JR北:放置理由「聞いてない」 「現場バタバタで」釈明

毎日新聞 2013年09月21日 21時49分(最終更新 09月21日 23時21分)

レール幅の広がりについて説明するJR北海道の笠島雅之取締役工務部長=札幌市中央区のJR北海道本社で2013年9月21日午後4時27分、伊藤直孝撮影
レール幅の広がりについて説明するJR北海道の笠島雅之取締役工務部長=札幌市中央区のJR北海道本社で2013年9月21日午後4時27分、伊藤直孝撮影

 北海道七飯(ななえ)町のJR函館線大沼駅構内で19日夜に発生した貨物列車の脱線現場で、レール幅が基準値を超える「整備不良」が約1年間放置されていた。特急列車のエンジン出火事故などのトラブルや社員の不祥事に揺れるJR北海道。幹部は21日の記者会見で「重大なミス」と陳謝したが、専門家からは「鉄道事業者として考えられない事態」との厳しい指摘が相次いだ。【遠藤修平、久野華代、伊藤直孝】

 「残念ながら補修がされていなかった」。札幌市中央区のJR北海道本社。記者会見した笠島雅之・取締役工務部長は緊張した表情で事実を明かした。だが、放置の理由について「現場がバタバタしていてまだ聞いていない」などと歯切れの悪い釈明に終始した。

 国土交通省運輸安全委員会によると、事故が起き、レール幅(規格=1067ミリ)の広がりが確認されたのは、貨物列車が本線に合流するポイントの20〜30メートル手前にある副本線(待避線)上。現場を通過するのは1日に貨物列車1本で客車は通らない。

 JR北海道によると、レール幅が広がると、車輪がレールから落ちて脱線する恐れがある。そのため同社の内規でレール幅は年2回、保線担当者が実測検査することになっている。昨年6月の定期検査では幅が整備基準値(19ミリ)にギリギリ収まる18ミリだったが、同10月に20ミリに拡大。内規では15日以内に補修作業をする必要があったが放置され、今年6月には25ミリに拡大していた。

 この事実は事故後、函館保線所大沼保線管理室が本社に提出した整備記録で判明した。だが、現場の保線責任者が把握していたかも「分からない」という。笠島部長は原因を「現場の怠慢か、予算不足か」と問われ「まさしくその辺を私が知りたい。これから聞き取りをしてハッキリさせたい」と述べた。

 会見に野島誠社長が出席しなかったことについては、同席した広報部長が「脱線原因は分からないが、作業ミスがあったのは事実。まず分かることを作業の責任者として説明する」と釈明。運転士による自動列車停止装置(ATS)破壊など不祥事が相次ぐことについて、笠島部長は「お騒がせしている。原因を究明して一つずつ対策を取っていく」と苦い表情を浮かべた。

    ◇

 事故で運転を見合わせていた函館線大沼公園−七飯間は、枕木交換などの補修作業を終え、21日午後5時35分に運行を再開した。

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

週刊エコノミスト

週刊エコノミスト

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

日報連

日報連