしょう。それでも、大切なのは、学ぶことを通して、少しでも自分の世界を拡げて行くことです。好奇心を持っていろいろなことにチャレンジすることです。楽かどうかを考えてはいけません。先ほどの山中先生も、いろいろな挫折を経て、今があるといいます。医者にはなったが向いていないとわかり、基礎研究の道に進んだのです。君達も同じ事、順調に思ったとおりには行かないけれども、ひたむきに取り組むことで、未来は開けてくると思います。大切なのは学び続ける意欲です。
それとは別に、君達に必要な事があります。それは「正義」です。つまり正しいことを行い、正しい道を行くことです。夏頃から、大津の中学校でのいじめがきっかけになり、いじめの問題が全ての学校で問題になっています。どの学校にもいじめがある、本校にもいじめがあると考えなければいけない。いじめは卑怯なことです。いじめというのは、人間として卑怯なことであって、正義ではない。自分中心の考えから抜け出せず、人の身になって考えることができないのは、本校の校訓である、「慈 忠 忍」の三訓の中でも「慈の心」のない人の行いだと思います。一人の人間を、大勢でからかったり、無視したりすることは、正しいことではない。道に反することで、卑怯な行いです。君達は大勢でつるむのでなく、一人でも正義を貫こうという心構えを持ってください。それが、学校で勉強することよりも、いや、学校で学ぶことの中で最も大切なことだと思います。
まもなく、高校二年生は北海道に修学旅行に行きます。中学三年生は沖縄に修学旅行に行きます。修学旅行では、仲間と協力し合って、互いを理解する機会として欲しいと思います。修学旅行でしっかりと学んできて下さい。
それでは、学年の後半が始まります。学ぶことを第一とし、日々の学校生活をまっすぐに過ごしてください。自らの未来を切り拓くために、かけがえのないものをつかみ取って欲しい。
2012.10.07
前期終業式の式辞です。
今日で試験が終了し,前期も今日で終わりです。平成24年度の半分が過ぎたことになります。
今年の夏は、オリンピックの感動が忘れられません。毎日机を並べて授業を受けている寺本さんが大活躍をしたのですから、その感動もひとしおです。そして九月になっても暑い日が続きましたが、全員が取り組んだ学校祭は好評のうちに終わりました。そのあと今日まで、慌ただしく前期テストに取り組んできたわけです。
来年度からは、現在の二期制を改め、三期制になります。ですから、夏休み前に一学期の終業式を行い、九月から二学期が始まります。これは現在進めている本校の大きな改革の流れの中で進めようとしていることの一つです。
四月の始業式で私は、「学校力を高めよう」という目標を話しました。生徒のみんなが大きく成長する学校、学ぶ意欲が身につき、スポーツにおける競技力が向上し、文化・芸術性が高まり、学校行事が充実した学校にしようと言ったのです。そのためには、まず生徒諸君に「礼儀正しくしよう」を合い言葉に呼びかけました。挨拶ができるようになり、服装がきちんとしてくると、近所の評判がよくなってきました。「私も市邨の卒業生ですよ」と教えてくださる方が多くなりました。評判が悪かったら、こうは行きませんから、私はそのような話を嬉しく聞いています。
今丁度、岐阜県では国民体育大会が開催されています。各県の代表が様々な競技で競い合っているのですが、本校からも愛知県代表として六人が選ばれています。テニスは、若林先生を監督として、山田君と、伊藤君、体操は、杉村さんと寺本さん、寺本さんは愛知県選手団の結団式で選手宣誓をしましたが、残念ながらけがのため欠場です。平野さんが出場します。そして、バドミントンでは、小笠君が県代表として出場します。愛知県代表に選ばれるというのは、素晴らしいことで、とても名誉なことです。壮行会をして送り出したいところですが、本校では控えめです。私があえてこの話をするのは、これが学校力を表しているからです。本校は、毎年愛知県代表選手を出す力がある、そのようなレベルにあるということを、みんなが認識する必要があると思います。そしてそれをスポーツにおける競技力だけでなく、他の面につなげていくことが大事です。文化芸術の面での取り組み、ダンス部や、バトン部や軽音楽部、吹奏楽部が頑張ってくれていますし、部活動だけでなく、たとえば、三年生の卒業論文の制作や二年生の修学旅行レポート作成、そして、先日行われた中学校の弁論大会など、素晴らしいレベルの取り組みです。これらの実践力が、もっと毎日の授業の充実に繋がり、それが、進路目標の実現、ひいては、自分のキャリアを形作っていく力になれば、それが、全体として、市邨の学校力になるんだと思います。学校力を計るのは単にどの大学に何人入ったということではなく、今言った、学校の取り組みや成果の総合的な評価だと思います。
先日、小牧市の中学校の進学説明会に行ってきました。予定された時間は10分間なので多くのことは話せません。私が中学三年生に伝えようとしたのは、映像を見てもらいながら話したことは、市邨学園の「建学の精神」でした。「一に人物、二に伎倆」という理念を掲げて、「人物教育」つまり、人を育てる事を第一にしていること。そのために、高校三年間で身につけて欲しいのは、「生涯にわたって学び続ける力」だと話しました。勉強はただ成績を上げるためにするのではない、勉強とは、憶えることではない、授業で先生のいうことをそのままノートに書き写すことでもない、勉強とは、考えることです、と言いました。市邨では考えることを学んで欲しい、学ぶ力をつけて欲しいと言いました。そのためには、学ぶことは、まず、「なぜだろう」「知りたい、わかりたい」という、好奇心から始まるんだといいました。
同じ事を、この前期終業式に際して、本校の生徒諸君にも言っておきたいと思います。学ぶことは、生涯続くし、続けなくてはいけない。今の社会は、学校で学んだことがそのまま役に立つような社会ではないし、君達の未来にわたって学ばなければならないことは限りがない。けれども、「学びたいという気持ち」を持ち続けることができて、学び方、勉強の仕方がわかっていれば、将来にわたって学び続けることができるのです。その時の勉強とは、試験の成績を上げるための勉強でないことは確かです。
「問題を見つけて解決する力」、「今何をすればよいかを判断する力」、そして「粘り強く考える力」、さらには、それを人に伝える「表現力、コミュニケーション力」を鍛えることが必要です。
「学ぶ力」を意識してください。それが、「一に人物、二に伎倆」の心に繋がります。
2012.09.15
暑い二日間でした。
無事に全日程が終了し、来校していただいた大勢の方々、近隣住民の皆様、見学に見えた小中学生、招待した他校の高校生、母校に再訪した卒業生諸君、そして多くの保護者、PTA 委員の皆様には満足いただいたでしょうか。ご協力、ありがとうございました。
そして、全校の生徒諸君、お疲れ様でした。協力と挨拶をありがとう。皆、「礼儀正し」かったこと、評価大です。
本日は午前中、雨の中の野外ステージで、素晴らしいダンスパフォーマンスを見せてもらいました。
クラス企画や模擬店、展示クラブと発表クラブの活動もできるだけ全部回りました。全生徒がそれぞれの取り組みをしていて、活気に満ちており、エネルギーを感じました。特に生徒会役員、文化祭実行委員の諸君の活躍は特筆に値すると思います。
学校祭でのエネルギーをバネに、明日からの学校生活に取り組んで欲しいと思います。
軽音楽部 ダンス部 ダンス部
クラス企画 「赤富士」 クラス企画 「宇宙旅行社」 審査発表