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【芸能・社会】復活サザン 宮城でファイナル 光るリストバンドで「ハート東北」2013年9月23日 紙面から
今年、5年ぶりに活動を再開した人気ロックバンド「サザンオールスターズ」が22日、宮城県利府町の宮城スタジアムで、10年ぶりとなる野外スタジアムツアー(5カ所9公演)のファイナルを迎えた。リーダーでボーカルの桑田佳祐(57)にとって宮城は、11年9月に東日本大震災の復興支援のため、食道がんからの復帰後、初めて大型ライブを開いた思い出の地。感慨をかみしめながら、デビュー35周年の集大成となる3時間のステージで5万人を熱狂させた。 「サザンですよ。東北のみなさん、帰ってきましたよー!」。ライブの冒頭で、桑田は高らかに帰還宣言した。 桑田は11年9月11日にのセキスイハイムスーパーアリーナで「明日へのマーチ!!」と題した宮城ライブを開き、自身の復帰と被災地復興への思いを重ね合わせた。昨年はソロツアーを宮城でスタートさせ、今年はついにサザンの訪問が実現。宮城スタジアムにとっても震災後初コンサートというメモリアルになった。 サザンの宮城ライブは05年10月以来8年ぶりだが、桑田は「私は3年連続です」とニンマリ。「生まれ故郷に帰ってくることができました!」と、得意のリップサービスで大歓声を浴びた。 東北愛があふれ出た。「Bye Bye My Love(U are the one)」では「仙台は雨もなく 麗しの夜だね」と歌詞をアレンジ。「太陽は罪な奴」では「牛タン! 笹(ささ)かまぼこ! ずんだ餅!」と仙台名物を連呼してみせた。観客に配られた光るリストバンドで「サザン ハート(ハートマーク)東北」という巨大な人文字が浮かび上がる演出もきれいに決まり、5万人が感嘆の声を上げた。 アンコールでは「急きょ練習してきた」と東北に向けた特別な1曲が披露された。11年の桑田の宮城ライブのオープニングナンバーだった「青葉城恋唄」を再びカバー。桑田は「I LOVE YOU 東北」と笑顔で歌い終え、最後に「何度も戻ってきたい」とあいさつ。「またお会いできるのは、たぶん来年かな?」と切り出すと、宮城の空に盛大な拍手が鳴り響いた。 もちろん真摯(しんし)なメッセージだけでは終わらない。サザンならではのジョークが効いた刺激的な演出も満載だ。桑田の「R18指定のモノが出てきます」という予告通り、「マンピーのG★スポット」では、しめじとあわびをかたどった意味深なみこし2台が登場。桑田は脳天からティッシュが際限なく出てくるカツラをかぶって、観客をあおりまくった。 AKB48そっくりな衣装のダンサーが登場したかと思えば、ストリングスのメンバーはNHKの朝ドラ「あまちゃん」の海女の格好。桑田は「仙台市ドレミファじぇじぇじぇ交響楽団のみなさんでした」と紹介して大笑い。最後は「レ・ミゼラブル」をパロディーにしたささやかなミュージカルまで披露し、5都市9公演で35万人を動員したツアーの幕を、ド派手に閉じた。 ◆記者の目 現役ロックバンドの意気込み復活前最後のライブを行った2008年の横浜・日産スタジアムでは、4日間のうち3日雨にたたられたのがウソのように、今回はすべて好天に恵まれた。5年ぶりのツアーでは、オリジナルアルバム全14作のすべてから曲をピックアップ。「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」「慕情」などご無沙汰のナンバーも取り入れた。 2000年の茅ケ崎ライブに向けて、地元にあったホテルをモチーフにした「HOTEL PACIFIC」を作ったように、今回、桑田佳祐は新曲を4作も用意した。「ピースとハイライト」は、サザンでは珍しいメッセージソング。桑田がソロ活動を経て、サザンでも自然に作り得た新しい側面だ。ただの同窓会ではなく、現役のロックバンドとしてファンの前に登場するという意気込みをきっちり体現した。 そして、ツアーの最後に宮城を選んだことにも大きな意味がある。それだけで、どれだけ多くの人の心に響いたことか。 もはや活動を休止していようがいまいが、大きな問題ではない。老若男女に寄り添い、時代とともに転がり続ける唯一無二のモンスターバンドを、こんなにも多くの人がいつでも待っているのだから。 (本庄雅之) ◆東北のファン「感謝、感謝です」震災を経験した東北のファンにとっても待望の“凱旋(がいせん)”となった。サザンを愛して35年という石巻市の吉川典子さん(51)は「『いとしのエリー』が出たころ、石巻市民会館で見て以来なんです」。その市民会館は震災被害で取り壊しになってしまった。「活動休止もあって、もう見られないかもしれないと思っていたら、このツアーが決まった。絶対に行こうと思いました」と、新たな思い出がつくれることに胸を高鳴らせた。 同市の伊藤雪江さん(51)は88年ごろに仙台市の野外ステージで見て以来。「当時、よく夫とドライブで聴いていました」。震災では津波で自宅が全壊。自身も車ごと流され、車の屋根で一晩を過ごし、翌日救助された。「ずっとサザンを聴いてきた。こんなに一緒に人生を歩んでいる音楽って、他にない。またライブを見ることができて、本当にうれしい」と喜びを明かし、「ソロツアーの最初に選んだり、今回もファイナルにしてくれたり、桑田さんの東北への思いはとても強く伝わっています。感謝、感謝です」と感慨深そうに語った。 ◆グルメ屋台35軒スタジアムの外にはソロツアーに続き「虹の広場」が設置され、「カジキメンチ」「芋煮」など東北グルメの屋台が、デビュー35周年に合わせて35軒並んだ。やぐらの周りには紅白の「サザンちょうちん」が2000個も掲げられ、華やかな夏祭りの雰囲気を演出した。 PR情報
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