新十両でトップを走り、支度部屋で笑顔を見せる照ノ富士=両国国技館
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◇秋場所<7日目>
(21日・両国国技館)
新十両の照ノ富士(21)=伊勢ケ浜=が千代丸に勝って6勝目、1敗を守った。幕内では、単独トップの白鵬は千代大龍を相手にせず7連勝。稀勢の里は妙義龍を押し出し、鶴竜は隠岐の海を上手投げで転がして1敗を守ったが、琴奨菊は栃煌山に完敗して2敗目を喫した。1敗は平幕の嘉風を加えた3人。日馬富士(29)=伊勢ケ浜=は注文相撲で豊響を退けて5勝目。
照ノ富士が新十両らしいがむしゃらな攻め。同じ新十両の千代丸をおっつけて前に出ると、豪快に突き出した。「まわしを取らなくても前に出ること」。自分の強みをよく分かっている。
関取で3番目の21歳という若さ、192センチ、172キロの恵まれた体。そして、何より照ノ富士のそばには4人の横綱がついている。
照ノ富士というしこ名は、伊勢ケ浜部屋が生んだ第38代横綱照国から照を、春場所後に所属の間垣部屋が閉鎖し、新しい師匠となった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から富士をもらった。
将来は横綱を期待できる大器。「いい名前をもらってうれしい」。そう語る照ノ富士を稽古場で指導してくれる3人目の横綱は同じモンゴル出身の日馬富士だ。「立ち合いから一気に前に出ろ」と口を酸っぱくして言われているという。
4人目は白鵬。2009年からモンゴルで白鵬の父・ムンフバトさんに柔道を教わり、わずか1年でモンゴルのジュニア選手権3位に輝いた。実力を見込み鳥取城北高に相撲留学を薦めてくれたのがムンフバトさん。照ノ富士は「日馬富士関もそうだし、白鵬関もかわいがってくれます。恩返しがしたい。早く(白鵬と)対戦できる番付までいきたい」と目標になっている。
6勝1敗は旭秀鵬、大砂嵐、鏡桜と並んでトップタイ。「カレーライスは絶対に食べません。味とか、においとかダメなんです」と話す表情にはまだ初々しさが残る21歳に、名古屋場所の遠藤に続く新十両優勝の期待がかかる。 (岸本隆)
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