安倍首相:女性の人権重視、表明へ 国連演説
毎日新聞 2013年09月21日 21時06分(最終更新 09月22日 00時01分)
安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日未明)、米ニューヨークで開かれる国連総会で一般討論演説に臨み、シリア難民への6000万ドルの追加支援を打ち出すほか、女性の人権を重視する方針を表明する。現地では、財界や学界で活躍している米国の女性指導者らとの懇談も予定。従軍慰安婦問題を受け、日本のイメージがこれ以上悪化しないよう、女性の権利向上に積極的に取り組む姿勢をアピールする。
首相は23日、政府専用機で東京・羽田空港を出発し、カナダでの日程を経て、24日にニューヨークに入る。国連総会演説に加え、ニューヨーク証券取引所も訪れ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を強調。米同時多発テロの慰霊施設なども訪問し、28日に帰国する。
首相は今回の訪米で、女性の権利向上に向けた取り組みを訴える方針だ。国連演説では、紛争下で性的暴力に遭った女性を支援するため、国際刑事裁判所(ICC)の信託基金に資金供与する方針を表明。安倍首相夫妻主催で開かれるレセプションのテーマも「日本の再生〜女性が輝く社会の実現」で、女性の積極登用が経済成長の鍵を握ると国際社会にアピールする。
欧米各国では日本に対し、女性の人権問題に関する疑念が広がってきた。米国の地方議会で、旧日本軍の従軍慰安婦に関する非難決議が相次いで可決。安倍首相は過去、慰安婦の強制連行に旧日本軍が関与したことを認めた「河野官房長官談話」の見直しに言及し、米政府に首相の姿勢を問題視する声もあった。
日本政府関係者は「今回は現在と将来の女性の活躍について議論する場となるだろう」と語り、慰安婦問題について改めて説明する場にはならないとの見通しを示した。
一方、カナダ訪問では、24日にハーパー首相と首脳会談を行い、自衛隊とカナダ軍が燃料や食料などを融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)で合意する方向。エネルギー問題や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など経済問題でも意見交換する。
【古本陽荘】