熱帯域の太平洋の海面水温がこの10年ほど低い傾向にあるために、今世紀に入って世界の平均気温の上昇ペースが鈍っているとする研究結果を、米カリフォルニア大サンディエゴ校の小坂優研究員らのチームがまとめた。海面水温は将来、再び高温傾向になる可能性が高く、その時は、地球温暖化が急速に進む恐れがあるという。
高知県四万十市で8月、観測史上最高の気温41度を記録するなど、日本は近年、猛暑の印象が強いが、世界的に見ると年平均気温は2000年ごろからほぼ横ばいで推移している。一方で、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は一貫して増え続けていることから、温暖化の仕組みと矛盾しているように見え、専門家の間で何が原因なのか議論になっていた。
チームは、海面水温が1年程度高くなるエルニーニョ現象が起きる熱帯太平洋東部に着目。この海域では、数十年とより長い周期でも低温と高温を繰り返しており、地球全体の気候に影響を及ぼしている可能性があることから、過去の海面水温データを使って、世界の平均気温がどう変わるかシミュレーションした。
その結果、最近約15年の気温上昇の停滞や、1970年代後半から約20年続いた急速な温暖化をほぼ観測通りに再現することに成功。「気温上昇が鈍ったのは海面水温が低温傾向にあるのと関係している」と結論付けた。
チームは、こうした変動は自然のゆらぎによるもので、今後も海面水温に応じて気温上昇が進んだり鈍ったりする可能性があるが、長期的には温暖化は止まらないと指摘している。成果は英科学誌ネイチャーに発表した。〔共同〕
▼近年の気温上昇の停滞 産業化に伴い二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの大気中濃度が増加して地球の平均気温が上昇する地球温暖化が進行しており、気温上昇のペースは、20世紀後半には10年当たり約0.13度だった。ところが1998年以降の最近約15年間は、ほぼ横ばいに鈍化。温暖化に矛盾するとして、専門家の間で「ハイエイタス」問題と呼ばれて注目を集めている。原因は、大気中の微粒子や水蒸気の量の変化、火山の噴煙、太陽活動の強弱、海による熱の取り込みの変化などさまざまな説が提示されている。〔共同〕
カリフォルニア大、海面水温
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