書評 「人生逆戻りツアー」 8 [ブログ]
泉ウタマロ著「人生逆戻りツアー」は悩み多き人生を過ごしている方ほど、心動かされる本かもしれません。
本書の中で最も心を打たれた場面は、主人公の愛する奥さんが、離婚して家を出て行くところです。
主人公は若い頃、一生の努力をするぐらい頑張って、綺麗で大好きな女性をお嫁さんにもらいます。
奥さんを愛する気持ちは、今も昔も、そしてあの世に行ってからも変わりません。
そんな奥さんが離婚を決意した本当の奥さんの気持ちを、あの世で知ることになります。
(元)奥さんは、自分が専業主婦で家にいたら、主人公はイヤな仕事を続けて歳を取るに違いない。彼を自由にさせたい。
しかし主人公は、出て行った奥さんの気持ちに気付かず、奥さんが居なくなっても変わることがなく、イヤなサラリーマン生活を続けます。
そして、(元)奥さんを思い出しては、悲しみながら、64歳という若さで、事故で亡くなってしまいます。
主人粉にとっての最悪な出来事は、最愛の奥さんが家を出たことだったのですが、その日を境に人生を変えることもできたのです。
物語の主人公は、そうした最悪の出来事を、人生最良の日とすることは出来ませんでした。
そういったハッピーエンドに終わらない感じが、本書の魅力でもあり、読者の心を動かすのだと思います。
http://d.hatena.ne.jp/h6takahashi/20121103/1351962970 より
「分かり難いなぁ。面白くないなぁ。といった箇所も正直あります」と、たかはしさんは言っています。私も著者の発想力は凄いと思います。しかし、その文章力には未熟なところがあると思います。
ネットで多くの人が「一気に読み終えた」とか「感動した」とか言っていますが、私はそうではありませんでした。著者がこの本で言いたいことに共感できる部分はあるのですが、訳のわからない表記(間違った表記)が何箇所もあったために読み終わるのに苦労しました。
私は、著者と編集者にその点を指摘しました。しかし、何の回答もありません。
この本は39,000部も売れたそうです。無名の著者であることに加えて、目立った宣伝もしなかったのにそれだけ売れたということは、クチコミの力が如何に大きいかを表しています。
しかし、欠陥のある商品を消費者がそのことに気付かない(問題視しない)からといってそのまま売り続けていいのかと私は思います。もし、この本がさらに売れて増刷になるときにはぜひ改訂版を出してほしいと思います。
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