クライアントが「黙認」する理由
軽自動車の販促の景品が
本物の「バンパー」って…
サイト名は「Honda黙認!株式会社バーグハンバーグバーグのお金をもらって車を宣伝するサイト」。プレゼントキャンペーン企画では「N BOX+のキャッチコピーを考えよう」というお題で、一般ユーザーから投稿を募集した。
「もちろんボケることが条件。『駆け抜けろ! 圧倒的な丸いタイヤで!』とか(笑)。それをツイッターでつぶやくと応募でき、優秀な作品にプレゼントを進呈することにしました」(シモダ氏)
“車1台プレゼント”などがよくあるパターン。しかし、それではつまらない。思いついたのが「バンパー」だけをプレゼントすること! 「何で全部くれない…?」など、怒涛の“ツッコミ”がSNSで拡散したことは言うまでもない。
それにしても、よくホンダがこのおふざけ企画を許したものだ。その点をシモダ氏に聞くと、的を射た答えが返ってきた。
「従来の広告は商品を褒めちぎるのが基本。でもそんな広告にシラけてしまっているネットユーザーは多い。それに最近は“ステマ”という手法が知れ渡り、褒めるセリフを疑う傾向がより強くなっています。
だったら最初から褒めることを一切やめて、代わりにボケて笑いを取ってしまおうというのが、僕たちのやり方です。特に大企業がおふざけ企画をすると、ユーザーにとってはそのギャップが楽しくて、『ホンダ、よく許したね』『ホンダ、頭固そうに見えたけど、柔らかいな』『ホンダ、器大きいな』などと、より共感を生みやすい。一部の先進的な大企業は、そうしたネットユーザーの特性を理解し、手を打ち始めています」(シモダ氏)
有名企業が次々契約する理由
ところで、バーグハンバーグバーグはどのように企画を発案するのか。カギとなるのは「ツッコミ」だ。そのネタ(企画)でボケた場合にTwitterやFacebookでどんなツッコミが返ってくるか。どうすればツッコミの数を最大化できるか。そこから逆算してネタを作っていくことが多いという。漠然とふざけているのではない。アウトプットイメージを明確にし、宣伝が最大限の効果を発揮するように、“計算づくで”ふざけているのだ。
シモダ氏は元々2005年頃から「オモコロ」というお笑いポータルを運営していた。オモコロには知人・友人のライターが40名ほど参加し、ふざけた記事、妄想垂れ流しの記事など笑えるネタを好き勝手に書いていた。このオモコロで展開しているおふざけやお笑いをビジネス化できないか。そう考え、真面目な仕事は一切せず、基本的にアウトプット手法が全てふざけている、唯一無二の仕事をする会社を立ち上げた。
ロッテ、スクウェア・エニックス、転職サイトのDODA、仙台のショッピングセンターSELVA、宅配水のアクアクララ…。最近、知名度のある企業との仕事も増え、おふざけの手法は世の中をジワジワと浸食してきている。バーグハンバーグバーグに時代が追いついてきた。そんな見方もできるだろう。
(大来 俊/5時から作家塾(R))