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■憤懣本舗「多発する「自転車事故」を問う」 2013/08/26 放送

 今回の「憤懣本舗」は、いま増えている自転車が、歩行者に衝突する事故を取り上げます。

 手軽で便利な自転車ですが、ちょっとした不注意で思わぬ凶器に。

 自転車事故にあった被害者と家族を取材しました。




 <警察官>
 「(ピッピー!)赤信号やんか!赤」
 <自転車の男性>
 「すいません」

 今月19日、大阪市内の交差点で自転車に対する警察の取り締まりが行われました。

 

 日傘をさしたままの片手運転。

 イヤホンを付けた状態の運転。

 これらは、道路交通法で禁止されています。

 携帯で電話するおじさん。

 <警察官>
 「危ないよ!やめて」

 注意され、一旦は携帯を離しますが・・・

 また話し始めました。

 この日、49件の警告が行われました。

 こうした運転マナーの悪化によって今、自転車が加害者になる事故が増えているといいます。

 この女性は、自転車事故による被害者の1人です。

 <自転車事故の被害者 伊藤さん(仮名)>
 「気をつけて走っていれば、絶対にそのような衝突事故は起こらなかったと思いますし」


 豊中市に住む伊藤さん(仮名)。

 先月上旬の昼頃、自宅近くの歩道を歩いていたところ、家族4人で走行してきた自転車のうち、子どもが運転する自転車が衝突してきたといいます。

 <伊藤さん(仮名)>
 「私は右手で傘を持っていて、左手で鞄を持っていて、自転車はこのまままっすぐいくのかな、通り過ぎるのかなと思っていたら、こちらの方に来て、ハンドルの部分と手の人差し指がぶつかって・・・ 赤く腫れていて、じんじん痛む感じですね」

 しかし、衝突した子どもの両親の対応は、意外なものだったといいます。

 <伊藤さん(仮名)>
 「『自転車が通り過ぎるまで、道の端によけて待っとくべきだ』とか、『あなたの方から、自転車の方にぶつかってきたんじゃないか』とか、かなり激昂された様子で」

 伊藤さんは警察に被害届を出しましたが、双方の主張に食い違いがあり、警察が慎重に調べています。

 こうした自転車が関わる事故は、10年前に比べて減少していますが、「自転車と自転車」、さらに「自転車と歩行者」の事故件数は、年々増加しています。

 

 つまり、自転車が加害者側となる事故が増えてきているのです。

 <男子児童>
 「たまに自転車が横から飛び出して、ぶつかってきそうになる」 
 <女子児童>
 「大人の人とぶつかったことがある、自転車同士で」

 増え続ける悪質な自転車運転。

 大阪府警は、検挙に力を入れ始めました。

 <警察官>
 「(ピッピピー)携帯!」
 「これ(自転車)警告してくれ!この子に警告して」

 今年4月に行われた取り締まりでは、ブレーキが付いていない整備不良の自転車を走行していたとして、男性が検挙されました。

 また、警報が鳴っている踏切に立ち入った場合や、禁止されている地下通路や歩道橋での走行なども検挙の対象になります。

 <大阪府警交通部 小牧健祐さん>
 「自転車は軽車両になります。『止まれ』の標識なんですけれど、これはよく自転車じゃなくて車だけの適応と考えられている方もいらっしゃいますけれど、これも車の仲間ということで、自転車にも適応されます」

 自転車による衝突で、命の危険に及ぶ重大な事故も相次いでいます。

 <中石鐘美さん>
 「今からね、立つ練習するよ」


 <中石鐘美さん>
 「イチ、ニ、はい、起きるよ」

 神戸市北区に住む中石鐘美さんと妻の喜美子さんです。

 

 5年前、喜美子さんは当時小学5年生だった少年の運転する自転車と衝突し、頭などを強く打ち、意識のない状態が続いています。

 <中石鐘美さん>
 「病院に駆けつけたんですけれども、その時は病院の処置室で横たわっている妻には人工呼吸器が取り付けてあって、生死をさまよっているという姿を見たとき、本当に夢であって欲しいという思いがしました」

 事故が起きたのは自宅近くの場所で、午後7時前。

 すでに暗かったといいます。

 <記者リポート>
 「自転車に乗った少年は、時速20〜30キロでこの坂を下り、喜美子さんに、このあたりで衝突しました。喜美子さんはその衝突で2メートル以上飛ばされたといいます」

 

 民生委員をしていた喜美子さんは、足の不自由な高齢の知人女性の歩行を手助けするため、足元に注意しながら歩いていたところ、ライトをつけていた少年の自転車と衝突したといいます。

 現在、夫の中石さんが24時間付きっきりで介護をしています。

 自律神経をコントロールするため、週2回、体を起こす立位訓練も欠かせません。

 人と話をすることが大好きだった喜美子さん。

 近所の友人たちと集まり、趣味の手芸を楽しんだといいます。

 <中石鐘美さん>
 「ここ5年間、家内がしゃべったことはないわけですから、あんなおしゃべり好きの家内が。ですから、かすかなことでもいいですから、会話と言うか、コミュニケーションが家内ととれたらいいなと思いながら続けています」

 中石さんは2年前、少年側を提訴。

 神戸地裁は先月、少年の母親が「自転車の運転について、十分指導しなかった」として、母親らに対して総額9,500万円余りの賠償を命じる判決を出しました。

 現在も、裁判は続いています。


 神戸地裁の判決以降、自転車を運転する側の意識も変りつつあるようです。

 こちらの保険会社では、年間4,500円で1億円の補償が付いた自転車保険の加入者が増えているといいます。

 <au損害保険株式会社 福岡孝夫常務>
 「今までにないくらい、急激な伸び、非常にたくさんの方から問い合わせや申し込みがあったのは事実です」

 また、大阪府警は自転車事故を未然に防ごうと、親子にむけた定期講習会も行っています。

 

 <婦人警察官>
 「この『止まれ』の標識は、車の運転手さんだけでなく、自転車に乗ってる人も守らなければならない?」
 「会場のみんな、答えを出してくださいー」
 <子どもたち>
 「マルー!!」
 <婦人警官>
 「答えは、マルです」
 <子どもたち>
 「いえーい!」

 <講習会に参加した子ども>
 「これからは危ないかなと思って、(ヘルメット)かぶろうかなと思います」

 <大阪府警交通部 小牧健祐さん>
 「自転車は手軽に、気軽に乗れる乗り物です。車と違って免許が必要ないので、誰でも乗れますので、しっかりとした、交通ルールを守って、安全運転に努めて頂きたいと思います」

 便利で手軽な自転車。

 しかし、ちょっとした不注意で、自分が被害者になるだけでなく加害者になる恐れもあることを肝に銘じておくことが大切です。




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