検証 「人生逆戻りツアー」 4 [言葉・文章]
夢へのチャレンジ
「ママはおばちゃんより随分若いからね。若い人は子供を産むのに向いているんだ。そしておばあちゃんは年取っているからね、育てるのに向いているんだよ」
「ふううん。でも私、モデルになれると思う?」
「そりゃあイレーヌが“本当になるんだ”って思っていればなれるんだよ。
そうだ! おばあちゃんがいいこと教えてあげよう。なりたいものがあるのにどうすればいいのか方法がわからない時にはね、それを日記に書くんだよ。ただ書き方にコツがあってね“神様、私をモデルにしてください”っていうのは駄目なんだ。
「神様、私は大人になったらきっとモデルになります。モデルになれた私は、どんなに嬉しいでしょう。どんなに楽しいでしょう。そのことを考えるだけで幸せに包まれます。神様、ありがとう」って書くのさ。
「へええ、それでいいの?」イレーヌは不思議そうに尋ねた。
「そうなんだよ、イレーヌ。魔法みたいだろ? だからどうやって? なんて考えなくてもいいんだよ。
それでね、今からモデルになった時の自分の様子を細かく想像するのさ。想像の内容を日記に書くっていうのも大変いいよ。
まあ、『未来日記』だね。それには幸せに思えることしか書かなくていいんだよ」
「ファッションショーに出ている私のことなら、いくらでも書けそうな気がするな!」あまりのうれしさに、イレーヌはおばあちゃんに抱きついた。
「人生逆戻りツアー」 (84~86ページ)
ここに著者がこの作品で伝えようとしている重要なメッセージの一つがあります。それは、夢を叶えるためには夢に向かって突き進む必要があるということです。夢の実現のために肯定的な考え方をするということです。
おばあちゃんは、イレーヌがモデルになりたいという夢を実現するための具体的な方法として『未来日記』を書く事を教えました。『未来日記』には否定的なことは書かなくていいのです。モデルになれたらどんなに楽しいかという事だけを書けばいいのです。
楽しい未来をイメージすることによって毎日の行動に変化が生じます。その未来に向かって意欲的になります。夢がない生活が現実を好転させることはありません。
75ページから87ページまでイレーヌの回想が続きます。おばあちゃんの言葉を思い出したイレーヌは、「本当にモデルになれたらどんなに幸せだろうか……」と日記を書き始めます。そしてある時、フランスで暮らしている「双子の娘たち」から「誘い」が掛かります。
それがどういう誘いであったのかということはこの本の中では説明(記述)ありません。読み手が想像するしかありません。娘たちが母親に掛けた言葉、それは「お母さんがやりたいと思っていたことをやってみない?」……。
娘たちから誘いが掛かったことからイレーヌは、夢の実現のためにクロードと別れることを決意します。そして、クロードの事を案じながらタクシーでクロードの前から去って行きます。
クロードは、天使たちとこの「イレーヌの回想映像」を見ていました。見終えた後にクロードは彼女を理解していなかったことに気付きます。
まさにここに著者のメッセージが凝縮されています。クロードも画家になりたいという夢を持っていました。しかし、それは叶うことなくスーパーマーケットの主任としてその生涯を終えました。なぜ、画家になりたいという夢は叶わなかったのか。それは、「6 大切な少年時代 ― 心の現像」(101~132ページ)で判明します。
私の批判的見解
著者が伝えようとしていることに対してなるほどと思います。多くの人がこの本を称賛しているのも理解できます。しかし、その文章の記述に問題があります。すんなりと読めません。「えっ?」「どうして?」というところが多々あります。その一つが、視点が定まっていないところです。 (続く)
視点とは……
母親「ご飯とっくにできているのよ。いつ来るの?(すぐ来なさい)」 ← 母親の視点
子供「いま行くよ」 ← 子供の視点
〇〇がAからBへ移動するシーン
「〇〇はどうして行くことにしたのか」 ⇒ Aの視点
「〇〇はどうして来ることにしたのか」 ⇒ Bの視点
読者が「混乱」する「視点の揺れ」
視点の混乱を避けるにはどうするか
http://www.youtube.com/watch?v=rlDs8mzzxVE
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