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【石川】

宗達の技 琳派に深化 県立美術館30周年企画展

俵屋宗達の「舞楽図」をはじめ、俵屋宗雪や尾形光琳の作品約60点が並ぶ「俵屋宗達と琳派」展=県立美術館で

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きょうから

 金沢市出羽町の県立美術館は十四日から、開館三十周年を記念した企画展「俵屋宗達と琳派」を開く。宗達や琳派の作品を集めた展示会としては、地方都市で過去最大規模という。十三日は同美術館で開会式と、関係者を対象にした内覧会が開かれた。十月十四日までの会期中は無休。

 桃山から江戸時代初期に活躍した絵師・俵屋宗達は、金銀泥を使った華やかな表現と、大胆な画面構成で独自の世界を築き、後の尾形光琳らにつながる琳派の祖とされる。水墨画でも、生乾きの水墨に、さらに濃さの違う墨を垂らし、にじみを生かして色の変化を付ける「たらしこみ」の技法で優れた作品を数多く残した。

 企画展では、たらしこみで描かれた宗達の水墨画「蓮池水禽(れんちすいきん)図」(国宝)や屏風(びょうぶ)絵「舞楽図」(重要文化財)をはじめ、光琳が宗達の作品を模した屏風絵「風神雷神図」(重文)など、装飾性豊かな作品約六十点を展示。宗達から光琳へと琳派の深化の過程を紹介する。

 企画展は、宗達の画業をたたえる「金沢宗達会」が創立百年記念として共催。同会は、一九一三(大正二)年に日本美術協会が東京で開いた「宗達記念会」を契機に、宗達の後継者・俵屋宗雪が加賀藩の御用絵師を務めたことから、宗達が晩年は金沢で暮らし没したとの伝承が注目され、金沢の地で宗達を顕彰しようと翌一四年に設立された。

 開会式では、同会の会長で文化勲章受章者の陶芸家・大樋年朗(十代大樋長左衛門)さんが「展覧会は論より証拠。実在を確かめ、実在と対話してほしい」とあいさつした。 (基村祐一)

 

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