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【大相撲】

白鵬、決めた16年ぶり呼び戻し

2013年9月23日 紙面から

白鵬(上)が呼び戻しで宝富士を下す=両国国技館で(斉藤直己撮影)

写真

◇秋場所<8日目>

 (22日・両国国技館)

 横綱白鵬(28)=宮城野=は宝富士を呼び戻しの大技で退け、ただ一人8連勝で勝ち越しを決めた。自身の持つストレート勝ち越しの最多記録(1場所15日制定着後)は29度目となった。幕内での呼び戻しは1997年春場所9日目に横綱貴乃花が剣晃に決めて以来で16年ぶり。大関陣は稀勢の里(27)=鳴戸=が豊響を寄り切って1敗をキープ。全勝の白鵬を追う1敗は稀勢の里だけとなった。2敗に日馬富士ら7人が続く。

 崩れ落ちる宝富士を目の当たりにして、場内はどよめきに包まれる。白鵬が上手を引いた左から宝富士を投げにいき、その瞬間に差した右からすくうと土俵にたたきつけた。少しして、1997年春場所9日目に貴乃花が剣晃に決めて以来、幕内で16年ぶりに「呼び戻し」のアナウンスが流れた。

 支度部屋に引き揚げてきた横綱は、身を乗り出して話を聞こうとする報道陣をニヤリと笑って制した。「言うから待ちなさい」。ゴクゴクと水を飲み干すと、こう切り出した。

 「出ましたねえ、やっと。(手応え)あったねえ。決まり手を見たら呼び戻しになってて、やりがいがあった」

 10年9月に82歳で亡くなった花田勝治さん(元横綱初代若乃花)が得意とした荒技。「どうしてこんな技が出せるのだろう」。よほどの力の差がないと決まらない幻の技ともいわれ、白鵬も花田さんの通夜で、いつかは呼び戻しを決めると誓っていた。

 「若乃花さんの豪快な映像ほど豪快には決まらなかったけど。力とタイミングが合わなきゃできない技ですね。(呼び戻しをやろうと)意識してから長かった」

 かつて何度も呼び戻しを狙いにいった。2年前の初場所の把瑠都戦でも狙いにいったが、決まり手はすくい投げになったことも。「やろうとしてるのにならなかった。何回か挑戦して、ならなかったから興味がうせていた」という。

 この日は「上手を取るまで全然考えていなかった。ダメもとというかダメだったら寄り切る、という流れ。時間がかかったから、たたきつけてやろうという気持ちがあったのかな」と狙ったわけではなく、勝負に徹する中で自然とできた。

 「一時、いろいろ勉強した。上手投げのふりをする。相手は投げられたくなくて腰を引く。その瞬間にパッと返す」

 4場所連続29度目の8日目勝ち越しを、念願の荒技で決めてみせた。気がつけば追ってくるのは1敗の稀勢の里だけ。帰りの車に乗り込むまで横綱の舌は滑らかに動き続けた。 (岸本隆)

 ◆決まり手「呼び戻し」 例えば左四つに組んだら、右上手から左下手の方に相手の体を引っ張り込み、相手の体が浮いたときに左差し手を戻すようにして突き出し、右上手の方にひねり倒す。いったん一方向に引き、反動を利用して反対方向に倒すので、この名がある。

 

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