バンド:筋通して20年「ソウル・フラワー」
毎日新聞 2013年09月18日 大阪夕刊
関西を拠点にするバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」が結成20周年を迎えた。11曲入りのミニ・アルバム「踊れ! 踊らされる前に」をリリースし、記念ツアーを展開中だ。
「断末魔のレイシズムが 身悶(もだ)えている」。題名曲の詞の一節だ。レイシズムとは人種差別主義の意。ボーカルの中川敬がこの詞を書いたのは2月、東京・新大久保で在日コリアンらの排斥を掲げるデモに対して抗議行動があった日だという。「ヘイトスピーチ(人種差別表現)は絶対許したらあかんよ。日本人は思考停止してる。原発も沖縄の問題も、みんなが当事者やのにね」。この20年間、日々の生活での怒り、笑い、喜びを歌にのせてきた。
社会派として知られている。阪神大震災後は「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」という別名義のバンドで、避難所や仮設住宅へ音楽を届けた。そこで目にした光景、ふれあいから生まれたのが代表曲「満月の夕(ゆうべ)」。東日本大震災後も「ソウル・フラワー・みちのく旅団」として東北を回った。新盤に収録した「アンパンマンのマーチ」「また逢う日まで」は、その重要なレパートリーになった曲だ。
「俺らの音楽、なんで人に決められなあかんねん」という思いから、タイアップなども厳選し、好きなように音楽をやってきた。関西にこだわったのも「こっちの論理でやるため」。筋を通した20年間。その記念ライブは21日午後7時、大阪・心斎橋のBIGCAT。GREENS(06・6882・1224)。【出水奈美】