世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が20日まとめた8月の粗鋼生産量(64カ国・地域)は、1億3035万トン(前年同月比5.2%増)となり12カ月連続で増加した。供給過剰が指摘される中国が、前年同月比12.8%増の6627万トンを生産し、全世界の粗鋼生産の50.8%を占めた。中国は輸出も高水準で続けており、日本の鉄鋼業界関係者の間ではアジアの鋼材市況悪化を懸念する声が出ている。
中国の8月の粗鋼生産量は単月として過去3位番目に多い。中国の生産量が世界の過半に達したのは、2008年秋のリーマン・ショック後の需要低迷で日米欧大手の生産が落ち込んだ09年1~12月を除けば初めて。
日本鉄鋼連盟によると中国は8月の鋼材輸出も前年同月比4割増の614万トンに達した。輸出比率はまだ1割弱だが、単月の輸出量が600万トンを超えたのはおよそ5年ぶり。国内で消化しきれない過剰生産分を輸出に回す構造が続いている。
中国では宝鋼集団など大手は生産を絞る一方、地方自治体が経営を後押しする中小メーカーが増産を続けている。日本の鉄鋼大手幹部は「中国では需要がなくても大量に生産する状況は今後も続く」と指摘する。東南アジアの景気に減速感も出ており、中国の輸出増が続けば、アジアの鋼材相場の重しとなり、日本の鉄鋼大手の収益にも影響しかねない。
中国以外の地域では欧州連合(EU)の27カ国が計1203万トンの粗鋼を生産。前年同月比1.3%増で、23カ月ぶりに前年水準を上回った。生産量が最も多いドイツが前年割れしたものの、フランスなどの生産が増えた。ただ、EUの生産量は11年まで月1300万~1500万トン程度で推移。8月も低水準に変わりはなく、欧州市場の底入れはしていない。
米国は前年同月比2.9%減の740万トンと、2カ月ぶりにマイナスとなった。アジアなどからの輸入増が響いたとみられている。
粗鋼生産量、ワールドスチール、中国、宝鋼集団
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