村長のページ

     山田新村長の任期は9月21日(土)からですが,初登庁は9月24日(火)です。

     就任挨拶は9月24日(火)以降に掲載予定です。

     以下,村上前村長の退任式での挨拶を掲載いたします。

 

 

村長

 

 

 本日20日を以て,4期16年の村長職を退任いたします。

 

 

 東海村役場職員の皆さんと過ごした晩年の16年間は私の人生の全てであったと言って,言い過ぎではありません。それに至る私の54年の年月は,この役場で働くための助走,準備期間であったと言ってもいいかもしれません。この役場で一緒に働くことのできた皆様全員に心から感謝申し上げます。お陰さまで満足感,充足感を持って,この役場を後にすることができます。

 

 

  さて,私はこの16年間東海村の村長として何を基本として村政に当たってきたかということに

 ついて少し話し,惜別の言葉としたいと思います。先ずは,銀行員であった私が何故村長になって

 いいかと思ったことから,否ことからでなく,その根本を話したいと思います。一つは,この小さ

 な東海村で地方分権を実現してみたいということでした。

 

 

  平成7年に地方分権推進委員会が設立され,丁度私が村長になる年,平成9年の7月,地方分権

 推進委員会から画期的な2次勧告が出されました。これを契機に全国で中央集権から地方分権への

 流れが,具体的な動きとして一気に表面化してきました。この第2次勧告以後,全国に「集権から

 分権へ」,「上下関係から対等な関係へ」,「自己決定,自己責任」等の言葉が巷に溢れていまし

 た。私もこの東海村から実現してやるぞと大いなる希望を抱いたものでした。

 

 

  地方自治の根源は住民自治,住民の主体的な力量に規定されるものですが,政策立案,事業遂行

 ということになると,実行部隊である役場すなわち役場職員の力量如何ということになります。私

 は任期中ずっと役場職員の分権時代に向けての意識の昂揚,力量アップに期待を込めてみてきたと

 言っても過言ではありません。最近村長は甘いといわれますが,私の評価では東海村では立派に分

 権時代にあっても生き残れる力量も持った実行部隊が出来上がっていると思っております。多く

 の村民も,この点よく見ていまして,「役場職員は変わった,良くなった」と,そういう言葉を耳

 にすることが増えました。私はこの言葉を聞けるのが,何よりも嬉しく,村長になって良かったと

 思う瞬間であります。去るに当たって願わくば,慢心することなく更に更に精進あらんことを願っ

 ています。

 

 

  第二は,これも自立,地方の論理に繋がるものですが,所謂開発・発展思想からの脱却です。戦

 後,日本は欧米の生活水準に追いつく,経済発展することが至上の目的でした。そしてそれが今で

 も私たちのトラウマとなっていないでしょうか。そのため地方的なもの,農村的なものは非効率,

 非経済的だ,時代遅れだと言って排除されつづけております。そして経済発展すればしたで,今度

 は地域間競争だなどと言って更なる競争を強いられ,或いは自ら求めてきました。その挙句は,地

 方産業なかんづく農林業など一次産業,中小加工産業の衰退,借金漬けの財政となってきたので

 す。私は,これは地方自らが自立の精神,地方の論理そしてプライドを振り捨てた結末と思ってい

 ました。

 

 

  ここから,私は村長就任当初より開発・発展からの脱却,人と環境を優先する村政の旗を掲げて

 きました。それが福祉,教育,環境,農業の4本柱であります。中央依存,大企業依存からの脱却

 の考えも同じです。要は地方主義,地域主義,つまり地方自立の道の探求をしてきました。その根

 底には自然と生命への畏敬を取り戻すことを据えるべきと考えておりました。幸いにして,平成2

 3年4月からスタートした東海村第五次総合計画も同じ理念で立てられています。即ち,「今と未

 来を生きる全ての命あるもののために,村民の叡智が生きるまちづくり」をしようと高らかに宣言

 しております。この理念は福島原発事故の起こる前に立てられたということは特筆に価します。こ

 の理念の実現を達成することこそが地方自立の道であります。

 

 

  最後に原発問題について。雇用と財源問題,利害関係者のことを考えると悩みは深いが,福島原

 発事故が起きてしまった以上は,早晩村としての方向を決定する時が確実にやってきます。広く知

 識を求め,その時のための準備はしておかねばならないでしょう。以前に私は「カネのために魂を

 売ってはならない」と皆さんに言ってきましたが,原発の安全神話が崩れ,原発事故によって住民

 にもたらされた被害の過酷さを知った今,地域住民の命と健康,そして将来にわたる生活を守るこ

 とが何にもまして優先されるべきであるということを遺言として言っておきます。繰り返しになり

 ますが,政府の決定を待つことなく,原発には依存しないまちづくりを考えてゆく時が既に到来し

 てきていることを重ねて言っておきます。これは地方自立,人と環境重視の考えの当然の帰結であ

 ります。

 

 

  去るべき時が来ました,16年にわたる私の村政は,この遺言を最後の仕事として閉じます。村

 民の皆様,役場職員諸君,ご支援ご協力ありがとうございました。今ここに,私は大いなる達成感

 をもって満足して去ることができます。後は次の山田村長にお任せします。皆さんの山田さんに対

 してのご協力をお願いします。

 

  Old soldiers never die, Just fade away.

 

  万感の思いを込めて,ありがとう。皆さんお元気で。

 

 

 

 

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