貧乏人は自分を晒せ

2013/09/22


Rootportさんが面白いことを書かれています。

ネットでは「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」/匿名主義の信条 – デマこいてんじゃねえ!


貧乏人は自分を晒せ

ブログを始めたとき、匿名で行こうと心に決めた。

経歴も肩書きも秘密のまま、どこまで行けるか試すことにした。理由は2つある。まず、ブログは共感と代弁のメディアだからだ。そして、ネットでは「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」が大切だと信じているからだ。

この2つの信条を証明したくて、私は匿名で書き続けている。

(中略)なんの背景もない人間。なんの権威付けもない人間。そういう無色透明な人間として文章を書くことで、私は証明したい。ネットでは「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」のほうが大切であることを。ほんもののテキストコンテンツのちからを。示してやりたい、挑戦したい。

ネットでは「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」/匿名主義の信条 – デマこいてんじゃねえ!

ご自身も書かれていますが、あえてリアルな自分と紐付けず、コンテンツの力のみで勝負しよう、というのはすごい「縛りプレイ」だと思います。よほどの経験や知識、考える力がないと、これはなかなか難しいでしょうね。


で、ぼくはRootportさんと違い、むしろ「リアルな自分」と「ネット上の自分」を、極力近づけようとすら考え、売上やら私生活やらを公開しています。売上公開なんかは、ちょっと気がおかしい感じに見えることもあるようです。

なぜぼくは、そういう奇妙で、一見すると自己破壊的にも思える戦略に出ているのか。その最たるものは「自分を曝け出さないと食っていけない」からです。


ぼくは自分を隠して成功できるほどのコンテンツ力を持っていません。知識も経験も不十分です。では何が売れるか。そう、リアルな自分を「晒す」ということを、価値としてぼくは売ろうと考えているのです。

「曝け出す」というのは、それ自体が稀少であり、力強いコンテンツとなりえます。自分の顔面を売り出してしまった「顔面広告」の大川さんは象徴的な存在ですね。ここまでやる人は稀少で面白いので、それなりの売上が立つわけです(50万くらい売れたそうで!)。ぼくが自分を曝け出すのは、気分的には「顔面広告」が近いです。

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自分を切り売りできる分は、売れるだけ売ってしまおう。最近テレビCMに出ていたりするのも、そんな心理が背景にあります。


卑下したり妬んだりするわけではなく、Rootportさんは「ブログでメシを食っていないから」、匿名という「縛り」を楽しめるんだろうな、と観察します。実際、彼はブログでマネタイズしている様子が見られないので、別のビジネスでしっかりと生計を立てているのでしょう。


しかし、ぼくは不器用にもサラリーマン生活が耐えられないし、表現活動以外の仕事もろくにできません。少しでも息苦しい空間にいると、心を病んで体調を崩します。電話も出たくないし、電車も乗りたくないし、嫌いな人にも会いたくありません。

あぁ、なんて「縛りプレイ」でしょうか。ぼくにとっては、「ブログでメシを食う」という生き方ぐらいしか、納得できる選択肢が今のところ存在しないのです

文豪になぞらえるのはアレですが、「自分は変物だから文筆くらいしか仕事がないのではないか」夏目漱石の所感にはたいへん共感してしまいます。

しかしよく考えてみるに、自分は何か趣味を持った職業に従事してみたい。それと同時にその仕事が何か世間に必要なものでなければならぬ。何故というのに、困ったことには自分はどうも変物である。

(中略)とても一々こっちから世の中に度を合せて行くことは出来ない。何か己を曲げずして趣味を持った、世の中に欠くべからざる仕事がありそうなものだ。

—夏目漱石「処女作追懐談」より


ぼくは持っているものも少なく、それでいて人生の選択肢が限られている「貧者」です。貧者たるぼくは、自分を曝け出さないと、糊口を凌ぐことができないでしょう。生活が掛かっているんです。Rootportさんのような挑戦をするほどの余裕は、ぼくには毛頭ございません。自分を曝け出し、燃え尽きるまで、火を熾しつづけるのみ。

ぼくと同姓同名の池田勇人総理がかつて語ったとされる「貧乏人は麦を食え」じゃないですが、「貧乏人は自分を晒せ」ということです

自分を曝け出せば、人とつながることができ、金銭に頼らないシェア的経済に片足を突っ込むことができます。自分を「公共財化」する、とでも表現しましょうか。自分を曝け出すことは、ぼくら世代の重要な生存戦略のひとつといえるでしょう。


しかしながら、特にネット上で自分を曝け出すことには、相応の恐れが伴います。端的に言うと、バカだのアホだの死ねだの、罵詈雑言をネット上で浴びることになります。特に日本は、そうした圧力は強いのでしょう。

そうした罵詈雑言は、慣れていけばうまく自分のエネルギーとして扱えるようになるので、そのための修行を積みましょう(イケダハヤト流!ネットの誹謗中傷・炎上を自分のエネルギーに変換する「回路」の作り方)。メンタルの問題さえクリアすれば、大分生きやすくなりますよ。バランス感覚をもって、ガンガン自分を晒していきましょう。


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