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「差別撤廃 東京大行進」を支えたひとたち

9月21日(土)朝日は1面トップ記事で「消費税 来年4月8%」「安倍首相が決断」「来月1日表明」と書いた。ところが首相がどこで「決断」をしたかが記事からはわからない。労働界、経済界との「政労使会議」があったことは書かれているが、そこで消費税を上げると語ったのでもない。

消費増税「決断」は産経やNHKが大きく報じてきた。一方で菅官房長官は「まだ決めていない」と会見で白々しくも否定している。メディアがこうして増税の地ならしをしていく。

消費増税はもともと社会保障のために使うというのが、民主党、自民党、公明党の合意だった。朝日は3面で「揺らぐ理念」と解説したが、メディアは増税ありきの社会的雰囲気に加担しているのではないか。安倍政権の情報操作はスキャンダル処理もふくめ第一次内閣当時よりも巧みになっている。毎日は社会面で衆参議長の「交際手当て」の「闇」をスクープ。毎年数百万円から1000万円が支給されているが、使途がいっさい明らかにされない。自民党政権に復活してからの野党対策の国対費もどうなっているのか。通常国会では国対副委員長のひとりだったが、さっぱり見えない世界があるようだ。

 9月23日(月)22日に新宿で行われた「差別撤廃 東京大行進」。NHK、韓国の複数のテレビ局、新聞各紙は行進の写真入りで報道。産経と読売が無視するのは反原発報道と同じ構図だ。

人種差別撤廃条約の国際基準を日本でも具体化するのは、政治の課題だが、メディアをふくむ世論の高まりが重要だ。現場で大行進に参加したひとたちの顔を見ていると、あらゆる世代がいた。これまで差別反対を訴えてきた国会議員複数にも参加を求めたが、返事もなかったことは残念だ。

25日にはヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワークが結成される。差別主義者への対抗からさらに積極的に進めるべきは、法的規制の是非である。2020年の東京オリンピックまでに「形」にしなければならない。東京新聞がヘイトスピーチの日本語訳を、これまでの「憎悪表現」から「差別扇動表現」に変更した。そもそも人種差別撤廃条約がこの言葉の基本だから、実体に即した日本語である。ちなみに私は「差別扇動」としている。

東京大行進から笹塚ボウルで行われた「吉田類と仲間達」に出席。役割を終えたところで大久保に戻り、大行進の打ち上げに深夜までつき合った。20代から30代の若い世代の力が大行進を支えていたことを知って感動した。

有田芳生
参・民主/ジャーナリスト。オウムや北朝鮮問題に取り組む

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