災害公営住宅 入居80%余りで見直しを9月19日 17時34分
東日本大震災の被災地で建設が進められている「災害公営住宅」のうち、ことし4月末までに完成した住宅の入居率が、80%余りにとどまり、空き室が出ていることが会計検査院の調査で分かりました。
会計検査院では、自治体に対して被災者の意向に応じて住宅の建設場所や戸数を見直していくよう求めています。
災害公営住宅は、震災の被災者のため、自治体が建設する賃貸住宅で、岩手や宮城、福島など8つの県で2万5000戸余りが計画されていますが、先月末の時点で完成したのはおよそ550戸と、全体の2%余りにとどまっています。
このうち、ことし4月末までに完成した18地区のおよそ350戸を会計検査院が調べたところ、平均の入居率は83.8%にとどまり、空き室が出ていることが分かりました。
内訳を見ますと、入居率は8つの地区では100%となっているものの、4つの地区では40%台から50%台と、募集の戸数を大幅に下回っています。
これについて会計検査院では、震災から2年半がたち、自分で住宅を確保する人が増えるなど、被災者の意向が変化していることや、買い物や交通などの利便性が悪いことなどが背景にあると指摘しています。
このため、会計検査院では、自治体に対し、被災者の意向を適切に把握し必要に応じて計画していた建設場所や戸数を見直していくよう求めています。
国土交通省は「災害公営住宅は、被災した人たちの生活再建に重要であり、自治体に対し、住宅の整備促進や被災者の意向調査の進め方などについて支援や助言をしていきたい」と話しています。
災害公営住宅の進捗(しんちょく)は
岩手や宮城、福島など8つの県で建設が進められている「災害公営住宅」のうち、先月末の時点で完成したのは、549戸で、計画全体のおよそ2%にとどまっています。
このうち宮城県は、1万5400戸余りの計画に対し完成したのは117戸で、計画のおよそ0.8%。
福島県は、6200戸余りの計画に対し、完成したのは80戸で、計画のおよそ1.3%。
岩手県は、6000戸余りの計画に対し、完成したのは251戸で、計画のおよそ4%にとどまり、いずれの県でも当初の計画より遅れが出ているということです。
また、先月末までに完成した6つの県の549戸をNHKが調べたところ、入居率は平均で84%余りにとどまり、募集の戸数を下回っています。
入居率は、宮城県で87%余り、岩手県で84%余り、福島県で80%となっています。
地区ごとに見ますと、仙台市や岩手県釜石市などにある6つの地区で、入居率が100%となったものの、福島県相馬市や岩手県大船渡市などにある5つの地区では、60%以下にとどまり、中には入居率が20%と募集の戸数を大幅に下回っている地区もあります。
被災地のまちづくりに詳しい東京大学の小泉秀樹准教授は、「災害公営住宅の入居率を高めるには、被災者の意向を細かく把握したうえで供給計画を見直すことに加え、住宅の周辺に商店や働く場所など、住民が生活していくのに必要な環境を並行して整える必要がある」と話しています。
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